青木 宏和
1982年、愛知県豊田市生まれ。「楽しく遊びながら健康に」をコンセプトに野外での運動プログラムを各地で展開。街中、公園、山道など様々なフィールドを「どこでも運動場」として、地域コミュニティー活性に取り組んでいる。
目次
introduction
世界中で開催されているparkrun。公園を歩いたり、走ったりするコミュニティイベントで、走れなくてもボランティアで運営をしたり、観覧をしたりと、誰でも気軽に参加できます。日本では29箇所の地域で開催されています(2022年4月時点)。
今回は、愛知県豊田市「白浜公園parkrun」でイベントディレクターを務める青木宏和さんに、活動内容や、運動を通じた地域貢献についてお伺いしました。
「健康×交流」を目的とするコミュニティイベント・parkrun
-parkrun(パークラン)の活動内容について教えてください。
青木さん:
parkrunは、「健康と交流」がテーマの無料コミュニティイベントです。毎週土曜日の朝8時に、開催会場となる5キロの区間をウォーキング、ジョギング、ランニング、またボランティアスタッフとして運営サポートしたりと、誰でも気軽に参加できるものです。
-参加方法は自由なんですね!ちなみに、一般的に開催されるランニング大会とはどのように違うのでしょうか?
青木さん:
目的が異なります。parkrunは早くゴールした人が表彰されるといった競うものではなく、参加することで生まれる「交流」を目的としています。
運動不足解消のために走りに来たよ!という方の他、友達づくりのために参加される方もたくさんいます。タイム計測された結果が記録されるので継続して参加するモチベーションにもつながります。
-交流もできるから、コミュニティイベントと呼ばれているのですね。
青木さん:
はい。どうしても運動をメインの目的にしてしまうと、「ちゃんとゴールできるかな」「体力に自信がないから不安だな」と身構えしてしまいますよね。parkrunでは必ずゴールしなきゃいけないといった決まりや、ゴールするまでの時間制限がないため、どなたでも気軽に参加できることが特長です。
参加者に、「楽しい!」と感じてもらえることで、体の健康だけでなく心の健康にもつながることが醍醐味なんです。
-自分のペースで楽しめるのは魅力的ですね!どういった場所が開催場所になっているんですか?
青木さん:
park(公園)という文字が付いているように、各地域の公園や広場が開催場所になっています。
2004年にイギリスで始まり、世界22か国2,000か所以上が開催場所として登録されています。日本に上陸したのは2019年4月ですが、すでに29か所まで広まっています。
イベントはparkrun.Japan公式サイトのイベントマップからご覧頂けます。
>>イベントマップはこちら
-世界ではかなりポピュラーなイベントなのですね。
青木さん:
そうですね。parkrunでは、それぞれの開催地にイベントディレクターという主催者が付いています。私は愛知県豊田市・白浜公園parkrunの主催者をしているんですよ。
2020年11月 白浜公園parkrun が愛知県豊田市でスタート
-青木さんは白浜公園でparkrunを主催しているのですね。いつ頃から白浜公園でイベントを行なっているのですか?
青木さん:
白浜公園parkrunは2020年11月、愛知県豊田市白浜公園でスタートし、2022年3月26日の開催で50回目を迎えました。公園内5キロがコースになっていて、矢作川対岸の豊田スタジアムを背にゴールできるのがとても魅力的なんですよ。
-ゴールの瞬間は、スタジアムを背景に写真を撮って欲しくなりそうですね!
青木さん:
そうですね。市街地というアクセスの良さもあり、旅行に訪れた方やビジネスで滞在している方など、豊田以外の地域の方も参加いただいています。
-旅行や出張の合間にランニングする方もいるんですか?いつもと違う公園を走れるのは、気分転換になっていいですね!
青木さん:
そうですね!また、未就学児からシニア層と年齢層も幅広いんです。目的もさまざまで、運動不足解消として参加される方、親子で遊びに来た方、マラソン大会を目指して練習しに来ました!という市民ランナーもいます。
-地域内外から人が集い合う場所となっているんですね。
Uターンを機に主催を開始。parkrunで地元・豊田市を元気にしたい!
-青木さんがparkrunを主催するにあたって、なぜ豊田市を選ばれたのでしょうか。
青木さん:
豊田市は私の故郷だからです。parkrunを知った当時、私は東京で生活をしていましたが、働き方に転機が訪れて豊田市へUターンを決めました。
その後、縁あって中京大学の学生・清水さんと知り合い、彼と協力しながら豊田市の会場候補地の選定をし、白浜公園をparkrunの会場としました。
-そのような出会いがあって白浜公園parkrunが立ち上がったんですね。
「 故郷のために自分ができることは何か」模索し続けて出た答えが、運動を活用した地域貢献
-青木さんはなぜイベントディレクターになろうと思われたのでしょうか。
青木さん:
運動を通じて故郷に「恩送り」をしたかったからです。
-恩送りとは、どういったことでしょうか?
青木さん:
誰かから受けた恩を、別の人、別の場所に送るということを「恩送り」といいます。私の場合はこれまで生きてきた中で運動を通して救われたことが多く、その恩を故郷の地域活性につなげたいなと思ったんです。
-どんな時に、運動に救われたのですか?
青木さん:
私は幼いころ身体が弱く、よく体調を崩していて、それがとてもつらかったんです。その姿を見た母は、「外で元気に遊べば丈夫になれるよ!」と、私を山や川など自然の多い場所に連れ出すようになりました。
-豊田市は自然が多いんですね!
青木さん:
そうなんです。豊田市の自然豊かな土地柄にパワーをもらい、体調を崩すことが次第に減っていきました。最終的には、山を駆け回って遊ぶほど元気な子どもになったんですよ(笑)。中学校では運動部に所属するなど、大人になった今、運動は私にとって身近なものとなりました。
-運動することで青木さんの心の健康と身体の健康につながったんですね。
青木さん:
はい。イベントディレクターとして活動する前から、心身の健康を得るきっかけとなった運動を活用して自分に何かできることはないかと考えてはいました。ただ、運動をメインにした場合、幼い頃の私のように体力に自信がないという方は参加しづらいのではないか…という心配もあったんです。
-幼少期の経験があったからこそ、体力面に不安がある方の気持ちに寄り添うことができたのですね。
青木さん:
そうかもしれませんね。どんな人でも気軽に参加できるイベントはないかと模索していたところ、友人がたまたまparkrunのディレクターをしていると知りました。走ってもいい、歩いてもいい、観覧でもいい。参加方法が自由なところに「これだ!」とピンときて、自分もディレクターになろうと決めました。
-parkrunの特徴と、青木さんの目指したいことが合致して、それが形になったのですね。
イベントを通じてどんどん縁が広がっていく
-白浜公園parkrunを開催していて、嬉しかったことはありますか。
青木さん:
parkrunをきっかけに運動を始めたり、運動を再開できて嬉しい!という声を聞いたことですね。
実は第1回目の開催が2020年11月でちょうどコロナ禍ということもあり、大規模なイベントやマラソン大会の中止が相次いだ時期でした。運動を通じて人と人が交流する機会が減っていたんです。
緊急事態宣言が発令中の間はparkrunも中止になりましたが、その時期を除いて多くのランナーがparkrunに参加するようになり、交流する機会ができたと喜んでくれました。
-それは嬉しいですね!
青木さん:
そうですね。他にも、参加者だった方が、parkrunを好きになってくれて、ボランティアスタッフとして携わってくれるようになるなど、交流が深まっていくのも嬉しいですね。「やっていてよかったな」と感じます。
-parkrunのファンがどんどん増えていったのですね。
青木さん:
ありがたいことだと思います。一緒に立ち上げをした中京大学の学生さんのご縁で、豊田市役所の広報課の方が活動内容を発信してくれたこともありました。たくさんの方に支えてもらって、今の白浜公園parkrunがあるんだなと常々感じています。
記念すべき第50回目には、豊田市の太田市長も参加!
-市役所の方との関わりもあったのですね。
青木さん:
そうなんです。市民活動の一環として豊田市から表彰していただきました。50回目の記念開催の際には、豊田市の太田市長が実際に足を運んでくださって、一緒にスタートを切ってくださったんですよ!
激励の言葉をいただき、地域を元気にしたい想いがいっそう強まりました。
開催地や参加者を増やして、地域貢献の輪を広げたい
-最後に、今後の展望を教えてください。
青木さん:
白浜公園parkrunは50回目の開催時に参加者のべ数が1,000名を超えました。
引き続き、parkrunを通じて地域を元気にしていきたいです。そして、parkrunを主催したいという人を増やしていくことも目標です。実は、私の姿を見て、「自分が住んでいる地域でも開催したい!」と嬉しいお声が届きまして。
-開催会場が増えれば、参加できる方も増えて、運動や交流を通して元気になる方も増えますものね!
青木さん:
はい。運動をすることで得られる、ワクワクした気持ちを多くの方に感じてもらって、豊田市以外でも地域貢献の輪が広がっていくといいなと思います。参加者も、主催者も、人と人とのつながりを紡いでいくことがずっと思い描いている目標でもあります。
-今後のご活躍を期待しています。本日はありがとうございました。
>> parkrun Japan 公式サイト :https://www.parkrun.jp/
>> 白浜公園parkrun 公式ページ :https://www.parkrun.jp/shirahamakoen/
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