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【アウトバック生まれの服飾ブランド】R.M.Williamsが2004年から取り組むエコ活動の事例と効果を見てみよう!

果てしなく続く内陸の乾燥地帯は、オーストラリアではアウトバックと呼ばれています。

そんなアウトバックを代表するブランドとして高い人気を誇るのが、オーストラリアの田舎町で創設されたR.M.Williamsです。

アパレルブランドとして知られるR.M.Williamsですが、いち早く環境問題の解決に取り組んでいたことでも認知されています。

この記事では、R.M.Williamsがこれまでに実践してきたエコ活動や今後の目標について詳しく解説していきます。

R.M.Williamsの基本情報

アウトバックブランドのR.M.Williams(アールエムウィリアムズ)は、1932年に南オーストラリア州のアデレード郊外で生まれました。

アウトバックとは、オーストラリアの内陸部と辺境の海岸を構成する広大かつ人口が少ない乾燥地帯を指す言葉です。

乗馬ブーツやチェルシーブーツといった靴で大成功を収めたブランドで、都市部はもちろん、大自然の中でも快適性と実用性を実現できる靴を取り揃えていることで知られています。

また、オーダーメイドの靴も製造しており、オーストラリアらしいスタイルやファッションを楽しめるブランドのひとつです。

R.M.Williamsの企業名の由来は、創設者の名前・Reginald Murray Williams氏の頭文字となっています。

オーストラリアに65店舗、ニュージーランドに2店舗、アメリカに3店舗、イギリスに3店舗を構えており、世界中に900以上の販売店があります。

Zero Waste SA Industry Programで実践したこととは?

オーストラリアの大自然・アウトバックをモチーフにしているR.M.Williamsでは、自然との共存や環境保全に早くから強い関心を抱いていました。

2004年に南オーストラリア州でZero Waste SA Industry Program(南オーストラリア州廃棄物ゼロ管理プログラム)が立ち上がった際、R.M.Williamsも自社の環境保全活動をスタートさせました。

Zero Waste SA Industry Programとは、再利用、リサイクル、環境保全などを促進するためのフレームワークのことです。

製品、製造プロセス、システムのライフサイクル全体を考慮することによって、各企業や社会の持続可能性を高めることが目的です。

R.M.WilliamsはZero Waste SA Industry Programを採用し、廃棄物と資源の管理サポートを徹底するために以下のことを実践しました。

備品のリサイクル

オーストラリア国内はもちろん、海外にも店舗を構えるR.M.Williamsにとって、備品の廃棄量は非常に深刻化な問題です。

そこで、特に廃棄量が多かった以下の備品に対してリサイクルプログラムを構築しました。

段ボール:約41トン(820本分の木に相当する温室効果ガス)をリサイクル

紙類:8 トン(82本分の木)をリサイクル

木材:7 トンの木材(56本分の木)をリサイクル

革の端材:中途半端なサイズの端材25トンを海外メーカーに出荷して再利用

生地の端材:5.5トン(143本分の木)を慈善団体、地元の学校、工芸団体に寄付

スタッフとの協力

企業全体の環境負荷を低減するためには、自社スタッフのエコ意識や知識を高めることが必要不可欠です。

そこで、R.M.Williamsは製造現場の各部門のスタッフから環境スタッフを選出した「5S」と呼ばれるグループを作り、各部門の代表者が問題点などを提示するというシステムを構築しました。

実際に現場で抱えている環境問題や懸念点などを具体化することで、より効率的に解決策や改善案を出せる状態が整えられています。

各部門のスタッフがサスティナブルな企業を作り上げていくという実感もわきやすく、企業の弱点をより身近な問題として捉えられる点もメリットです。

尚、「5S」のミーティングは2週間ごとに開催されており、例としてこれまでに段ボール箱の不必要な廃棄問題を解決してきました。

1日最大で10個の未使用の段ボール箱が廃棄されていたことを受けて、現在ではリサイクル率を高めるためにサプライヤーに返却しています。

サプライヤーの選出

アパレルブランドであるR.M.Williamsでは、毎日数多くのプラスチック製の袋を使用していました。

しかし、プラスチックが与える環境負荷を懸念したR.M.Williamsは、生分解性プラスチック包装を取り扱うサプライヤーと契約を結びました。

1年間に必要な26万枚分の袋をエコな素材のものに切り替えることで、プラスチック問題への解決を実現しています。

スイッチオフキャンペーンの実施

R.M.Williamsでは、電力消費を減らすためにスイッチオフキャンペーンを実施しています。

工場の消費電力の約14%が照明と言われていることを受けて、時間帯やエリア内ごとに不必要な照明をオフにしています。

また、使用している照明の長期的な消費電力削減も目指しており、さまざまな種類の照明を試験的に使用することでエネルギー効率の高い照明の選出を行っている点もポイントです。

雨水 

工場の敷地内に2万2,500リットルの雨水タンクを2つ設置し、芝生や庭の花壇用の水として再利用しています。

R.M.Williamsが実現したエコ効果

2004年にZero Waste SA Industry Programを開始したR.M.Williamsは、取り組みによって以下のような環境効果を得ています。

  • 二酸化炭素総排出量を17,800トン削減(17,200本分の木の節約に相当)
  • 埋め立て廃棄物を年間で84トン削減
  • 電力消費量を84,492KWh削減(2万7,000世帯分以上の電力に匹敵)

R.M.Williamsの今後の目標

2004年からスタートしたエコ活動によって、R.M.Williamsは二酸化炭素総排出量、廃棄物、電力消費の削減に成功しました。

2024年現在ではさらなる環境保全を促進すべく、今後の目標として以下の2つを設定しています。

①持続可能な材料の調達‌

R.M.Williams は、2025年までに環境に優しい素材への完全移行を目指しています。

レザーの靴などを主力商品としているR.M.Williamsですが、レザーの靴1足を作るにあたって約2,113ガロン(浴槽33杯分ほどに匹敵)の水が必要です。

また、化学物質の使用による汚染なども懸念されていることから、R.M.Williamsではヴィーガンレザーなどのエコな素材の靴の製造に取り組んでいます。

リアルレザーの使用率を下げることで素材となる牛のメタンガスも減らせるため、温室効果ガスの排出量削減にも繋がる点がポイントです。

尚、温室効果ガスに関しては、2030年までに2020年度と比べて50%の削減を考えています。

エコ認定を受けた農場と契約を結び、自社もLeather Working Groupと呼ばれる認証を取得することで温室効果ガスの排出量を減らしながら製造を行う予定です。

さらに、2022年にはオーストラリアに本拠地を置く世界初のカーボンポジティブコットン会社・アースコットンと提携しました。

カーボンポジティブコットンとは、生成する温室効果ガスよりも吸収量の方が多くなるという特性を持つコットンのことです。

利用することで環境保全に貢献できるというメリットがあり、R.M.Williamsはより環境に優しい素材での製品製造を実現できると考えています。

②エコな梱包

R.M.Williamsは、製品だけでなくパッケージの環境負荷低減も意識しています。

これまでは靴を収納するための箱にプラスチック素材を使用していましたが、現在主に活用されているのはFSC認証のボード紙です。

また、靴の収納袋に関しても定期的に見直しやサンプル製造を行っており、さらなるエコなパッケージへの模索を続けています。

まとめ

オーストラリアのアウトバックから着想を得たR.M.Williamsは、自然との調和を大切にしているブランドです。

積極的な取り組みによって環境負荷の低減を実現しており、今後も材料の持続可能性や梱包の改善などを目指しています。

もしオーストラリアを訪れる際は、環境に優しくオーストラリアらしいファッションを楽しめるR.M.Williamsを覗いてみてはいかがでしょう?