リサイクルとは?日本の現状環境先進国ドイツの事例も紹介

私たちの生活の中で「リサイクル」は既にとても馴染みがある言葉となっているでしょう。「リサイクルは大切である」「リサイクルは環境に良い」など、ぼんやりとした理解やイメージはみなさんお持ちかと思います。

しかし、

  • どのようにリサイクルが行われているんだろう?
  • どんなモノがリサイクル出来るんだろう?
  • どのようにリサイクルが役立っているんだろう?
  • 私には何が出来るんだろう?

などと、疑問が残る方も多いのではないでしょうか。そこで本記事ではリサイクルについて、みなさんがより理解を深めてこれから取り組んで頂けるように、

  • リサイクルの種類や進め方
  • 環境とリサイクルの関係
  • 日本の現状や先進国での取り組み事例

などを交えてご説明いたします。

それではまず最初に、リサイクルとは何かを改めて見てみましょう。

この記事の監修者
阪口 竜也 フロムファーイースト株式会社 代表取締役 / 一般社団法人beyond SDGs japan代表理事
ナチュラルコスメブランド「みんなでみらいを」を運営。2009年 Entrepreneur of the year 2009のセミファイナリスト受賞。2014年よりカンボジアで持続型の植林「森の叡智プロジェクト」を開始。2015年パリ開催のCOP21で日本政府が森の叡智プロジェクトを発表。2017年には、日本ではじめて開催された『第一回SDGsビジネスアワード』で大賞を受賞した。著書に、「世界は自分一人から変えられる」(2017年 大和書房)

リサイクルとは?

リサイクルとは使い終わったモノや不要となったモノ、故障したモノなどをそのまま廃棄するのではなく、回収して、その中から再び資源やエネルギーを再生させて使うことです。そのためには、正しいゴミの分別が重要となります。

リサイクルの歴史

今では日常にすっかり浸透しているリサイクルですが、一体いつ頃から始まったのでしょうか?順をって見ていきましょう。

日本でリサイクルの動きが始まったのは1990年代です。それまで日本では廃棄物の処理を適正に行うために、廃棄物処理法の制定など、時代の課題に合わせて様々なルール整備が進められてきました。

しかし、1980年代からの高度経済成長での大量生産や大量消費、ペットボトル等プラスチック製品の普及で廃棄物の量は増加し続け、廃棄物処理場の不足など新たな問題が浮き彫りになってきました。そのため、「適正に処理」から、廃棄物そのものを減らすことにターゲットが置かれるようになったのです。

具体的には

  • 1991年に廃棄物処理法が改正される
    廃棄物の排出抑制と分別・再生が目的に加わる
  • 1991年に資源有効利用促進法が成立
    廃棄物の削減・環境保全を目指し、製品設計や製造においての環境配慮および事業者によるリサイクルシステムの構築など、資源の有効利用を促進するための規定が定められる
  • 1993年からごみ減量化総合戦略
    分別収集や集団回収の補助をし各地域におけるゴミの削減や再利用を推進する

など、リサイクルに対する取り組みが民間事業や地域住民で展開されるようになりました。

それ以降、各地方自治体でのリサイクルを普及する啓蒙活動が広がり、容器梱包リサイクル法(1995年)や家電リサイクル法(1998年)などのリサイクルに関する法律も定められていきます。

また、2000年に入ると大量生産・大量廃棄からの脱却を図るべく、環境への負荷が少ない持続可能な経済システムである「循環型社会」の構築が推進されるようになります。これにより、リサイクルの動きは更に加速しました。現在では建設、食品、自動車、小型家電においては個別のリサイクル法が制定されています。

また、リサイクルに加え「3R(スリーアール)」の実施が進められていきます。

3Rとは

3Rとは3つのR

  1. Reduce(リデュース)・・・ゴミの量を削減する
  2. Reuse(リユース)・・・モノ繰り返して利用する
  3. Recycle(リサイクル)・・・モノを資源やエネルギーにして再利用する

の総称です。

リサイクルだけではなく、ごみそのものの削減と、モノを再利用することにも着眼した取り組みで、今後ますます重要視されていくキーワードとなるでしょう。

どのようなものがどのようにリサイクルされる?

それでは次に、一体どのようなモノがリサイクル出来るのか?そして、どのようにリサイクルされるのか?を、対象となるモノ別にご説明します。

古紙

紙の原料はパルプ用材と呼ばれる木材です。つまり、紙をリサイクルすることはゴミを減らすとともに、貴重な森林資源を守ることに繋がります。古紙リサイクルの仕組みを知り、紙をゴミとして捨ててしまうのではなく、リサイクルを心がけましょう。

リサイクルの流れ

家庭・事業所・各市町村で決められたルールを守って正しく分別して古紙を出す(新聞・段ボール・雑誌・紙パック・雑がみ など)
・集団回収に出す
市町村・業者回収され古紙問屋へ運ばれる
古紙問屋種類ごとに再分別・計量・圧縮され製紙工場へ出荷される
製紙工場脱水や成形など多様な加工が施され紙・紙板製品となって紙加工工場へ出荷
紙加工工場加工され新たな紙製品へ生まれ変わる

何にリサイクルされる?

古紙は、コピー用紙・トイレットペーパー・紙ナプキン・新聞紙・段ボール・紙箱・便箋や封筒などさまざまな製品へとリサイクルされます。

びん

びんの原料は、石灰石やソーダ灰、けい砂といった天然資源です。

何度も使うことができるという特徴があり、

  • リターナルびん(牛乳びんやビールびんなどのように、お店や業者にそのまま返却され、洗って再利用(リユース)される)
  • ワンウェイびん(回収・加工されびんの原料となって使用される)

の2種類があります。

しっかりと分別しリユース・リサイクルを心がけましょう。

リサイクルの流れ

家庭・事業所・各市町村で決められたルールを守って正しく分別する(びんの中の汚れやゴミを取り除く、色別に分ける など)
・お店に返却する
・集団回収に出す
市町村回収され色分け(無色・茶色・その他の色)異物を取り除き保管されるリサイクル工場へ引き渡される
リサイクル工場細かく砕いた後、金属やゴミを取り除き、原料化され加工工場へ出荷される
ガラス加工工場成形や加工がされ新しい製品へ生まれ変わる

何にリサイクルされる?

びんは、ガラスびん・道路や家の断熱材・建築資材・土木材料などにリサイクルされます。

缶には

  • アルミ缶・・・アルミニウムを原料とるする柔らかい缶
  • スチール缶・・・鉄を原料とする硬めの缶

の2種類があります。

缶はどちらもリサイクル性が高く、何度でもまた生まれ変わることができるのが特徴です。また、アルミ缶リサイクルは、原料からアルミ缶をつくる場合と比べて97%ものエネルギーを節約できます。

リサイクルの流れ

家庭・お店など・各市町村で決められたルールを守って正しく分別し資源ごみとして出す(アルミ缶とスチール缶に分ける)
・お店や駅などにある回収ボックスに入れる
・集団回収する
市町村・回収業者回収され再生工場へ運ばれる
資源化施設フィルムや塗料などが取り除かれ、溶かして大きなアルミ・鉄の塊がつくら
製造工場成形や加工が施され新しい製品に生まれ変わる

何にリサイクルされる?

アルミ缶は、自動車部品などの金属部品・ジュースや缶詰の缶などにリサイクルされます。

スチール缶は、自動車部品・電化製品・建築資材・橋・モーター・レール・一斗缶・缶ジュースや缶詰のお菓子の缶などにリサイクルされてます。

ペットボトル

ペットボトルの原料は、ポリエチレンテレフタレートと呼ばれる天然資源の石油を原料につくられる樹脂です。ペットボトルの容器本体とキャップ・ラベルは別のプラスチックでできているので、リサイクルするためには分別する必要があります。

リサイクルの流れ 

家庭・お店・市町村で決められたルールを守って正しく分別し資源ゴミとして出す(中を洗って、ラベル・キャプと分ける)
・スーパーマーケットなどにある回収ボックスに入れる
・集団回収に出す
市町村回収され、選別・異物除去され潰して固まりにされる
リサイクル工場きれいに洗浄されて細かく砕かれる(原料化
製造工場成形や加工がされ再び製品へ生まれ変わる

何にリサイクルされる?

ペットボトルは再びペットボトルにリサイクルされる他、食品トレイ・卵パック・包装フィルムやラベル・定規・ゴミ箱などのプラスチック製品や衣類や鞄などの繊維へとリサイクルされます。

プラスチック

プラスチックの原料は天然資源である石油からつくられる樹脂です。プラスチックは軽くて丈夫で衛生的であるため、食品の容器や包装、フィルム、シート、カップ、トレイ、買い物袋やゴミ袋、建築資材など多種多様な製品に使われています。

リサイクルの流れ

家庭・お店・市町村で決められたルールを守って正しく分別し、資源ゴミとして出す
・スーパーマーケットなどにある回収ボックスに入れる(トレイ)
・集団回収に出す
市町村回収され、選別・異物除去され潰して固まりにされる
リサイクル工場きれいに洗浄されて細かく砕かれる(原料化)
製造工場再度溶かして成形や加工が程これされ、再び製品へ生まれ変わる

何にリサイクルされる?

プラスチックは、ハンガー・洗面器・鉄道標識・植木鉢・文房具・マンホール・中央分離帯・土木建築資材・衣類・バッグなど多種多様な製品にリサイクルされます。

家電

家電製品には鉄や銅、プラスチック、金や銀などの貴金属や希少なレアメタル等の資源が使われています。

日本では、2001年まで使えなくなった家電製品は粗大ゴミとして自治体により回収され、リサイクルされずに埋め立てて廃棄されていました。

しかし、同年にリサイクル法が施行され特定家庭用機器

  • エアコン
  • テレビ
  • 冷蔵庫
  • 冷凍庫
  • 洗濯機
  • 衣類乾燥機

を対象に資源の有効活用と廃棄物の削減を目的にリサイクルが始まりました。

また、2013年には小型家電リサイクル法が施行され、掃除機やゲーム機器、ビデオカメラやデジタルカメラ、オーディオ機器などほとんどの家電製品が回収されリサイクルされるようになりました。

家電製品の回収は市町村の許可や委託を受けた業者が行い、市町村の責任のもと、適正に処理がされます。無許可の回収業者へ引き渡してしまうと、不法投棄、不適正な管理による火災の発生、違法な処理による有害物質の発生などのトラブルが懸念されます。

​​早く容易に回収して貰うことが出来るからといって、違法業者による巡回回収や、空き地回収などに出さず、私たちは正しい方法で正しい業者に家電製品を引き渡してリサイクルをしてもらう必要があるのです。

リサイクルの流れ

特定家庭用機器

家庭・事業所・家電販売店に自身で持ち込み回収してもらう
・家電販売店に回収を依頼する
・指定取引所へ自身で持ち込む
・自治体に回収を依頼する
・収集運送業者に回収してもらう ※違法業者に注意しましょう
家電販売店・回収業者・市町村指定取引場所へ運ばれる
家電メーカー・リサイクル業者分解回収される破砕され、鉄・アルミ・プラスチックなど種類ごとに分別され、それぞれ原料化される
家電メーカー・製造工場成形や加工が程これされ、再び製品へ生まれ変わる

小型家電

家庭・事業所・お店に設置されている回収ボックスへ持っていく
・市町村の設置するに回収ボックスへ持っていく
・市町村で決められたルールを守って粗大ゴミや不燃ごみとして出す
お店・市町村回収され家電メーカーやリサイクル業者へ運ばれる
家電メーカー・リサイクル業者分解回収される破砕され、鉄・アルミ・プラスチックなど種類ごとに分別され、それぞれ原料化される
家電メーカー・製造工場成形や加工が程これされ、再び製品へ生まれ変わる

何にリサイクルされる?

家電製品は、鉄や銅、貴金属、プラスチックなどそれぞれの素材別に原料となり、再度家電製品へとリサイクルされます。

なぜリサイクルが大事?

ここまでさまざまな素材のリサイクルについて見てきました。では、なぜリサイクルが重要視され、世界中で取り組まれているのでしょうか。その背景には「環境問題」と「ゴミ問題」があります。それぞれ確認していきましょう。

環境問題

モノを作るのにも捨てすのにも二酸化炭素が排出されます。このまま二酸化炭素の排出を抑えなければ地球温暖化は進んでしまう一方です。

また、モノを作るためには化石燃料などの資源を大量に消費します。地球の資源には限りがあるため、今のまま使い続ければいずれ枯渇してしまいます。

そこで、資源を守るためにも、リサイクルで資源の無駄遣いを防ぎ、限りある資源を有効活用することがとても大切になります。

リサイクルをすることは省エネにもなります。これは、同じモノを作るときに、天然資源を使っていちから原料を作ったり、資源や原料の輸入などにも必要となるエネルギー量よりも、資源をリサイクルしてモノを作る場合の方がエネルギー使用量を減らすことができるからです。

例えば、アルミ缶を原料となるアルミ地金へリサイクルして原料化した場合、ボーキサイトという天然資材からアルミ地金を作る場合と比べてエネルギー使用量を94%削減することができます。

エネルギー使用量が減ることで、地球温暖化の原因となる二酸化炭素などの排出量を減らすことができます。

ゴミ問題

世の中には便利なモノが溢れ、私たちの生活は快適で豊かなものになっています。しかし沢山のモノが流通する反面、不要となるモノ=ゴミの量が増加していきました。

一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)によると、日本の年間ゴミ総排出量は4,274万トン(東京ドーム約115杯分)に及び、1人あたりの1日のゴミ排出量は918グラムです。これは家庭から発生する一般廃棄物のみの統計であるため、産業廃棄物を含めると更に多くの排出量が多くなります。

これらのゴミは、焼却して減量されたり、直接埋立てるなどして処理されます。そのため、ゴミが増えてしまうと

  • ゴミ処理場の不足
  • 埋立て地の不足
  • 環境への悪影響
  • 処理費用の増加
  • 不法投棄やポイ捨ての増加

などの問題が懸念されるのです。

リサイクルが推進される現在においても、ゴミの最終処分場の確保は厳しい状況にあります。一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)によると最終処分場の残余容量(今後の埋め立て可能な量)は9,951万m3(前年比1.8%減)残余年数は21.4年(前年度21.6年)と減少してます。ゴミ処理場や埋立地が不足すると、新たに敷地を確保する為に森林伐採などの自然破壊が必要となります。

また、ゴミ処理施設の新設は、近隣住民からの反対などもあり容易ではありません。このままゴミが増え続けるとゴミの行き場がなくなってしまう恐れがあるのです。

さらに、ゴミを処理するには費用がかかります。ゴミ処理には税金が使われており、日本の年間ゴミ処理費用は20,885億円にも及びます。

そこで、上記のような問題を軽減する為にも可能な限りリサイクルをして、ゴミを減らすことが求められます。

では、日本ではリサイクルがどのくらい進められているのでしょうか。

日本の現状

ここからは、日本のリサイクルに関する現状を見ていきましょう。。

リサイクル率は19.6%

一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)によると、令和元年度の日本におけるリサイクル率は、19.6%840万トン(前年比マイナス0.3%)です。

EU諸国やアメリカ、日本などの先進国35か国が加盟するOECD(経済協力開発機構)により発表されているリサイクル率の統計(2018年度)によると、

  • 韓国が64%
  • スロベニアが54%
  • ドイツが49%

と高いリサイクル率となっており、続いてベルギーが34%、デンマークが32%です。

これらの数字と比較すると、先進国の中では日本のリサイクル率はそれほど高くないことがわかります。リサイクル率は国により算出に採用される廃棄物の定義が異なりますが、ここで用いられるリサイクル量は、廃棄物を再びの原料化して別の用途へ再利用される場合のリサイクルです。

一方、これが焼却でエネルギーを回収するリサイクル方法になると日本は2018年度で1位の74%になります。続いてフィンランドが57%、スウェーデンが53%となり、日本でのエネルギー回収率がとても高いことがわかります。

しかし、この方法は必ずしも環境に良いとは言えない上、廃棄物を原料として再生させていない為、一部の国ではリサイクルの方法として見なされていません。

次ではもう少し踏み込んで見ていきましょう。

3種類のリサイクル方法

リサイクルには「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」の3つの種類があります。イメージしやすいよう、プラスチックを例に1つずつ見ていきましょう。

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルとは、文字通りマテリアル(材料)を再生させて利用するリサイクルです。

このリサイクルの特徴は、廃プラスチックをプラスチックのまま原料化し、新しい製品を作ることができる点です。例えば、廃プラスチックがペットボトルやビニール袋に生まれ変わるといった、私たちがリサイクルで初めに思い浮かべるものが、マテリアルリサイクルになります。

最近では技術の発展と共に、品質管理や製造加工技術などのレベルが向上し、耐久性があり、扱いやすい多種多様なリサイクル製品の製造が可能となりました。

ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルは、廃棄物に化学的な処理を施して、原料に再生させた後にリサイクルする方法です。ケミカルリサイクルでは以下の5つの技術を用いて、廃プラスチックをプラスチックの原料や鉄の製造で必要となる還元剤やコークスの代用、ガスや油へと再生させます。

コークスとは

炭素が主成分となる個体。発熱量が強いことから鉄の製造で高炉の温度を上げるために用いられます。また鉄鉱石に含まれる不純物を取り除く働きをします。

◆原料・モノマー化技術

化学反応を利用して廃プラスチックを分解し、製品原料の樹脂やモノマー(プラスチックの原料を作る際の分子)まで戻す技術です。この技術を用いれば、使用済みのプラスチックを何度でも再生することが可能となります。日本はこの技術を使い、世界で初めてペットボトルを再び飲料用ペットボトルへ再生させることができました(ボトルtoボトル事業)。

◆高炉原料化技術

プラスチックは主に石油からできており、主に炭素と水素が成分です。この性質を活かし、鉄の製造過程で酸化鉄から酸素を奪う役割を果たすコークス(石炭を蒸し焼きにしたもの)の代用としてプラスチックを利用することを可能にしたのが高炉原料化技術です。これにより、天然資源の節約となり、更に水素の有効活用がで切るので二酸化炭素排出量の削減へも繋がります。

◆コークス炉化学原料化技術

石炭を蒸し焼きにすることでコークスができ、その際に炭化水素油やコークス炉ガスができます。これを廃プラスチックでも同様に、蒸し焼きにして、コークスや炭化水素油、コークス炉ガスを作る技術です。

コークス炉ガスとは

石炭をコークス炉で空気を遮断して熱分分解の後に回収されるガス。コークス炉用の燃料や都市ガス、化学原料として用いられます。

◆ガス化技術

廃プラスチックを熱で分解してガスにする技術です。回収された合成ガスは、水素やメタノール、アンモニアや燃料電池などの原料として使用されます。

◆油化技術

プラスチック製造と逆の工程を辿り、原料となる石油へと戻す技術です。1970年後半から油化技術の開発が進められましたが、大量のエネルギーが必要となる上に複雑な工程が加わること、爆発など危険なリスク対策が必要なことから採算が取れず、2000年代半ばまでに大型設備が撤退しました。

サーマルリサイクル

サーマルリサイクルとは、廃プラスチックを固形燃料化したり、焼却する際に発生する熱エネルギーを発電や蒸気として利用するリサイクル方法で、熱回収エネルギー回収とも呼ばれています。このうち、燃やす際の熱を利用した発電(焼却発電)は重要なエネルギー源として注目を浴びており、2019年時点で発電設備を用するごみ焼却施設は384箇所(全ごみ焼却施設の36%)あります。

プラスチックのリサイクル(マテリアル・ケミカル)は分別や細かい分離、処理など難しい点が多い中、サーマルリサイクルは、焼却することでエネルギーが回収できる、比較的容易で合理的な方法です。

そのため、プラスチックだけではなく全てのゴミ処理の手段として日本では広く展開されています。

日本のリサイクルのほとんどがサーマルリサイクル

前述の通り、日本の2018年のエネルギー回収によるリサイクル率(サーマルリサイクル)は74%です。また、日本のプラスチックリサイクル率85%のうちの60%はサーマルリサイクルです。この数字で表されているように、日本ではサーマルリサイクルへの依存が非常に高いことがわかります。

しかし、この方法はエネルギーの有効活用はされているものの、廃棄物を原料へ有効に再生させられていません。また、焼却の際に地球温暖化の原因となる二酸化炭素が大量に排出されてしまうことから環境への負荷がかかってしまっているのです。

これから求められるもの

世界的に見てみると、日本でのリサイクルの水準はそれほど高くないのが現実です。

今後はより環境に優しい方法で、より多くの資源を無駄なく有効活用することのできるリサイクルへのシフトが求められます。そのためにはリサイクルしやすい商品設計や、リサイクル工程の改良、設備開発や技術の向上が必要となるでしょう。

また、リサイクルだけではなく、リデュース(削減)やリユース(再利用)といった3Rの要素を取り入れた仕組みが重要となってくるでしょう。

環境先進国ドイツの事例

では、リサイクルに力を入れている環境先進国ドイツでは、どのような取り組みを進めているのでしょうか。具体的な事例を見てみましょう。

容器のデポジット制度

ドイツではPfand(プファンド)というデポジット制度があります。

Pfand(プファンド) とは

飲料用の容器(ペットボトル・瓶・缶)やケース、ヨーグルトの瓶容器などを購入する際に容器代のデポジットとして保証金を支払い、後に返却すれば同額が返金されるシステムです。

このシステムは、リサイクルを促すために1988年にペットボトルを対象にデポジット政令が制定されたのが始まりです。今では容器の種類ごとに8セントから25セント(約10円〜30円)のデポジット金額が設定されており、スーパーマーケットや酒屋に設置されている専用の機械やレジで返却することが可能です。

写真の機械では、丸い部分からペットボトルや瓶、下の部分からはケースごと返却できます。回収された容器はリサイクルされるものと、洗浄して再利用されるものがあります。再利用されるものは瓶で40〜50回ペットボトルは15〜30回繰り返し使われます。

町で見かける回収コンテナ

ドイツでは、町のあちこちで写真のような回収コンテナをが設置され、出かけるついでに気軽に対象物を入れることができます。左から茶色いガラス、白い(透明)のガラス、緑のガラス、そして最後に衣類と靴のコンテナです。

ドイツのガラス容器はデポジット制度の対象になるものとならないものがあります。デポジット対象外の容器(ワインやオリーブオイル、ジャムなどの瓶詰め容器など)はこのように設置されているコンテナに、色別に捨てた後に回収されリサイクルされます。

2018年のガラス容器のリサイクル率は83%で、ドイツではミネラルウォーターやジュースのような液体物、蜂蜜、デザート類など多くのもに瓶容器が使用されています。

また古着用のコンテナには、まだ使用できる状態で家庭で不要となった衣類や靴を寄付することができます。これは赤十字やカトリック教会労働連盟など、自治体から許可を受けた団体がコンテナを設置し回収します。写真のコンテナは赤十字が設置しているコンテナです。サイズアウトなどで不要になった物を、誰でも無理なく気軽に寄付できるシステムです。

使い捨て容器の代用となるRECUP・REBOWL

脱プラスチックの動きが強まるドイツを含むEU諸国では、2021年7月から使い捨てのプラスチック製品(カップ、フォーク、ナイフ、スプーン、お皿、容器、ストロー、マドラー、綿棒、風船の留め具)の製造販売が禁止されました。

以前より冷凍食品や調味料など多くの製品の梱包にプラスチックではなく紙が用いられていましたが、これに伴い紙製のストローやカトラリーが多く普及されるようなりました。そのような中、新たに広まりを見せつつあるのがRECUPREBOWLです。

RECUPとREBOWLとは

RECUP社が2017年から始めたデポジット製のテイクアウト用容器。100%リサイクル可能な容器をテイクアウトやケータリングに導入し、デポジット製(カップが1ユーロ、ボウルが5ユール)にすることで捨てる事なく顧客からお店へ返却。その後、洗浄して再び使用するシステムです。

容器は耐久性に長けていてカップは1000回、ボウルは200〜500回繰り返して使うことができます。

RECUPとREBOWLはカフェやレストラン、パン屋、ガソリンスタンド、またケアセンターや企業の食堂などでも導入されており、現在では9,400を越える導入事例があり、今後さらに広まるでしょう。ホームページで取扱店の検索もできるので、積極的に使用することができます。

日本でもこのような事例が今後増えれば、リサイクル率の向上が期待できるでしょう。

【補足】SDGsとの関係

最後に、リサイクルとSDGsの関連についても見ていきましょう。

まずはSDGsについておさらいです。

SDGsとは

SDGsとは2015年9月に国際サミットで採択された持続可能な開発目標です。「地球上の誰ひとり取り残さない持続可能なより良い世界」を目指すために、17のゴール(目標)とそれに付随する169のターゲット(やるべきこと)が設定されています。

2030年までの目標達成を目指し、日本を含めた加盟国でさまざまな取り組みが進められているのです。

目標12「つくる責任つかう責任」と関係

本記事で取り上げたリサイクルは主に目標12「つくる責任つかう責任」の目標達成に深く関連しています。目標12では「持続可能な消費形態を確保する」をテーマとし、11個のターゲットが設けられています。

その中でも

12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。

12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物資やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。

12.5  2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発 生を大幅に削減する。

の3つのターゲットでは、資源を有効活用するというリサイクルの概念が大きく関与していることがわかります。

このように、目標12の達成するには、環境への負荷を十分配慮し、限りある資源を有効活用しながら持続可能な社会を形成すること、つまり「循環型社会」へのシフトが求められ、その為にはリサイクルや3Rの更なる推進と浸透が大きな鍵を握ることになります。

SDGs12「つくる責任つかう責任」現状と取り組み、私たちにできること

まとめ

本記事ではリサイクルについて、背景や現状を事例や課題を含めてご説明しました。リサイクルは、私たちの生活に既に馴染みのある取り組みではありますが、他の先進国と比べても日本の現状ではまだまだ十分とは言えず、更なる技術の発展と推進が必要です。

特に日本では、焼却によるサーマルリサイクルの割合が非常に大きいことから環境への悪影響も懸念されています。今後は、リサイクル率を上げる為には他のリサイクル方法へのシフトがキーとなるでしょう。

私たち個人は、まずリサイクルについて正しく知ることが大切です!

そして、下記のような取り組みからはじめてみましょう。

  • ルールを守りゴミの分別を正しく行うこと
  • できるだけ環境にやさしいリサイクル可能な製品を選んで使用しすること
  • タンブラーやマイ箸などそ積極的に使い、使い捨てを減らすこと
  • モノを大事にしてゴミを減らすこと

小さなことの積み重ねですが、一人ひとりが意識することでリサイクル率の向上やSDGsの達成へと繋がります。これからみんながより豊かに継続して自然と共存しながら暮らしていけるように、リサイクルを生活に取り入れていきましょう。

参考文書
環境省_一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)について (env.go.jp)
環境省|日本の廃棄物処理の歴史と現状
日本容器包装リサイクル協会
アルミ缶リサイクル協会
スチール缶リサイクル協会
PETボトルリサイクル推進協議会
一般社団法人プラスチック循環利用協会
経済産業省
プラスチック循環利用教会|プラスチックリサイクルの基礎知識
Umwelt Bundesamt(ドイツ連邦環境庁)
ドイツ連邦政府