再生可能エネルギーとは?メリットやデメリット、日本・世界の現状、今後の課題も

「2050年までに温室効果ガスゼロに」

これは2020年10月に菅総理の初めてのスピーチの中で宣言されたもので、二酸化炭素を含む温室効果ガス実質ゼロの社会にしよう!ということを意味しています。

この達成に向けたキーワードは「カーボンニュートラル」。

カーボンニュートラルとは、地球温暖化の引き金となる二酸化炭素を含む温室効果ガスの吸収量と排出量が実質同じだとする考え方です。

現在、排出される温室効果ガスの8割がエネルギーに起因するものです!

つまり、今使っているエネルギーをなんとかしなければ温暖化を食い止めることができません。そこで注目を集めているのが再生可能エネルギーです。

とはいえ、再生可能エネルギーと聞くと、あまり馴染みのない言葉で難しそうと感じる方もいるかもしれません。

そこで今回は、再生可能エネルギーについて図やグラフを交えながら噛み砕いて詳しく見ていきましょう!

この記事でわかること

・再生可能エネルギーの概要

・再生可能エネルギーのメリット・デメリット

・自然エネルギーとクリーンエネルギー、新エネルギーの違い

・世界と日本の再生可能エネルギーの普及率

・再生可能エネルギーとSDGsの関係

目次

再生可能エネルギーとは?

再生可能エネルギーとは、地球環境の中に存在する太陽の光、風、水、バイオマスなどを利用したエネルギーです。

どのような種類があるのかみていきましょう!

再生可能エネルギーの種類

メインとなる下記6種類の再生可能エネルギーをご紹介します。

※上記のリンクをクリックするとさらに詳しく解説している記事に飛びます。

太陽光発電

太陽の力を利用してエネルギー化したものが太陽光発電で、基本的に太陽光量が遮られない広い土地に多く建てられます。

また、自宅で利用する場合も、なるべく多くの光を得られる位置に設置する必要があるため、ほとんどが屋根に取り付けられていますよね。

風力発電

写真:筆者提供<静岡県浜松市>

風の力を利用してエネルギー化したものが風力発電です。

昔から風は風車として使われ、製粉、風速計、水を高いところに引き上げるなどに役立ってきました。

風力発電所が設置されやすい場所は、風の強い海沿いや山の上。最近では風力の安定した海の上(洋上)に建てられる海洋再生可能エネルギー発電が拡大しつつあります!

水力発電

水の流れを利用してエネルギー化したものが水力発電です。

水力発電に利用される水車は、水の力で機械が回転することでエネルギーに変換させる特徴があります。ヨーロッパでは製粉、脱穀などに利用され鉱物採掘でも活躍してきました。

熱、地熱発電

地球内部の熱を利用してエネルギーに変える仕組みを地熱発電といいます。

地熱は気象条件や時間帯に関係なく24時間同じ供給量が期待できるため、ベースロード電源といわれています。

そのため再生可能エネルギーの中でも特に温暖化防止の役割が大きいものなのです。

日本は火山が多く存在し、効率よく利用するために火山帯の上に地熱発電所が作られています。

海流発電、潮流発電

海流や潮の流れを利用してエネルギー化したものを海流発電、潮流(ちょうりゅう)発電といいます!

バイオマス発電

動物のふん、間伐材を燃やしてエネルギー化したものをバイオマス発電といいます。

「初めて聞いた!」という方も少なくないでしょう。

実はバイオマス発電は電気が普及するずっと前、提灯のあかりや灯篭のあかりとして使われていたのです。

check! 間伐材って?

通常、木は成長すると混み合ってきて、日光が当たらなくなり空気の循環も滞ります。年数の経った木々が増えると若い木の成長の妨げになるため、一部の木を切り倒します。これを間伐といいます。この間伐によって倒れた木を間伐材といいます。

バイオマス発電ではこうした切り倒された間伐材を利用してエネルギーとして再利用。

以上、6種類の再生可能エネルギーを紹介しましたが、持続可能な未来に向けて今後さまざまな研究がなされるでしょう。

これらのエネルギーは繰り返し作られるものなので、持続可能なエネルギーとしてメリットが多いことも特徴です

再生可能エネルギーのメリット・デメリット

再生可能エネルギーの最も大きなメリットは、環境に配慮されているところです、そしてさらに、4つの付加価値が存在しています。

  1. 二酸化炭素排出ゼロ
    環境にやさしいエネルギーのため安心して利用ができます。
  2. いつまでも利用可能
    繰り返し使える資源なので、なくなることがなく安心して使えます。
  3. エネルギー自給率の向上
    地産地消という言葉があるように、国内で採取可能な資源を使うことで、他国からの輸入量を減らし自給率のアップにつながります。さらには国が2030年までに二酸化炭素量を46%削減すると宣言しているので国益にも繋がります。
  4. 地域活性化
    その土地の資源を利用するため、働く場所を生み出し地域活性につながります。

この4つの付加価値の理解を深めるために、ポイントとなるキーワードを見ていきましょう。

温室効果ガスと二酸化炭素の関係

温室効果ガスと二酸化炭素、再生可能エネルギーを知る上で欠かせない2つのワードであるため、改めて関係性を確認します。

温室効果とは、地球を温室内のように温める現象を指します。

温室効果ガスは、地球を温める要因となるガスの総称であり、そのうちのひとつが二酸化炭素なのです。

<温室効果ガス 総排出量に占めるガス別排出量の内訳>

  • 温室効果ガス
    太陽からの熱を地球に閉じ込めて地球をあたためるガス。地球温暖化対策の推進に関する法律によると、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンなど7種類のガスが該当する
  • 二酸化炭素
    温室効果ガスのうち、76%を占めるガス。もっとも地球温暖化に影響する。

つまり、代表格である二酸化炭素排出量を減らすことで、温室効果ガス全体の量を減らすことにつながります!

再生可能エネルギーと化石燃料の違い

写真:筆者提供 <三重県四日市市>

続いては、再生可能エネルギーと化石燃料との違いについて確認します。

再生可能エネルギーは自然エネルギーとも置き換えられるものであり、繰り返し利用することができる持続可能なもので、主に自然から得られるエネルギーを指しています。化石燃料との明確な違いは以下のようになります。

二酸化炭素排出量

化石燃料→排出する

再生可能エネルギー→ほとんどなし

持続可能性

化石燃料→有限資源なのでいつか尽きてしまう

再生可能エネルギー→くりかえしずっと使える

化石資源となるものは、補充不可能なものでいつかは尽きてしまいます。

化石という言葉の通り、もともとは数億年前の動植物等の生物由来のもので、太古に地中に貯蔵されたものが石炭、石油、天然ガスとなります。そのため化石燃料は新しくつくることが難しく、使った分だけなくなってしまのです。

また化石燃料は再生可能エネルギーとは異なり、二酸化炭素を排出するので環境への負荷が大きくなってしまいます。

<化石燃料から排出する二酸化炭素量>

引用元:エネイチ

再生可能エネルギーの環境負荷やデメリットは?

とはいえ再生可能エネルギーには、デメリットはないのでしょうか。

再生可能エネルギーは、エネルギーに置き換える際は二酸化炭素を排出しません。しかし、太陽光パネルを作る際や機械を作るときには二酸化炭素は発生します。一部ではそういった部分でクリーンではないとの声もありますが、20年30年経過しても再エネ機材は使い続けられるため、長い目でみた場合、非常にエコであると言えるでしょう。

【補足】原子力エネルギーとの違い

ここで原子力エネルギーとの違いを確認します。

原子力エネルギーはウラン鉱からウラン235を取り出して核分裂させます。原子力発電もクリーンなエネルギーではありますが、ウランは有限資源のため再生可能エネルギーとは異なります。

拡大が期待される太陽光エネルギー

ここまで再生可能エネルギーの概要について見てきました。次からは、再生可能エネルギーの中でも特に拡大が期待されている太陽光エネルギーについて詳しく説明していきます。

再生可能エネルギーの7割を占める太陽光の中でも注目されているのが「ペロブスカイト太陽電池」という日本発の技術です。

check! ペロブスカイト太陽電池ってなに?

太陽の光エネルギーを直接電気に変換する太陽電池。ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造の材料を用いた新しいタイプの太陽電池であり、「シリコン系太陽電池」や「化合物系太陽電池」にも匹敵する高い変換効率を達成する。

科学技術振興機構 「ペロブスカイト型太陽電池の開発」

太陽光発電は不安定?

様々な技術が開発されつつある太陽光発電ですが、時間帯によっては発電量が不安定だと聞いたことがある人も多いと思います。これは短期的な目線で見た場合のデメリットと言えます。

しかし天候は毎日変化するとはいえ、年間単位、数年単位で見てみると、発電量にほぼブレがないことがわかっています。実際に国のエネルギー研究開発をしているNEDOという機関が、各市区町村ごとの日射量を20年30年ベースで統計を出しています。

check! NEDOってどんな機関?

持続可能な社会の実現に必要な技術開発の推進を通じて、イノベーションを創出する、国立研究開発法人。

NEDOが掲げるミッションは、「エネルギー・地球環境問題の解決」と「産業技術力の強化」

例えば梅雨の時期は日射量が減るものの、毎日天気が変わるのは自然なことです。それでも365日、2年3年経てばそれなりに日射量は平準化するのです。

太陽光はむしろ安定した再生可能エネルギー

先述したように、日本の再エネ7割を占める太陽光は、その実績からも見て取れるようにシミュレーション化しやすいものです。

風力や地熱は、設置する場所が100m変わるだけでブレが生じます。

例えば、

  • 風力は海側でないといけない
  • 地熱は火山地帯が近い場所でないといけない

という地理的な限界がある一方、日光が当たる場所であれば設置できる太陽光は安定していると言えるのです。

自然エネルギー・クリーンエネルギー・新エネルギーと何が違うの?

続いては混同しやすい、

  • 自然エネルギー
  • クリーンエネルギー
  • 新エネルギー

との違いを見ていきましょう。

再生可能エネルギー

もともと日本にはなく海外からやってきた概念で、日本では既存の言葉に当てはまらなかったものを再生可能エネルギーという言葉で表されます。

クリーンエネルギー

  • 二酸化炭素排出が極めて少ないもの
  • 窒素酸化物など環境に有害な物質を排出しないもの

明確な定義はないものの、二酸化炭素排出量が極めて少ないものを原則とします。

  • 太陽光
  • 水力
  • 風力
  • 地熱
  • 燃料電池
  • コージェネレーション
  • 天然ガス

が含まれます。

新エネルギー

1997年成立の新エネルギー特別措置法がきっかけとなった言葉。経済省の施策により普及が進められているもの

自然エネルギー

自然エネルギーは固定価格買取制度が使われるようになった2011年以前に一般的に使われていた用語で、

  • 太陽光
  • 風力
  • 水力
  • 地熱

によるエネルギーを指します。

違いをまとめました

<新エネルギーの定義>

引用:関西電力
  • 再生可能エネルギーとクリーンエネルギーは同じ意味で使われる
  • 新エネルギーは再生可能エネルギーに含まれ、政令で指定されているもの
  • 自然エネルギーは固定価格買取制度が始まる以前に使われていた再生可能エネルギーを指す言葉

ここで、固定価格買取制度という気になるワードが出てきました。

一見少々難しく感じるワードですが、再生可能エネルギーを学ぶうえで知っておきたい言葉です。どのような制度なのか詳しくみていきましょう。

固定価格買取制度(FIT)とは?

固定価格買取制度(FIT)は2012年7月から始まり、再生可能エネルギーを普及させるために、国が電力会社に固定価格で買い取ってもらうことを約束した法律です。

もともとはドイツで90年代に本格的に導入され、そのあと諸外国が模倣し始めました背景があります。

諸外国と同様に日本でも最初に個人宅向けに「余剰電力買取制度1」の導入がスタート。導入当初、太陽光発電の設置費用は高額であったため、国から補助金2が出ました。実際、補助金によって設置個数は増えたものの、電源構成の再エネ比率はまだまだ弱い状況がありました。

そこで、電力構成の中の再エネ比率をあげるために、産業用の再エネ事業の普及がポイントだと考えられたのです。

1「余剰電力買取制度」とは?

2009年11月1日から2012年7月1日まで実施されていた制度。現在は固定価格買取制度に移行されている。

この制度は、家庭や事業所などの太陽光発電からの余剰電力を一定の価格で買い取ることを電気事業者に義務づけるもの。エネルギー源の多様化を図るとともに、地球温暖化対策や景気対策としても有効な制度とされていた。

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2 住宅用太陽光発電の補助金について

再エネ普及のために設けられた補助金制度は、当初機械の設置費用が高額だったため設けられました。

補助金によって住宅用太陽光発電の設置個数が増え、技術の革新によってシステム価格や設置費用も下降したため、国の補助金制度は2014年に廃止されました。

再エネの普及を加速させた出来事

その後、エネルギー業界に大きな影響を与えた出来事が、2011年3月11日に発生した東日本大震災です。この震災の二次災害となったのが福島第一原子力発電所の事故でした。

この事故で「原子力発電の危険性」「計画停電」など、さまざまな課題が浮き彫りとなり、政府はエネルギーのあり方をゼロから見直します。

なかでも再生可能エネルギーが安全性と信頼性の両方を備えていると認識され始め、さらなる普及を目指すため2012年に産業用の固定価格買取制度が導入されました。

それでは、2012年に産業用が導入されてから、普及状況にどのような変化があったのか見ていきましょう。

<再生可能エネルギー等(大規模水力除く)による設備容量の推移>

グラフを見ると、太陽光が2009年から2012年に9%、2012年から32%の比率で上昇していることが分かります。これは、2012年に産業用(法人用)の買取制度ができたのが大きなきっかけです。

固定価格買取制度のしくみ

ではここでもう少し踏み込んで固定価格買取制度のしくみについて見ていきましょう。

固定価格買取制度の流れとしては、

  1. 再生可能エネルギーでつくられた電気を、電気事業者の送電線に送る
  2. 電気事業者は受け取った発電量分を決められた価格に従い発電者に支払う
  3. 電気事業者が再生可能エネルギーを買い取る費用を消費者が分担する

となります。

買取対象

買取対象となる再エネは

  • 太陽光
  • 風力
  • 水力
  • 地熱
  • バイオマス

です。また、

  • 適切な設備があること
  • 新たに発電を始める事業者であること

が条件です。

買取量は原則として、発電したすべての量となりますが、住宅用の場合、10kw未満の場合は消費されなかった分が買取対象となります。(※1)

買取価格・買取期間

再生可能エネルギーを事業として取り組む場合に、買取価格と買取期間は重要なポイントです。

制度開始後3年間は高価格で設定される

「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(※2)によると、制度開始後3年間は固定価格が高めに設定されます。これは再生可能エネルギーの普及を、2012年の開始から3年で一気に加速させようとしたためです。

3年が経過した後の買取価格の見直しは、調達価格等算定委員会での議論によります。

買取費用の回収・国民の再エネ賦課金の負担

固定価格買取制度は電力会社が買い取ると決まっているため、新たに再生可能エネルギー事業を始める場合、必然的に顧客(電力会社)がつくことを意味します。

買取費用の負担システムについて見ていきましょう。

電力会社が買い取る負担額は全国民が支払っている

一般的な消費の流れとして、事業者のサービスにお金を払うのは顧客(消費者)です。

固定価格買取制度でいう顧客とは、買い取る側の電力会社。ところが実際には国民が分担して支払っています。

もう少し詳しく解説します。

電力会社は買い取る費用の一部を、わたしたちが毎月お支払いしている電気料金に「再エネ賦課金(ふかきん)」として上乗せして徴収しています。

上記の図のように、再エネを導入の有無にかかわらず、再エネ賦課金項目が明細表に明記されています。気になった方は、毎月届く検針票を確認してみるとみつかるかもしれません。

2012年に固定価格買取制度が導入されてから日本では再エネ導入がどんどん進んでいます。その分、賦課金も増えています。

2020年度の賦課金単価は2.98円/kWH、家庭用で10%、事業用で20〜25%を占めており、制度導入初年度と比較すると13倍です。2018年以降はほぼ横ばいになっていますが、今後しばらくは上昇傾向が続くと見られています!(※3)

ここまでが固定価格買取制度(FIT)の説明になります。

太陽光発電とは?SDGsとの関連性と導入メリット・デメリットを解説

世界の再生可能エネルギーの普及状況は?

続いては、再生可能エネルギーの普及状況を見ていきましょう。まずは世界の状況をまとめています。

主要国の再生可能エネルギー比率(2019年時点)

以下は、主要国の再生可能エネルギー比率(2019年時点)をまとめたグラフです。

主要国の中でもドイツの再エネ比率が総発電量のうち33.6%と高いことがわかります。

2030年までに再エネ比率65%を目標としているドイツは、2020年の時点ですでに再生可能エネルギーの割合が44.6%に達しています。(※4)

日本の再生可能エネルギーの普及状況は?

続いては、日本の再生可能エネルギーの普及状況を確認します。

<各国の再エネ発電導入容量2018>

世界と比較すると日本の再エネ比率は、総発電量のうち18%と主要国の中でも低いように見えるものの、この数値には理由があります。

再エネをスタートした時期の違い

実は、国によって再生可能エネルギーをスタートした時期の違いで普及率が変わってきます。

日本の再エネ元年は2009年で、そのタイミングで住宅用FIT法が制定されました。法人用のFIT法は2012年に始まったばかりです。

一方、ドイツは2000年に始まっているため、日本とは10年の差があります。スタートが10年違うことで普及率も変わり、導入基数にも差が出るのです。

後から普及させるメリットは、後出しジャンケンができること

とはいえ、一歩あとを歩くことはマイナスではなく、先頭集団を真似することができるためメリットがあります。

実際日本はこれまで、先に再エネ事業を始めた諸外国が抱えた課題解決に倣って動いてきました。例えばドイツは、スタート時に固定価格買取制度で高く買取すぎたことで、国の財源を圧迫してしまったという時期がありました。

その反省を踏まえて、ドイツが改善に改善を重ねた経緯を日本は真似して効率的に進められました。

国や地域によって異なる地形が、そのまま強みとなる

再生可能エネルギーは自然環境の力を利用するため、地形によって向き不向きの分野があり普及率にも影響してきます。ドイツを含めヨーロッパは偏西風があるため、風力が盛んです。風車が多いことからも分かるように、風力発電の環境に恵まれています。

対して日本は風力発電の影響力が低く、今後普及にくい種類と言えます。

その理由としては、

  • 風力発電は海沿いの一部の地域、そして太平洋側という条件がある。
  • 100m場所を変えただけでも発電量が変わる。

など、設置に関する条件が厳しいことが挙げられます。また、バードストライクという、野生の鳥が風力発電に衝突してしまう事故が起きています。野生動物を守るためにも、十分な調査を実施し、繁殖地や渡り鳥のルートを避けて建設することが不可欠です。

日本のメインの再生可能エネルギーは太陽光発電

一方で太陽光は地形を選ばないため、日陰でない限り安定して発電ができます。日本は日射量が多いため、メインの再エネとなります。さらにイメージしやすいよう、ドイツと日本の太陽光発電量を比較してみましょう。

<ドイツと日本での太陽光発電の導入量の推移 2017>

日本の太陽光発電の導入量の推移を見ると、法人向けFITが制度化された2012年を皮切りに急成長していることがわかります。2017年にはドイツやアメリカの累積導入量を超えて世界第2位となりました。今後も日本の再生可能エネルギーは、太陽光がメインとなっていくでしょう。

続いては、再生可能エネルギーを吹き有させるための課題や問題点についても見ていきましょう。

再生可能エネルギーを普及させるための課題・問題点

政府の法案で再生可能エネルギー比率を38%に引き上げると発表されているように、今後ますます普及が進んでいくことが考えられますが、ここでは課題をピックアップしています。

設備面

年間を通して安定して供給できるバイオマス発電は、使われていない間伐材を有効活用するのに期待される分野です。その一方で河川の水温を上げない発電所を作ることが課題となっています。

課題となる背景は、燃料となる木材を搬出加工する際に莫大なエネルギーを使うためです。木材が手に入りやすい山に設備を作ると河川の温度が上昇し、川魚が死滅してしまう可能性があります。

魚にとってたった1度の温度上昇は致命的。人が住む環境に例えると、気温が10度上昇することと同じ感覚だといいます。

コスト面

再生可能エネルギーは発電コストが高いことが課題として挙げられてきました。しかし実際のところ再生可能エネルギーは10年で9割近く安くなっているといいます。

Lazard社が実施した均等化発電原価分析をもとにVISUAL CAPITALISTが制作したグラフを見る限り、すでに太陽光は原子力発電より安価であることがわかります。

引用元:Yahoo!ニュース

2009年に比べると2020年の太陽光発電コストは90%減、風力発電に関しては70%減となっています。

太陽光発電コストが90%減になった理由

太陽光発電コストが90%減になった理由としては、技術革新が大きく影響しています。中国のメーカーが台頭してきたことで、安価なものがどんどん作られるようになりました。

安くなっただけでなく発電効率も向上しているため、普及率も上がっていくことで今後、さらに取り入れやすくなるでしょう。

次では、再生可能エネルギー普及に取り組む自治体や企業を紹介します。

再生可能エネルギーを進める自治体の取り組み事例

まずは自治体の取り組みです。

地産地消のエネルギーで町おこし。気仙沼市の挑戦

宮城県気仙沼市は日本有数の港町で知られますが、実は市域の72%が森林なのです。

しかし林業の比率はごくわずかで、林業従事者の高齢化に伴い手付かずの山が広がっているという状況でした。

そこで気仙沼市は循環型社会を目指すべく、震災復刻計画で「地産地消のエネルギーと持続可能なエネルギーの導入」を打ち出しました。

再生可能エネルギーの中で注目されたのが木材チップを利用するバイオマスエネルギーです。

気仙沼市は2012年に林業者を筆頭に間伐材の利用から木質チップ製造の研究会を開催し、2013年には燃料買取制度を導入、さらに2014年に熱電供給プラントを稼働させました。

現在は林業を支えながら1ヶ月で40から50万kwの電力供給を行なっています。(※5)

企業の再生可能エネルギー導入の取り組み事例

続いて企業の取り組み事例です。

日本初の大型潮流発電に成功した九電みらいエナジー

九電みらいエナジーは、再生可能エネルギーの開発と利用拡大、ならびに顧客の多様なニーズに応じたエネルギーの提供を通じて、

  • 持続可能な循環型社会
  • 低炭素社会

の構築に挑みます。

そのなかで九電みらいエナジーは2021年1月23日、国内初となる大型潮流発電機(500kW)を海底に設置し、発電を開始しました。

<大型潮流発電機「なるミライ」>

なるミライの設置は2021年1月に行い、4月末までに一般家庭約360世帯の1カ月分の消費電力に相当する7万9600kWhの発電に成功しています。

なるミライは、国が定める安全基準に大型潮流発電として初めて合格しており、今後の活躍が楽しみです。

エネルギー教育にも積極的に取り組む

九電グループでは、社員が保育園や幼稚園、学校を訪問し、環境紙芝居や環境やエネルギーに関する講座を開いています。

また一般の方や学生向けに講演会を実施するなど、教育分野にも力を入れています。

環境教育は今後非常に重要な分野です。

再エネが普及しているドイツを例に出すと、若者がエネルギー事業に積極的な理由のひとつに環境教育が重要視されている点があります。

日本でも幼い頃から遊びや体験を交えて環境問題を学習することは、持続可能な社会をつくるひとつの手段になるでしょう。

再生可能エネルギーの普及はSDGsの達成にもつながる

再生可能エネルギーが注目される理由のひとつに、SDGs達成へのつながりがあります。

ここでSDGsを簡単に説明してみましょう!

SDGsとは?

SDGsは国連が定めたもので、持続可能な環境、社会、経済を目指す17の目標と、それを達成する169のターゲットで構成された取り組みです。

再生可能エネルギーは、様々な目標の達成に関連しています。

目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」

目標7のターゲットに再エネに関する具体的な計画が掲げられています。

7.a 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する

目標6「安全な水とトイレを世界中に」

再生可能エネルギーのようなクリーンなエネルギーは、水の中に化学物質が紛れ込まないという点で安全な水を世界中で使えるようになります。

目標13「気候変動に具体的な対策を」

再エネ普及率をアップさせることは気候変動対策になります。

温室効果ガスが増えると地表に熱がこもり、地球温暖化が加速します。そうなると気候変動につながってしまいます。また石油や石炭、天然ガスを採掘するときに温室効果ガスのひとつメタンが発生します。

check! メタンガスってなに?

温室効果ガスのうち16%を占めるガス。熱を吸収しやすいことが特徴で、メタンが大気中に熱を封じ込める強さは二酸化炭素の90倍。大気中のメタン濃度を減らすことが地球温暖化対策のカギとなる。

目標14「海の豊かさを守ろう」

再エネを普及することで、石油石炭を扱う工場から誤って流れる産業廃棄物による海洋汚染を防ぐことができます。

例えば石油流出事故です。

石油がそのまま海に流出することで被害を受けるのは海の生態系です。海で生活する水鳥、哺乳類が石油汚染の犠牲となってしまいます。

石油石炭を減らし、再生可能エネルギーを普及させることで事故の根源を防ぎ、海の豊かさにつながってゆくのです。

目標15「陸の豊かさも守ろう」

再生可能エネルギーのうち、特にバイオマスエネルギーが目標15達成に関係してきます。

日本が抱える森林問題は、

  • 林業従事者の高齢化
  • 森林の高齢化

です。

バイオマスエネルギーの原料のひとつに未利用の間伐材があります。森林の高齢化を防ぐにはこうした間伐材を使い、新たに植林して若い木を増やすことで陸の豊かさが保たれます

まとめ

政府は温室効果ガスを2030年に向けて46%減らす計画を立てています。温室効果ガスの中でも76%の割合を占める二酸化炭素排出、その二酸化炭素の93%を排出するエネルギー問題を解決ことが目標達成につながるのです。

再生可能エネルギーの普及を進めることで、二酸化炭素排出量を減らし大気をクリーンに保つほか、

  • クリーンなエネルギーをいつまでも利用可能
  • エネルギー自給率の向上
  • 地域活性化

といったメリットが生まれます。

とはいえ自治体の取り組みを見てわかるように、「再エネの普及をはじめよう」と意気込んでも民間の力なしでは進めません。また、私たち個人も一緒になって再生エネルギーについて考えることも大切です。

私たちができる最初のアクションは、

  • 地球で起きている現状を知る
  • 気候変動の原因を知る
  • エネルギーが私たちの生活と地球に与える影響を知る

ことです。

カーボンニュートラルな社会を実現するために、ひとりひとりが上記を意識して行動していきましょう!

<参考文献>
※1 環境ビジネスオンライン「固定価格買取制度(改正FIT法)」
※2 法令検索「平成二十三年法律第百八号 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」

※3 自然エネルギー財団「再エネ賦課金の疑問に答える」
※4 BDEW 「Aktuelle Berechnungen von ZSW und BDEW:」
※5 森林環境多事争論「日本の森林は再生可能エネルギーの資源となり得るのか?」

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まずは日本・世界の現状を知り、私たちができることを考えましょう。