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坂・畠山法律事務所|SDGsと法律を組み合わせ、ビジネスを活発化させる

坂・畠山法律事務所 坂さんインタビュー

坂 昌樹

2005年の弁護士登録以来、メーカー・不動産・金融機関・システム開発等、多様な業態の企業顧問を担当し、「従業員ごと企業をレベルアップさせる」サポート提供が得意。部署ごとの壁を越えて、社内に横串を通しながら「従業員の経験値を共有、企業全体をレベルアップさせる」サポートを「成長法務」と名付け、クライアント企業に提供中。

また(一社)大阪青年会議所の理事としてSDGs推進を担当したことをきっかけに、2018年、企業活動にSDGsを浸透させるべく「(一社)SDGs推進士業協会」を立ち上げ、主に企業向けのサポートを展開中。

さらに、広報等媒体としての「マンガ」をビジネスに活用すべく2020年に「(一社)マンガEX協会」を立ち上げ、多方面から企業活動をサポート。また直近は、弁護士として「人権デューデリジェンス」を中小企業向けに提供できるよう、弁護士会でのチームを牽引する等の取組を進めている。

Introduction

通常の弁護士業務に加え、企業のSDGs導入や推進のお手伝いをしている坂・畠山法律事務所。代表弁護士の一人である坂弁護士は、一般社団法人SDGs推進士業会を立ち上げて、SDGsを世の中に広める活動もしています。今回の取材では、坂弁護士のSDGsに対する思いや弁護士としてSDGsにどの様に関わっているかを中心に、話を伺いました。

士業仲間と共にSDGs推進士業会を立ち上げる

–坂・畠山法律事務所のHPを見ると、SDGsにかなり力を入れている印象を受けました。SDGsに取り組み始めた経緯を教えていただけますか?

坂さん:

私は2017年から3年間、大阪JC(一般社団法人大阪青年会議所)で役員をしていました。役員にはそれぞれ役割があり、私は2017年と2019年にSDGsの推進を担当したんです。その時にSDGsの活動はJCを離れても継続的に取り組むべきだと感じました。そこでJCで知り合った仲間たちと、2018年に一般社団法人SDGs推進士業会を立ち上げました。

–一般社団法人SDGs推進士業会は、その名の通り士業を生業とする方が集まっている法人なんですよね。

>>一般社団法人SDGs推進士業会 インタビューはこちら

坂さん:

はい。SDGs推進士業会では、一般企業・自治体・NPO・学生、その他いろんな方々にSDGsを広める活動をしてきました。しかし、そのような活動を行っている団体はたくさんありますよね。そこで2021年頃から、さらに踏み込んだ活動を進めていきたいと考え、法律知識とSDGsを掛け合わせた事業を展開していこうとなりました。

–まずは一般社団法人SDGs推進士業会を立ち上げて、そのあとご自身の弁護士事務所で法律に特化したSDGsの活動をしようと考えたんですね。

坂さん:

はい。私は企業がクライアントになるケースも多いため、そこに対してSDGsの考え方を伝えていくことと、取り組みをサポートすることが使命だと考えています。

SDGsの考え方を使って楽しみながら会社の目標を考える

–具体的にはどのようなサポートをされているのでしょうか?

坂さん:

多くの会社は企業理念の中に、「社会を良くする」という目標がすでに入っています。そのため、どう社会を良くするのかを具体化するために、SDGsを一つの指標に利用するといいですよとお伝えしています。

坂さん:

加えて、SDGs推進チームを作るときは、総務担当やCSR担当だけが集まるのではなく、さまざまな部署から人を集めるといいですよとおすすめしています。

–それはなぜでしょう?

坂さん:

部署の垣根を越え、色々な人が集まって目標を考える作業は普段なかなかない体験ですし、きっとワクワクすると思います。そして一緒になって「未来に何かいいものを残すんだ」「いい世の中にするんだ」という気持ちを、実際にどう活かしてどのように形にするかを考える過程は楽しいはずです。

–SDGsの考え方を踏まえながらみんなで共通の目標を立てると、社員同士も一つになれるきっかけづくりにもなりそうですね。

坂さん:

その次のステップとして、自社だけでなく取引先とも連携してSDGs活動をすることも可能ですとお伝えすると、「なんだか楽しそうですね」とおっしゃる方が多いです。

–企業としてもSDGsを事業に取り入れるとなると、何から始めればいいのかわからないことも多いと思います。その中でアドバイスをしていただける坂・畠山法律事務所の存在は心強いですね。

誰もがワクワクできる平和な世の中を作るためにSDGsを推進

–「楽しむ」「楽しい」というキーワードが何度か出てきていますが、坂さんは楽しみながらお仕事をすることが大事だと考えていらっしゃるんでしょうか?

坂さん:

実際に私も、JCで役員になり活動していく中で、SDGsで色々な人と繋がりができるのが楽しくて活動を続けていますし、今もその気持ちは変わっていません。

また、私は誰もがワクワクしながら生きられる世の中が理想だと考えています。「明日どんなことがあるんだろう?」とワクワクしながら眠る、朝起きたら「今日はどんな楽しいことがあるのだろう?」と考えてワクワクする。これは平和な世の中でなければできないことです。

–確かに戦争や紛争が起こっている地域では、ワクワクすることを考える余裕もないと思います。

坂さん:

平和を実現するためにもSDGsには、今の世界が抱える課題を解決する力があると感じています。例えば、お腹が空いている人にはどうすればいいか、戦渦に巻き込まれている人にはどうすればいいかといった課題に対して、SDGsには様々な視点から物事を考えるヒントが詰まっているんです。

ー誰もが平和に過ごせる世の中にするために、SDGsの考え方を使っていきたいんですね。

坂さん:

平和な世の中になるためにはさまざまな課題を解決する必要がありますが、私は生活の基盤であるビジネスがパワフルであることが大切だと考えています。

ー貧困をなくし、平等な社会にしていくためにはお金も必要ですね。

坂さん:

SDGsの考え方を広めてビジネスを活発化させ、さまざまなビジネスを誕生させていくことは、世界平和にも繋がると信じています。

取引先の従業員への教育で、企業全体をレベルアップさせる

ー今後の展望をお聞かせください。

坂さん:

弁護士ならではの活動として、人権デューデリジェンスに力を入れていきたいです。SDGsと弁護士の活動を繋げようと考えたとき、クローズアップしやすいテーマは人権の分野だと考えています。一方、例えば環境分野などは、クライアント企業と一緒に考えることはできても、私個人には直接的な解決に結びつくための技術があるわけではありません。

人権デューデリジェンスとは

企業が適切かつ継続的に人権に対するリスクを評価し、コントロールすること。長時間労働や賃金の未払い、ハラスメントなど組織内で発生する問題と、強制労働や若年者の労働、外国人労働者の権利を侵害することなど、グローバルな問題の2つが挙げられる。

ー人権デューデリジェンスの活動を具体的に教えていただけますか?

坂さん:

弁護士会とも連携して、主に中小企業向けに、人権デューデリジェンスに対応する手引きや仕組みをつくろうとしています。

ーなぜ中小企業向けなのでしょうか?

坂さん:

上場企業は上場手続きの際に、コーポレートガバナンスコード(企業経営を管理監督するシステム)に人権について明記されており、多額の資金で独自の仕組みを作っていることが多いと思います。でも、中小企業にはそこまで体力がない場合がほとんどです。

ー上場企業と中小企業では資金力も違いますからね。

そのため中小企業は、人権デューデリジェンスについてすぐに対応できないケースが多いんです。そこで中小企業でも対応できる手引きや仕組みを作ろうというわけです。さらに、当事務所独自のサービスとして「成長法務の提供もしているんです。

ー「成長法務」の提供とはどのようなものですか?

坂さん:

企業からのご相談を通じて従業員への教育を提供するサービスで、企業全体がレベルアップすることを目的としています。例えば総務の方が、営業の方に頼まれた契約書を持って、不備がないかチェックしてほしいと私を訪ねてくるとします。するとその総務の方は契約書についての知識が高まっていきますが、その経験値が共有されない限り、営業の方には法律知識についてレベルアップする機会がないわけです。

ー契約書の知識は、実際に他の企業とやりとりを行う営業担当者にもあったほうがいいですよね。

坂さん:

そうなんです。そこで定期的にミーティングや勉強会の場を作って、例えば契約書に関する知識を、社内全体で共有したほうがいいと思うんです。契約書以外の問題も、社内で共有できれば、一人ひとりの従業員がレベルアップすることを通じて、会社全体としてレベルアップできますよね。

ービジネスをスムーズにするため、会社を成長させるために、社員一人一人がレベルアップすることは大切ですね。

坂さん:

同じことをSDGsでもできれば、会社にいる方たちで問題意識を共有してレベルアップしていけるはずです。だから莫大な費用をかけず、中小企業でもできる仕組みづくりをやっていこうと思っています。

ー大企業も中小企業も、同じように社会を盛り上げていけるといいですね。
本日は貴重なお話しを聞かせていただき、ありがとうございました。

関連リンク

坂・畠山法律事務所ホームページ:https://sh-law-office.com/