SDGs(持続可能な開発目標)は2015年9月に開かれた国連サミットで、加盟国の全会一致によって採択されました。
SDGsは世界が抱える「環境」「社会」「経済」の課題を解決すべく、17の目標と169のターゲットで構成されており、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」を理念に、2030年までに持続可能で、よりよい世界を目指す取り組みが行われています。
SDGs11「住み続けられるまちづくりを」はすべての人が安全で安価な家に住むことを目指しています。
日本に住んでいると「安全な家に住めない」という状況はなじみがないかもしれません。
しかし地方創生という観点から日本の現状にも課題があります。
SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の達成を目指して、日本や海外の企業や団体の取り組みも多岐に渡りますが、この記事では私たちにできることを紹介します。
目次
SDGs11の達成に向けて私たちにできること
SDGs11「住み続けられるまちづくりを」を達成するために私たちにできることには、このようなものがあります。
私たちにできること①家の電気を自然エネルギーに変える
地球規模で問題になっている温暖化。年々上がっていく気温や異常気象による自然災害がこのまま増え続けると、私たちは安全に暮らすことが難しくなってしまいます。
そこで、地球温暖化の原因であるCO2の排出量を削減するために「自宅の電気を自然エネルギーに切り替える」ことを提案します。
日本のエネルギー状況
自然エネルギーとは、太陽光・風力・水力・地熱といった自然の力を利用したエネルギーを指し、世界的に導入が進んでいます。その一方で、日本では自然エネルギーの占める割合はわずか20%で、残りの約80%を火力発電が占めているのです。※1
この影響もあって、日本のCO2排出量の最大要因は発電からとなっており、その割合は40.1%を占めます。
さらには、家庭のCO2排出量の半分(46.7%)も電気からとなっているのです。
裏を返せば、私たち1人1人が家庭の電力を自然エネルギーに切り替えれば、CO2排出量削減に大きなインパクトを与えられるのです。
とは言え、
- 自然エネルギーは高い
- 手続きが面倒くさそう
というイメージをお持ちの方も多いはず。
その点、自然エネルギー100%の「ハチドリ電力」は、切り替えが簡単で、大手電力会社より安い料金プランを提案しています。
自然エネルギー100%の「ハチドリ電力」
ハチドリ電力を選択すれば、CO2を排出しない自然エネルギーが使えるようになるだけではなく、さまざまなメリットがあります。
- 大手電力会社より安い料金プラン
- 電気代の1%が自然エネルギー発電所を新設する資金に当てられる
- さらに、電気代の1%がNPOなどの社会貢献活動に寄付される
自然エネルギーを選択するだけで、多くのことに貢献できるようになるのです。加えて、電気料金も安くなる!
個人にも、地球もうれしい、まさにwin-winの取り組みです。
公式サイトでは、「料金シミュレーション」で現在の電気料金と比較できるので、興味のある方は一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
私たちにできること②サスティナブルツーリズムに参加する
あなたは旅行が好きですか?筆者は大好きです。普段とは違う場所へ行き、刺激的な体験ができる旅行は楽しいですよね。
しかし、旅行が環境や人に与えるインパクトについて考えたことはありますか?ここでは、観光の仕方について少し考えていきましょう。
サスティナブルツーリズムとマスツーリズム
もともと観光は富裕層が行くものでしたが時代の変化により、徐々に大衆にも広がりを見せ、今では誰もが旅行できるようになしました。これをマスツーリズムと呼び、観光業界は盛り上がりを見せましたが、その一方で、観光地に多くの人が押し寄せたことで、環境や文化の破壊が問題視されるように。
実際に起きた事例を見てみましょう。
バルセロナでは観光客の増加に伴い、物価が急上昇。市内に住むことができなくなり、郊外に引っ越すことを余儀なくされた住民も。
観光客の増加に伴い、駐車場が増加。美しい景観を阻害しているという指摘が。
汚物の放置で環境悪化。マナーを守れない登山客への指摘も。
マスツーリズムは、確かに経済効果は大きいでしょう。しかし、経済と環境、地元住民が暮らしやすいまちを保つことのバランスを取る必要があると指摘されるようになったのです。
そこで登場したのが「サスティナブルツーリズム」です。
サスティナブルツーリズムとは、経済はもちろん、地域文化・環境の保全も同時に行う観光業のあり方です。具体的に、「環境先進国」と言われるニュージーランドの取り組みをご紹介します。
ニュージーランドが掲げる「環境に配慮した観光」とは?
ニュージーランドでは、旅行者向けの環境への配慮をまとめた指針「ティアキ・プロミス(TIAKI Promise)」を発表しました。「ティアキ」とは、ニュージーランドの先住民マオリの言葉で、「環境や人々を守る」という意味です。
この指針では、以下の5つのポイントが提言されています。
- Protect Nature(自然を守る)
- Keep NZ Clean(クリーンに保つ)
- Drive Carefully(安全運転をする)
- Be Prepared(準備を怠らない)
- Show Respect(敬意を払う)
筆者もニュージーランドに住んだことがありますが、豊かな自然を利用したトレッキングやカヌー、サーフィン、キャンプなどのネイチャーアクティビティが盛んな国です。観光客だけでなく、地元の方もこのような遊びを楽しんでおり、自然を愛する人が多い印象でした。
ニュージーランドの観光産業は、外貨収入における最大の収入源です。しかし、行き過ぎた観光は自然環境を破壊する危険性もあります。増える観光客によって豊かな環境が破壊されないよう、政府が対策を打つことによって、自然環境、地元住民、経済のバランスを上手に保っているよいお手本ではないでしょうか。
これから旅先を決める際には、このようなサスティナブルな観光地を選択肢のなかに取り入れてみてはいかがでしょうか。
私たちにできること③地域活動に参加する
ここでは、地域活動に参加することを提案します。
あなたは自分の「住んでいるまちを良く知っている」と自信を持って言えますか?筆者は以前まで、自分が住むまちついて知ろうとせず、勝手に「魅力のないまちだ」と思っていました。そんな時に、まちについて調べる機会があり、さまざまな情報を知ったことで愛着が湧くようになったのです。
そして自分のまちをよく知ることで、より住みやすいまちにしようと意識できるようになると思います。さらには地域で活動することで、地元経済の活性化にもつながるのです。次では具体例として愛知県名古屋市の取り組みを紹介します。
名古屋の魅力を発見する「大ナゴヤツアーズ」
愛知県名古屋市で活動する「大ナゴヤツアーズ」は、名古屋のまちを中心とした東海エリアのまちの魅力を「体験」「学び」「見学」「まち歩き」などを通して楽しめる体験プログラムツアーです。
通常のツアーと違う部分は、「その道のプロ」がガイドをしてくれること。料亭の女将や猟師、酒蔵の蔵元など、その道を極めたプロだからこそできるディープな体験を提供しています。
地元の魅力を再発見できるツアー内容
具体的には、以下のようなツアーを行っています。
地元の伝統工芸を体験します。地元に残る伝統文化をよく知るきっかけとなります。
くくり罠をしかける、射撃体験、鹿の解体など。地元産のジビエがどのように獲れて、加工されているかのプロセスを体験できます。
このようなツアーに参加することで、今まで知らなかった地元の魅力を再発見し、さらに地域に愛着が持てるようになるはずです。
また、参加者同士の交流も生まれ、「顔の見える人付き合い」ができます。顔見知りが増えることで、「この地域にはあの人がいる」と具体的にイメージでき、地域と人を結びつけて考えられるようになりますよね。
他にも、地域の清掃活動やボランティアなど、積極的に参加するのもおすすめです。地域活動に参加することで、コミュニティがさらに広がり、今いる地域をよりよくするための行動を起こしやすくなるかもしれません。
私たちにできること④投票する
「SDGsと投票って関係あるの?」と思いましたか?大いに関係あるんです。
投票は私たち1人1人が政治に関われる貴重なチャンスであるため、SDGsの視点を持って選挙に参加することを提案します。
投票に行くことの重要性
政治は私たちの生活に深く関わっています。自分の地域の候補者がどんな政策を持っていて、どのように私たちの生活がよくなるのか、きちんとチェックして投票することで未来が変わります。
私たちの1票で選ばれた議員が、国や自治体のお金の使い道を決めるため、例えば、その議員がダム建設に力を入れているのか、それとも子どもの教育に熱心なのか、どのような政策を掲げていて、それがあなたの考え方と合っているのかを考えてみましょう。
政治にあまり関心がないという人でも、まずは選挙に行ってみることが大切です。
どんな候補者を選べばいいの?
では、目標11の視点で候補者を選ぶと考えたら、どんな政策を打ち出している人を選ぶとよいでしょうか?具体例を考えてみました。
- 防災の意識が高く、具体的な政策を打ち出しているか?
- 女性の雇用促進や少子高齢化問題への具体的な政策があるか?
- 高齢者や障害者でも利用しやすいバリアフリーなまちづくりの提案ができているか?
- 環境に配慮したまちづくりを提案できているか?(地域エネルギー・バイオマス産業都市の推進など)
ここで注意すべきは、例えば「太陽光エネルギーを推進する」と言っても、それが無計画な森林の大規模伐採であれば、逆に環境に悪影響になることもあります。そのような細かい部分まで、候補者の政策をチェックできるといいですね。
私たちにできること⑤普段の生活から意識を変えてみる
「住みやすいまちづくり」と言うと、「何か壮大なことをしなければいけない」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
あなたの意識1つで、今すぐできることを考えていきましょう。
サポートが必要な人を知る
目標11では、女性や子ども、障害のある人、お年寄りなど、すべての人が支え合い、住みやすいまちにすることを目標としています。
普段生活をする中で、妊婦さんや障害を持った人、高齢者など「サポートが必要な人」に出会う機会は誰にでもあるはずです。
では、例えば目の見えない人が何か困っている様子だったとします。あなたはどんな行動を取りますか?
知識がないとどうすればいいのかわからず、なかなか行動に移せませんよね。
そこで、
- どんなサポートを必要としているのか
- 具体的に何をすればいいのか
などを事前に知っていれば、いざというときにサッと手助けができるようになるはずです。
具体的にサポートが必要な人とそのマーク
ここでは、具体的にサポートが必要な人とそのマークを紹介します。
マタニティマーク
妊婦さんがつけているマタニティマーク。まだお腹が目立っていない妊娠初期でもつわりなどで苦しむ女性もいますし、ホルモンバランスの変化から精神的に不安定になることもあります。
電車内でマタニティマークをつけている女性を見かけたら、席を譲ってあげましょう。重い荷物を持ってあげるものいいですね。
ヘルプマーク
2017年に東京福祉保健局が作成した、援助や配慮を必要としている方々が、そのことを周囲に知らせることができるマークです。
見た目にはわかりにくくても、
- 義足や人工関節を使用している方
- 内部障害や難病の方
- 妊娠初期の方
など、援助や配慮を必要としている方がいます。
最近は全国に普及してきており、このマークをつけている人をよく見かけるようになりました。何か困っていることがあったら、サッと手を差し伸べたいですね。
目が見えない方の接客方法
最近、「障害を持った方への接客指導の徹底」を行っている飲食店を取り上げたテレビ番組がありました。
そこでは、特に盲目の方を接客するときの注意点が挙げらていて、誰もが知っていればとても役に立つものです。
盲目の方をサポートするときの注意点
- 急に腕をひっぱったり、肩や背中を押さない
動きを拘束されると安心して歩くことができず、不安を感じてしまいます。 - 障害者の方自ら、誘導する人の肩や腕を掴んでもらう
歩く速度を相手に合わせてあげましょう。 - 代名詞や指差し表現ではなく、具体的に「あなたの右」「タバコの箱くらいの大きさ」と説明する
「ここ」「それ」「あそこ」などの表現や指差しではわからないため、なるべく具体的に説明してあげましょう。
このような対応を事前に知っておけば、いざ障害のある方を目の前にしても落ち着いて接することができるのではないでしょうか。
まとめ
この記事ではSDGs11「住み続けられるまちづくりを」で私たちにできることを紹介しました。
SDGs11は私たちのくらしに関わる目標です。
すぐに成果を出すのが難しい目標ですが、まずは周りの方への配慮から始めてみましょう。
「自分ごと」として捉え行動することが、SDGs11達成の第一歩です。