SDGs(持続可能な開発目標)とは、2015年に国連によって採択された世界共通の目標です。
2030年を期限とし、環境・社会・経済を軸に世界の誰もが公正かつ平和に生きられる社会を実現するために17の目標が掲げられています。
SDGs15「陸の豊かさも守ろう」は毎年減り続けている森林面積の減少を食い止め、自然や生物を守るためにたてられた大切な目標です。
この記事では、日本や世界のSDGs15の現状について仮説していきます。
企業や団体の取り組み事例、私たちにできることは別の記事で紹介しているので気になる方は要チェックです!(リンクをクリックすると記事に飛びます)
目次
SDGs15「陸の豊かさを守ろう」日本の現状
林業の従事者の高齢化によって、現在の日本の森林面積は減少傾向にあり、管理できる方が減っています。
また、海外から安価な木材が輸入されるため、国産木材の需要が減っています。
国産の林業の収入が安定しなくなっていることも林業の担い手が現象している要因の一つです。
日本の森林面積や伐採量について詳しく見ていきます。
<日本の森林面積の推移のグラフ>
日本は雨季があり、森林が育つための十分な降水量がある国です。
日本は森林大国と言われ、国土の67%(3分の2)を森林が占めています。その面積は約2,500ヘクタール。
過去40年間、日本の森林面積は横ばい、急激に増えているわけでも減っているわけでもありません。
ここまで聞くと、日本の森林は安定しているから安心していていいのでは?と思うでしょう。
しかし日本には日本なりの課題があります。
それは、日本で使用している木材が海外からの輸入木材が大半だということです。
自国の森林資源に対する年間伐採量
これはどういうことでしょうか。
森林の機能を果たすために管理するのは林業従事者です。
国勢調査によれば、林業の担い手の高齢化により昭和55年と比較して減少傾向にあります。
下の図をご覧ください!
<林業従事者推移>
森林の高齢化とともに、林業でも高齢化が進み、定期的に管理できる人が減っています。
安価な輸入木材に押されて国産木材の需要が減り、国産林業が稼げなくなっていることもひとつの要因です。(※4)
輸入木材を入手するということは、国産木材が使われずに蓄積します。
樹木にも収穫適齢期というものがあり、伐採せずに放置すると森林の高齢化が進みます。
そして、森林の高齢化がすすむと若い木が育つ場所がなく、森林の少子高齢化がすすむのです。
そうなると、「高齢化の樹木を安く売ればいいじゃないか。」
そう思われる方もいるでしょう。
高齢化した樹木は幅が太いため住宅用木材としての使用は難しく、安く販売されても手間がかかってしまいます。結果使えなくなってしまった樹木は放置され、森林に蓄積していくのです。(※5)
>>トップに戻る場合はこちら
世界の陸地・森林面積の現状
一方で世界ではどうでしょうか。
日本が国産木材を使用せずに輸入しているのならば、輸入先の樹木は当然減るわけです。
今からさかのぼること約1万年前、世界の森林は62億ヘクタールありました。
文明の発展とともにその面積は変化し、現在では陸地の31%(約40億6,000万ha)まで減少しました。
林野庁が示す気候帯別の森林面積の割合では、
- 熱帯 45%
- 亜寒帯 27%
- 温帯 16%
- 亜熱帯 11%
と分類され、世界の半分弱が熱帯地域に分布されていることがわかります。
危機的な世界な森林破壊
Global Forest Watchによると、世界の森林破壊は危機的状況です。
どれくらい危機なのかを説明すると、6秒ごとにサッカー競技場と同じ面積の森林が失われているのです。
Global Forest Watch の公式サイトでは、世界の森林状況をリアルタイムで観察できるシステムを導入し、公開されています。
ここで気になるのは、世界の森林面積の減少状況です。
1990年以降、世界の森林面積は1億7,800万ha減っています。この広さはアフリカ・リビアの国土面積とほぼ同じです。30年で国ひとつ分の森林が失われているのです。
森林の減少速度は地域によって異なります。一部の地域では極端な減少がみられますが、植林を行うことで森林減少速度が低下した国もあります。実際、温帯地域の中国やベトナムでは植林活動が活発になっています。(※7)
では森林減少が最も高い地域はどこなのでしょうか。
グラフからわかるように、森林減少で目立つ国はブラジルですね。
ブラジルは世界最大規模の熱帯林を持つアマゾンがあります。アマゾンは世界の熱帯林の半分を占める森であり、豊かな水と多種多様な命を育みます。
アマゾンは生態系の宝庫であるほか、二酸化炭素排出削減の枠組みであるパリ協定においても重要な位置にいました。
しかし、2019年1月にブラジルではボルロナロ氏による新政権が発足しパリ協定から離脱し、同時にアマゾン地域を中心に森林開発が加速し始めたのです。
しかし2021年4月、アマゾンの森林破壊にしびれを切らした世界各国がブラジルに圧力をかけ、ボルソナロ氏は気候首脳会議で2030年までに違法伐採をなくすと宣言しました。
もともとブラジルでは1940年代からアマゾン開発計画が始まり1960年にはアマゾンに大規模な道路が建設されたり森林を伐採して農地にしたりと15%の森林が消失したのです。
加速する熱帯雨林の減少
ブラジル国立宇宙研究所によると、ブラジルアマゾン地域の森林消失面積は2019年に過去最悪を更新したと発表しました。
アマゾンの破壊の現状詳細
1994年と2015年を比較するとアマゾン付近の熱帯雨林は前出の通り15%がすでに消失、この広さは日本の国土面積の1.1倍に相当します。
世界の熱帯雨林減少の理由はブラジルのアマゾン開発計画だけではありません。
次にご紹介するのはインドネシアの熱帯雨林の減少状況です。実はわたしたちの身の回りに使われるパーム油の需要が熱帯雨林減少原因になっているのです。
パーム油の需要増加
パーム油はアブラヤシからとれる植物油です。アブラヤシは高温多湿の熱帯地域に生育し、国別生産量ではインドネシアが1位です。
増え続けるパーム油の生産量
上記グラフを見ると、パーム油の需要が増えていることがわかりますね。
需要が増える理由は、汎用性が高いことや安価であることに加えて、1年中栽培が可能であるためです。
私たちの生活の中にもあらゆる場面でパーム油が使われています。世界ではひとりあたり年間8kgのパーム油を消費しているほどです。
例えば、
- パン
- お菓子
- 洗剤
- カップ麺
- 固形石鹸
- シャンプー
- 車の燃料
などが挙げられます。
このように使用頻度が高いパーム油ですが、日本をはじめとする諸外国は輸入に頼っているのです。
しかし、パーム油の生産量が増加するにつれ、熱帯雨林は減少していきます。
アブラヤシは赤道付近の熱帯で育つため、アブラヤシを育てるプランテーションは必然的に熱帯雨林の生息する場所と重なります。
需要の増加に伴いアブラヤシ農園を拡大するために熱帯雨林を切り開きます。その結果、野生動物の住処はどんどん失われてしまうのです。
また農園を横断する際、人との接触を防ぐために罠が設置され、ゾウやオラウータンが被害を受けています。
貧困・伝統農業と森林減少の関係
貧困を解決することは森林保護につながると、1980年代後半に国際機関で広まりました。
多くの人は貧困問題と聞くと、飢餓や難民、児童労働、紛争を想像するでしょう。しかし貧困は環境問題と密接な関係を持っています。
ここでマダガスカルの事例をあげましょう。
マダガスカルは熱帯雨林が豊富で貴重な生態系にも恵まれた国です。
マダガスカルは元来森に覆われていましたが、50年で森林が4割減少し宇宙から観測した写真も今では砂漠化が深刻化しています。
それはマダガスカルの伝統的な特徴が要因となっています。
マダガスカル人はタヴィという焼畑農業があります。熱帯雨林を燃やし水田に変えるタヴィは2、3年もすると土壌が劣化し作物が育たなくなります。
そうなると新たに熱帯雨林を燃やすように繰り返されます。
さらにマダガスカルを含むアフリカの貧困地域に同じことが言えるのですが、貧困の中で生きる人々はその日を生き抜くために地球環境に配慮する余裕がないことが環境破壊を加速させています。
その日をなんとしてでも生き抜く、こうした感覚は食糧に恵まれた国にとって馴染みのない感覚でしょう。しかし生き残ることを最優先にする貧困地域では、それが環境破壊につながると頭では理解していても他に選択肢がないというのが現状です。
参考:マダガスカル人から見たアフリカの環境問題 , 熱帯における森林減少の原因
まとめ
今回はSDGs15「陸の豊かさも守ろう」の現状について解説しました。
いかがでしたでしょうか。
日本だけではなく、世界で見ても「陸の豊かさ」は守れていません。
豊かな自然を次世代に伝えていくためにも、私たちにできることを積み重ねてSDGs15を達成しましょう。