SDGs6「安全な水とトイレを世界中に」の現状と取り組み事例、私たちにできること

SDGs目標6は、「安全な水とトイレを世界中に」をゴールにしています。

SDGs目標6の目的は、安全な水とトイレを利用できるようにし、自分たちでずっと管理していくことにあります。

人類にとって水資源はなくてはならないものです。

  • 人体の全水分量の 5%が失われると脱水症状があらわれ る
  • 10%以上失われると命が危険になる 
  • 20%以上失われると死に至る
  • 水を 4 日飲まないだけで、生命は危険にさらされる

 水は生きる上で切っても切り離せないということがわかりますね。

今、この水資源が深刻な問題になっています。

本記事を読み進めていただくと次のコンテンツを知ることができます。

  • 世界で起きている水問題
  • 地球規模での気候変動が水に与える影響
  • 水不足になったら人々にどのようなリスクが起こるのか
  • 下水施設、衛生施設の改善や持続可能な管理方法
  • 日々の生活で実践できる経済的で効率的な水を守る方法

人類が生き延びる上で最も重要といっても過言ではない「水資源」についてに日本や世界で取り組んでいる対策事例を交えながら解説します。

安心で安全な水が当たり前になっているみなさまはを水を利用することへ特別な感動はないかもしれません。

けれども利用できない人々にとって、水そのものが感動であり、特別なものなのです。

SDGs目標6の基礎を学びたい初心者の方から、実際に活動を進め成果につなげたい方まで、本記事は様々な人に役立ちます。

ではさっそく、SDGs目標6は何のためにあるのかを詳しく見ていきましょう。

1.目標6「安全な水とトイレを世界中に」とは?

出典:pixabay

SDGs6のゴールは、全ての人の健康を守るため安全な水とトイレを利用することができ、それを自分たちで持続的に管理していくことです。

私たちが暮らす地球では全世界の40%の人々は水による何らかの問題を抱えています。

  • 安全な水を利用できていない人口「世界で約22億人」
  • 安全な水が管理されたトイレを使えない人「世界で約42億人」
出典:Edu Town

日本の人口の17倍以上の人が安全ではない水しか飲めておらず、日本の人口の19倍の人々が衛生的なトイレを使えていません。

なぜこのようなことが起こるのか。

水不足になる代表的な原因としてあげられるのが地球環境問題の筆頭ともいわれる気候変動です。

水問題は気候変動によって今後も拡大すると懸念されており、地球規模で解消しなければ近い将来地球から飲み水がなくなると専門家も警鐘を鳴らしています。

地球温暖化によって一番に打撃を受けるのが水資源です。

このところ、日本でも豪雨による洪水が民家を襲い、世界では最高レベルの干ばつによって砂漠化現象が起きています。

目標6人々の健康のために安全な水の確保を行うと同時に、トイレを含む下水施設を将来にわたって衛生的に管理・維持することを目指します。

目標6を構成する8個のターゲット

全ての人の健康を守るため安全な水とトイレを利用することをゴールに向けてより細かな目標が作られました。

それが8個のターゲット、達成目標です。

さっそく詳しく見ていきましょう!

すべての人に安全で手頃な飲み水を

2030年までにすべての人に安全で手頃な飲み水を

“安全で値段の安い飲料水を世界中でどこでも平等に得られるようにするんだね”

世界中で、屋外排泄をゼロに

2030年までに、世界中で、屋外排泄をゼロに

“トイレ設備が整っていない地域では屋外排泄しているんだね。特に女性や子どもたちを人権を守る上でもすべての人に安全で衛生的なトイレ環境は必要だね”

汚染を減らし、再利用を増やし、水質を改善しよう

2030年までに、汚染を減らし、再利用を増やし、水質を改善しよう

“不法投棄や有害な化学物質など汚染物質を半分以下に減らして水質改善をしようというこ取り組みだね。水の再利用をすることで水資源も守られるし環境問題の改善にもなるね!”

安定した水の供給を確保し、水不足で悩む人を減らそう

2030年までに、安定した水の供給を確保し、水不足で悩む人を減らそう

“産業や生活で水不足で悩む人々を守るために淡水の持続可能な採取や供給を確保するシステムを作るということだね”

水をめぐる紛争をなくし、仲良く使おう

2030年までに、水をめぐる紛争をなくし、仲良く使おう

“水資源を守るために国境を越えての適切な協力と統合資源管理が必要だということ。資源の取り合いをなくして平和な世界を作りたいね”

水に関わるすべての生態系を保護し、回復させよう

2020年までに、水に関わるすべての生態系を保護し、回復させよう

“山地、森林、湿地、河川、地下水が飽和状態にある地層、湖沼などの水に関連する生態系を守るってことだね”

水とトイレに関する開発途上国への支援を拡大しよう

2030年までに、水とトイレに関する開発途上国への支援を拡大しよう

“水とトイレに関する知識と管理方法を伝える支援って例えば何があると思う?”

“例えば水を一箇所に集める技術や海水の淡水化、排水処理、水の効率的利用、リサイクル・再利用技術などの能力だね”

地域の水を、地域で守れるようにしよう

地域の水を、地域で守れるようにしよう

“水資源の適切な維持のために地域コミュニティをつくったり参加したりして支援を深めていくんだね!実際にどんな団体があるのか知りたくなるね!”

2.なぜ、目標6が必要なのか?

水問題をゴールに掲げる理由は、水資源を守ることが健康に生き延びることに直結するからです。

命あるものが地球上で生きていく上でもっとも大切で必要な資源は水と言っても過言ではありません。

仮に水問題を放置すると次のようなリスクが出てきます。

  • 安全な水が得られず健康を害す
  • 最悪の場合命を落としてしまう
  • 地域によっては子どもたちが教育を受けられない
  • 農業生産ができない
  • 物流が滞る

安全な水が必要なのは単純に命を守るだけでなく、安全な水がなければ子どもたちが教育を受ける権利までもなくしているということがわかりますね。

さらに全ての人が安全な水を利用できるようになると開発途上国では次のことが改善されます。

  • 就学率のアップ
  • 女性の社会進出が促進

開発途上国では女性や子どもたち長時間の水汲みという重労働を強いられます。

ここでみなさんが疑問に感じることは、「水汲みがなぜ必要なのか?」ということでしょう。

水汲みが必要な理由
  • 安全な水へアクセスするまでに距離がある
  • 水汲み労働を子どもと女性がメインで行なっている

1日の大半を水汲みに当てることで、彼らは学校や社会活動に触れる機会が少なくなります。

では、「自宅付近に井戸を掘って地下水を確保すれば解決するのでは?」

そうお考えになる方もいるでしょう。

しかしインフラが整っていない地域では井戸を衛生的に管理維持することが容易ではなく、さらに気候変動による干ばつでそもそも安全な水が湧き出ません。

水問題が起きているのか根本原因を解消しない限り、地球からどんどん安全な水がなくなります。

ここで「安全な水」とはどのような水なのでしょうか。

SDGsが考える安全な水とは

SDGsでは安全な水を、「水道菅で衛生的に管理されている水」を示します。

衛生管理がなされている自宅や施設、公園では蛇口をひねると新鮮な水が出てきますね。

しかし開発途上国ではインフラが整っていない地域が多く、自宅付近で安全な水を確保できない状況なのです。

目標6が必要な理由

水不足と人口増加の関係

本来地球上には安全な水を確保できるだけの淡水が存在していますがその一方で近年の人口増加にともない、世界では水不足が懸念されています。

現在地球上には約14億立方メートルの水があるといわれており70%が水で覆われています。

その中でわたしたちが生活に使える水は0.01%とごくわずか。

そのわずかな水資源が世界人口全体を支えているのですが、この0.01%の水資源が「汚染」と「人口増加」によって水不足の危機に陥っています。

日本では人口不足が懸念されていますが世界全体に目を向けてみると増加傾向にあり、2050年までに予想される人口は97億人、2100年には110億人に達するといわれています。

出典:朝日新聞 世界と日本の人口の推移

水使用量が増加している地域経済発展が進むアジアです。

アフリカや中南米でも今後水使用量が増える傾向にあります。

生活に関わる商品のほとんどは水を利用して作られます。

豊かな暮らしを求める一方で必要となる水も当然多くなるのですが、前述の通り地球上で利用できる水は0.01%。

水は有限な資源なので増えることはなく、人口増加につれ水不足が起きてしまうのです。

命に関わる様々な課題

安全な水にアクセスできる人の目安

世界の約3分の1、21億人の人たちは安全に管理されていない飲み水を飲んでいます。

安全な水が手に入らないということは赤痢やコレラなど感染症を起こす原因となり、命を落とす可能性も高くなります。

ACジャパンとウォーターエイドの制作したCMで「ナンシーちゃんの妹の命を奪った水」という実際のお話が流れました。

アフリカ西部のシエラレオネに住むナンシーちゃんの妹は、汚染された水を飲んだことで命を落としました

ナンシーちゃんの家族は生きるためにその水を飲むしかなかったということです。

危険な水だとわかっていても、安全な水にアクセスすることができず選択肢がほかにないということを意味します。

飲み水へのアクセスが困難な地域では、家から4km離れた場所へ水を汲みにいっています。

エチオピアでくらす9歳の女の子は、家の水汲みの手伝いで4km離れた井戸まで歩いています。

なぜ4km離れた場所でしか水を得られないのか。

それは、インド洋の気候変動がエチオピアの東部でひどい干ばつを起こしたためです。

2016年の報告では、エチオピアはエルニーニョ現象が最悪レベルに達し深刻な干ばつに見舞われました。

飲み水不足に加え、農業に従事している85%の人々は収穫が激減し食糧難にもなりました。

世界中にはこうして、安全な水を手に入れることができずに命を落とす子どもたちが多くいるのです。

異常気象で世界の水が足りなくなる

ウォーターエイドの報告(※1)によると、異常気象をストップすることが人々の生活を守るカギだと示しています。

ウォーターエイドが活動しているマリ、ニジェール、インド、バングラデシュ、エチオピアなどの開発途上国では、異常気象による打撃を受けており、その影響で健康被害経済的困難に苦しんでいます。

洪水と干ばつを繰り返すような気候変動は予測不可能なパターンが多く、さらに気候変動による被害を受ける人々は直接原因を作っている人々ではないことがわかっています。

現在、安全な水にアクセスできない人は21億人といわれていますが、気候変動によって2050年には世界人口の約半分に膨れ上がると予想されています。

>>気候変動の影響についてもっと知りたい…こちらの記事へ

世界の現状・課題〜世界人口の3分の1が安全な水を使えない?!

「トイレがない。飲み水がない」

水の衛生管理や設備環境が整っている日本ではあまり考えられないかもしれませんが、それでも災害時に断水が起きると体調を崩したり精神的に疲労を抱える原因となります。

前述の通り、世界では人口の3分の1が慢性的に安全な水を使えない状況にあります。

目標6がめざす姿は、すべての人が安全な水をいつでも入手でき、衛生的なトイレを使えるということです。

限りある水をどう活用するか、また自分たちの手でどう管理するかが世界規模で求められます。 

日本の現状・課題

先進国でも水不足?!「水ストレス」の現状

水不足を表す代表的なものとして「水ストレスマップ」があります。

水ストレスとは、「人口一人あたりの利用可能水資源量」を表し、図の赤い地域は水の需要が多くひっ迫していることを示します。

マップで見ると水ストレスが大きい地域東アジア、アメリカ東海岸など人口密度が高い国です。

インフラが整っている先進国・日本でも真っ赤になっていることがわかりますね。

問題は、日本でくらす人々が水ストレスの状況を把握しきれていない傾向にあり、水不足に対する認識がまだまだ共有不足であることです。

ではなぜ日本では水に関する認識不足が起こるのでしょうか。

その理由として次に説明するバーチャルウォーターの問題点が考えられます。

バーチャルウォーター(仮想水)

みなさまはバーチャルウォーターという言葉をご存知でしょうか。

バーチャルウォーター、すなわち仮想水とは
「農産物や製品などを外国から輸入することは、その生産物を作るために使われた水を輸入すること」
という考え方です。

もう少しわかりやすく説明しましょう。

日本はたくさんの品物を海外から輸入しています。

日本の輸入品目は、原油などの鉱物性燃料、工業用の原料となる銅や鉛、アルミニウムなどの非鉄金属などが全体の10%を占めています。

食品に至っては輸入に頼っているものが多く、とうもろこしはアメリカ、ブラジル、アルゼンチンから、小麦はアメリカ、カナダ、オーストラリアから98%を輸入しています。

では、とうもろこしを栽培するために必要な水を計算してみましょう。

  • 1kgのとうもろこし栽培に必要な水1,800リットル
  • とうもろこしを食する牛肉1kg生産には約2万リットル

牛肉を輸入した場合、牛を育てるためのエサとなる穀物にも大量の水が使われます。

私たちの手元に届いた時点では、ひとつの商品にどれだけ水が使われたかは記載されることはありませんが、実際には見えないだけで大量の水が消費されているのです。

これが、バーチャルウォーター(仮想水)です。

身近な食品でバーチャルウォーターを表すと下記の通りになります。

  • カレーライス1杯 ペットボトル2190本分
  • 牛丼1杯 ペットボトル3780本分
  • コーヒー1杯 ペットボトル420本分

ひとつの食品に使用されるバーチャルウォーターを自動計算するソフトがあります。

毎日どれくらいのバーチャルウォーターを使っているのか知ることができます。


ではバーチャルウォーターにはどのような問題点があるのでしょうか。

ユニセフの調べ(※2)では、現時点世界の約6億6,300万人が安全な水を利用できないという現状です。安全な水を大量に輸入するということは、輸出している地域の水を大量に消費することにつながり、水不足を悪化させてしまいます。

開発途上国など貧困地域では安全な水を利用できない理由から健康被害に苦しむ人が増えているのです。

バーチャルウォーターは世界中が意識すべき環境課題となっています。

すでにファッション業界では衣類の生産工程で使用する水を25%削減する取り組みが行われ、さらに使用した水の80%以上を再利用可能にすることを成功させました。

食品ロスを削減することもバーチャルウォーターを減らすことにつながります。

日本の食品廃棄は毎年1900万トンにもおよびます。つまり、バーチャルウォーターの無駄遣いが起きています。

消費者は必要な分だけを買う、国産のものを買う、を意識するだけでも食品ロスとバーチャルウォーターの無駄遣いを減らすことができます。

>>バーチャルウォーターについてはこちらの記事にも↓↓

水不足とは?事例や原因・SDGsとの関係・私たちにできることまで

3.「安全な水とトイレを世界中に」にはどんな問題があるの?解決策はある?

衛生設備を利用できない人口が多い国トップ3

1位 インド 

2位 中国

3位 ナイジェリア

インド世界第2位の人口ですが最低限の基本的な衛生設備を利用できない人口は56%と半数以上におよび、3億5,500万人以上の人々がトイレを利用することができずにいます

トイレがあったとしても利用するために地球4周分の列を並ぶことになるといわれるほどトイレ不足が深刻化しています。

ここまで限られてしまったトイレを地球4周分並んでまで待つ人は、おそらくいないでしょう。

目標6「安全な水とトイレを世界中に」の問題点は?

開発途上国を中心にトイレに関する問題点は主に3つ

  • 野外排泄
  • 排泄時による感染症
  • 野外排泄時における女性や子どもの危険

では詳しく見ていきましょう。

世界の6億7,300万人が野外排泄をしている現状

ユニセフによると2017年時点で世界で42億人が衛生管理の行き届いたトイレを使用できていません(※3)。その中でも6億7,300万人がトイレにアクセスすることができず野外排泄をしています。

出典:ユニセフ

グラフの赤とオレンジの部分20%近くが衛生的なトイレを利用できていません。

2000年以降、世界のトイレ事情は改善に向かいましたが、実際にトイレが自宅付近に設置されても使用されていないという報告もあります。

インドでは2014年「スワッチ・バーラト」という野外排泄をゼロにするという政策が提唱されました。

しかし提唱から5年たった2019年、設置されたトイレを実際に使用している人は少ないままです。

その理由は下記です。

  • トイレの掃除や水の管理が面倒
  • 汚物回収に費用がかかる

2018年に自宅庭にトイレを設置した一部の家庭では野外排泄を続けています。

インドのNGO(※4)によると、農村部では未だに人口の40%以上が屋外排泄を続けているとの調査結果があります。

トイレ設置が仮に進んだとしても野外排泄が減らない理由としては管理の面倒さ、維持する費用が心配、結局のところ野外排泄の方が楽という考え方があり、こうした問題には人々の衛生面への考え方を変える必要があります。

野外排泄による健康リスク

2017年世界のトイレ状況によると、エチオピアでは毎年8,500人、世界規模で言うと年間で200万人の子どもたちが下痢性疾患で死亡しています。

実は下痢症世界の子どもたちの死亡原因第1位となっていて、そのほとんどが糞便に含まれるバクテリアが生活用水に混入し体内に侵入し感染します。

下痢症は徹底的な手洗いで防ぐことができますが、自宅に貯蔵している生活用水の衛生管理が行き届いていない地域では予防することすら困難です。

また、トイレ不足による不衛生な環境は妊娠時や出産時の合併症を起こしやすく、生まれてきた赤ちゃんが感染症になり死亡したケースも報告されています。

乳児死亡率とは?新生児・5歳未満児死亡率の違い・SDGsとの関係も

参考:Water Aid

野外排泄による感染症リスクトイレの使用率が低い地域ほど高い傾向があり、また上記の問題が懸念されている地域は20億人以上がくらす北アフリカや西アジア、中央アジア、南アジアであり、加速化する気候変動によって引き起こされる洪水や干ばつの影響がトイレの使用率を低くしているのです。

夜間の野外排泄による女性や子どもたちへの身の危険のリスク

女性や子どもたちにとって特に夜間の野外排泄は身の危険も伴います。

インドのトイレ整備の報告(※5)によると、農村部で発生する性被害の75%は野外排泄時に発生していると報告されています。

また思春期の女学生の場合、野外排泄による被害を恐れ学校を休む日が増え退学するケースもあるといいます。

このようにトイレ不足が招く不便さは、教育を受ける権利にも影響を与えています。

解決策はある?

SDGs目標6の8個の達成目標のうちトイレに関して下記の項目で提示しています。

6ー7.2030年までに、水とトイレに関する開発途上国への支援を拡大しよう

SDGs 目標6 ターゲット6-7より

6ー8.地域の水を、地域で守れるようにしよう

SDGs 目標6 ターゲット6-8より

SDGs目標6が対象としている安全な水の対象「上水」「下水」の両方です。

上水は、飲み水として利用できる水、またその水を供給する設備をさし、一方で下水雨水、生活排水、産業排水などの汚水をさします。

開発途上国ではインフラが整っていない地域が多く、下水処理設備が不十分であったりトイレが整備されていないなど衛生面で問題があり、それぞれの環境に応じて排水に関する設備を整える必要があるのです。

子どもたちの死因第1位の下痢性疾患においては石鹸と衛生的な水での手洗いで40%以上も感染を予防できると指摘されているので、下水に合わせて上水の連動がゴールへの糸口となります。

またインドの事例のように、トイレを設置した後も継続的に使用できるように衛生面への考え方を変えていくコミュニティ作りが重要となります。

3.企業や団体の取り組み事例/対策

SDGs目標6のゴールに向けて実際に行われている取り組みをご紹介します。

日本の企業/団体の取り組み事例/対策

子どもたちに清潔な水を「ウォーターエイドジャパン」

「すべての人々が清潔な水と衛生を利用できる世界」をビジョンに掲げるウォーターエイド水と衛生専門の国際NGOです。

ウォーターエイドは1981年にイギリスで設立され、ザンビアとスリランカの支援からスタートし2019年にはアジア、アフリカ、中南米の地域34箇所で水と衛生管理のプロジェクトを展開しています。

日本ではウォーターエイドジャパンとして2013年に設立され、寄付金の受付、水と衛生に関する啓蒙活動などを行なっています。

ウォーターエイドジャパンの主な活動は「水と衛生の教育・指導」「トイレの設置」「井戸建設」です。

冒頭でお伝えした、ナンシーちゃんの妹のお話から、ウォーターエイドでは上記3つの支援を行い、健康面と生活面が激変しました。

ウォーターエイドの2019年の実績では、

  • 家庭40.2万人、学校18.2万人、保険医療施設101.2万人に清潔な水を届けた
  • 家庭70万人、学校21.2.万人、保険医療施設131.5万人に適切なトイレを届けた
  • 家庭191万人、学校45.6万人、保険医療施設130.9万人が衛生習慣を身につけた

ウォーターエイドの活動はひとりひとりの支援によって支えられている団体です。

目的や関心に寄り添った以下の参加方法があります。

  • 寄付する
  • 寄付を集める
  • 企業として参加する
  • イベントに参加する

参加にご興味ある方は公式サイトをご覧ください。

寄付を検討されている方も詳しい方法が記載されているのでぜひ参考にされてみてくださいね。

4.目標6「安全な水とトイレを世界中に」を達成するために私たちにできること

私たちが今からでも実践できる方法4つご紹介します。

支援団体への寄付や募金

開発途上国や水不足が深刻化している地域への支援として代表的な支援寄付があります。

一回数千円の寄付でも、何千人と集まれば大きな金額につながり世界の子どもたちを救うことが可能です。

直接的な寄付以外にも、サスティナブル商品を購入すると売り上げの一部が寄付される場合があります。

サステナブルとは?重要キーワードは「SDGs」と「エシカル」

家庭でできること

私たちの日々の暮らしの中でできる節水のテクニックはたくさんあります。

簡単なところでいえば、蛇口をこまめにしめる歯磨きや洗顔の際に水を出しっ放しにしない油を流さずに拭き取るなどです。

蛇口をひねれば延々と流れる水、水道をこまめにしめることは1世帯あたり年間約75,000リットルの節水になり節約にもつながります。

また調理済みの油はそのまま流すと最終的には海へたどり着きます。

家庭から不適切な排水をなくすことは地球環境を守ることにつながります。

バーチャルウォーターを考える

バーチャルウォーターの仕組みを理解した上で実践したいのが、消費行動です。

食品ロスをすることは世界の限りある水を無駄遣いしていることと同じですね。

必要な分だけを購入する、不要にものを買わない、私たちの消費行動が世界のエネルギー消費を減らすのです。

>>バーチャルウォーターを計算してみよう!…こちらの記事

水に関するイベントに参加する

世界水の日(3月22日)、世界トイレの日(11月19日)はご存知でしょうか。

世界水の日とは、国連の定めた国際デー水の大切さ、そしてすべての人が清潔で安全な水を利用できる社会を目指すことへの意識向上を目的としています。 

世界水の日はイベントを行なっています。イベントに参加すると、水の持続的な活用方法を学べ、アクションを起こすきっかけになります。

世界トイレの日は2013年国連が定め、トイレにまつわる活動を行なっています。

2020年にはオンラインイベントを行い、コロナ禍でも多くの人々がイベントに参加できるように配慮されました。

イベントはトイレに関するワークショップ、衛生に関する取り組みや事例紹介がプログラムとして組み込まれました。

イベントに参加することで世界のトイレに関する問題をどう解決するかに目を向けられるようになります。

まとめ

地球上で私たちが使える水は限りある大切な資源です。

科学とクリーンエネルギーの開発は進行し続け、気候変動の影響も少しはやわらいできました。

車社会の中、二酸化炭素排出削減によって温暖化対策も進んでおり、人々の意識は確実に地球環境と共存する考えと移行しています。

その中で課題となるのが、ひとりひとりの意識です。

水資源を無駄遣いにすることで起きるリスクをまとめると

水資源を無駄遣いにすることで起きるリスク
  • 世界に水不足が広がる
  • 感染症の拡大
  • 貧困と飢餓人口が増加
  • 教育率の低下
  • 水の無駄遣いによる出費

水問題を解消することで得られるもの

水問題を解消することで得られるもの
  • 地球環境の改善
  • 感染症ストップ
  • トイレ利用率アップ
  • 開発途上国の死亡率が減る
  • 教育率アップ
  • 女性の社会進出アップ
  • 節水による支出削減

水問題を解決するために私たちが今すぐに実践できることは、寄付、節水、本当に必要なものだけを買う、食品ロス、水を守る活動をオンラインなどで視聴することです。

最後に「風をつかまえた少年」という物語をご紹介します。

アフリカの最貧国・マラウイを食糧危機がおそい、10代のウィリアム・カムクワンバが次々と襲い来る洪水と干ばつから村を守ったという物語です。

ウィリアムは古い車のバッテリー自家発電を作り電気を発生させ小さな風車を作り地下水を汲み上げることに成功。

その水から村の人々がくらす十分な作物を栽培し、村を救ったのです。

故郷の水不足に立ち向かうため、独学で知識をつけ、水不足解消の持続可能な方法を作り上げました。

どんなことにも言えますが、他人に対して「こうしなさい」「こうあるべき」と強要することはできません。

トイレ利用に関しても、「清潔なトイレを利用すると何が得られるか」を伝え、利用者がWow!と驚くような気持ちになることが重要です。

生活を営むために、私たちは学び、行動ができます。

目標6のゴールに向けて、どんな小さなことでもいい私たちにできることを実践していく必要があるのです

<参考文献>
※1:WaterAid 気候変動の最前線 2020年世界の水の現状> 
※2  : H&M、循環型で革新的な新素材を使用した、サステイナブル・コレクションを発表 
※3  : ユニセフの主な活動分野|水と衛生
※4  :Newsweek 日本版 「トイレを作っても野外排泄をやめない男たち… インドのトイレ改革「成功」の裏側」
※5  : インド国トイレ整備に係る 情報収集・確認調査 ファイナル・レポート

この記事の監修者
阪口 竜也 フロムファーイースト株式会社 代表取締役 / 一般社団法人beyond SDGs japan代表理事
ナチュラルコスメブランド「みんなでみらいを」を運営。2009年 Entrepreneur of the year 2009のセミファイナリスト受賞。2014年よりカンボジアで持続型の植林「森の叡智プロジェクト」を開始。2015年パリ開催のCOP21で日本政府が森の叡智プロジェクトを発表。2017年には、日本ではじめて開催された『第一回SDGsビジネスアワード』で大賞を受賞した。著書に、「世界は自分一人から変えられる」(2017年 大和書房)