目次
Introduction
2022年3月30日(水)に開催される国連大学SDG大学連携プラットフォームの公開シンポジウム。プラットフォームに加盟する31大学が4つの分科会に分かれて議論を重ねてきた成果が、オンラインにて公開されます。SDGs達成に向けて大学がなすべきことは何か、さらには大学の未来について考えるきっかけとなる貴重な機会として当メディアでも注目しています。
この記事では、セッション4に登壇される学校法人上智学院 IR推進室長の相生さんにお伺いした【発表内容や見どころ】についてご紹介します!
大学評価におけるTHEインパクトランキングの意義と課題
セッション4のテーマは「大学評価におけるTHEインパクトランキングの意義と課題」です。具体的にどのような内容なのかを教えてください。
セッション4では「THEインパクトランキング」を軸に、
・各国の大学を比較調査した成果
・国連大学SDG大学連携プラットフォームに参加する大学を対象に実施したアンケート結果をもとに意義や課題
について発表させていただきます。
「THEインパクトランキング」とは、どういったものですか?
国際的な高等教育情報誌「Times Higher Education」が、世界の大学が社会課題へどう取り組んでいるかを、SDGsの枠組みを使ってランクづけしたものです。
この大学はどういう分野に強いのか、どのSDG目標に対して努力をしているかといったことを測る一つの指標として注目が集まっています。
日本の大学の参加数も増えており、「THEインパクトランキング2021」では、過去最多となる85大学が参加しました。
日本の参加大学数が増えているとのことですが、全体的にスコアが低い印象を受けました。これにはどういった理由があるのでしょうか?
一つの理由として、評価指標の中で日本の大学が答えにくい設問が多いことが挙げられます。
例えば、教育、ジェンダーの指標として「first generation student」(親族の中で初めて高等教育を受ける学生の割合)があるのですが、日本ではそもそもデータをとっていない指標なのです。
その他にも、THEインパクトランキングは、引用指標の比重が高いため、研究大学にしか高スコアがとれないのと、言語圏による差が出てきてしまうと思います。
また、諸外国に比べて、日本社会の取り組みが遅れている指標も散見されます。
SDG大学連携プラットフォームに参加する大学を対象に実施した、THE大学インパクトランキングに対するアンケートではどういった結果が得られましたか?
詳しい結果はシンポジウムで触れたいと思いますが、THE大学インパクトランキングへの参加においては「設問が多い」「提出するエビデンスの収集が大変だった」というリアルな声を聞くことができました。
そういった課題はありますが、大学の取り組みが可視化できることを考えると、ランキングに参加するメリットは大きいと感じています。たしかにエビデンスを揃えるのは大変ではありますが、大学で取り組むSDGs、ESG活動を棚卸しするという意味でも、このランキングは大変意味のあるものだと考えます。
ランキング上位大学の取り組み事例から見えるもの
ランキングの上位を占める世界各国の大学の取り組み事例から、どういったことが吸収できるとお考えですか?
「分かりやすい情報発信とはどういったものか」を学ぶことができると考えています。世界で上位にランクインしている大学は、色々なKPIを盛り込んだ、非常に分かりやすいレポートで発信しています。こういった事例を知ることで、各大学の研究成果やサステイナブルな取り組みを、戦略的に社会へ発信していくかのヒントを得ることができると考えています。
上智学院サステナビリティ推進本部の学生職員による「THEインパクトランキング2021 各SDG目標毎の海外大学TOP5大学の取組」の調査成果もセッションの中でご紹介する予定ですので、多くの気づきや学びを持ち帰っていただけると思います。
他大学の良い事例を学び、新しい形の情報発信を
セッション4は、どういった方に視聴していただきたいですか?
大学評価がテーマですので、高等教育関係者向けの内容がメインになりますが、大学が果たす社会的責任をどのように発信していくかという視点で捉えると、企業でSDGs部門を担当される方にとっても意味のある内容になるのではないかと感じています。
また、今後はTHEインパクトランキングをもとに大学を選ぶ高校生、留学希望者が増えていくのではないかと考えているため、学生の皆さんにとっても学びが得られるようなお話ができればと思っています。
最後に、シンポジウムへの参加を検討されている方にメッセージをお願いします。
「THEインパクトランキング」の存在によって、この1〜2年で大学の情報発信がかなり進んだと感じています。今後もサスティナビリティーレポートやSDGsレポートを作成し、社会に向けて発信する機運はどんどん高まっていくことでしょう。
今回のシンポジウムが、大学としてどういった情報発信が求められるかを一緒に考える最初の一歩になりますと幸いです。また、学生の方にとっては、今回発表する報告が進路を検討するうえでヒントになるのではないかと感じます。多くの方のご参加を楽しみにしています。
・日時:3月30日(水)13:00-17:00
・開催場所:オンライン(参加費無料)
・視聴対象者:大学・教育関係者、大学経営者、大学マネジメント部門担当者、大学との連携に関心のある企業・自治体関係者、学生等
・申込方法
以下「シンポジウム参加者申込フォーム」より、【3月25日(金)まで】に参加事前登録をお願いします。
▼シンポジウム参加者申込フォーム
【主催】国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)/【後援】文部科学省(予定)
【お問い合わせ】国連大学SDG大学連携プラットフォーム事務局 sdgs-up@unu.edu
◆各セッションの概要について登壇者へインタビューした記事は下記よりご覧いただけます