#インタビュー

株式会社UPay|食べられる米ストローで脱プラスチック!高難度・100%植物由来原料での製造を可能にした原動力とは

株式会社 UPay 芳川 龍太郎様 インタビュー

芳川 龍太郎

福岡県出身。熊本大学を卒業後、警察官、広告代理店を経て、UPayで営業、企画、広報、日本工場設立などを担当。「日本のエコを変える」という会社としての想いのもと、持続可能な社会を実現するため、米ストローを通じて、1人1人の意識を変えるきっかけを作ることができるようチャレンジ。それらを実現するため、日々の営業活動やSNS、メディアなどを活用し米ストローの日本国内外への普及を目指している。

introduction:

海岸に打ち寄せるペットボトルや河川に浮かぶビニール袋。プラスチックゴミによる海洋汚染は、世界中で誰もが知る問題へと発展してきました。脱プラスチックは私たちが急いで取り組むべき課題のひとつです。株式会社UPayの米ストローは、プラスチックを一切使用せず、100%植物由来原料から作られています。米ストローには、脱プラスチックだけでなく、SDGsにおけるさまざまなメリットがありますが、商品の開発は一筋縄ではいかなかったそうです。今回は株式会社UPayの芳川龍太郎さんに、米ストローが生まれた経緯や開発の苦労などを伺いました。

コロナ禍を機にサステナブル事業を強化

ーまずは株式会社UPayについて教えてください。

芳川さん:

弊社は、もともと最新のIT技術やビッグデータを用いたシステム開発事業がメイン事業で、飲食店向けのセルフオーダーシステムや無人デジタルストアの開発を手がけていました。

飲食店のテーブルに、注文のためのQRコードが置いてあるのを見たことはありませんか?弊社はそのようなシステムを作り、飲食店に販売していたのです。

ところが、コロナ禍で飲食店が軒並み休業や短縮営業となり、弊社の事業も影響を受けました。システム開発に代わる新たな事業をと考え、サステナブルに力を入れることになりました。

弊社のサステナブル事業の中で、主力商品となっているのが米ストローですが、なぜストローだったのかというと、やはり飲食店と取り引きしていたということが大きいでしょうか。

コロナ禍で多くの飲食店が経営を自粛せざるを得ない状況になったのは、みなさんご存じのとおりですが、その影響で米の消費量がかなり落ち込んだのです。

ニュースにもなりましたが、米農家も廃業に追い込まれる事態となりました。もともと米農家には、後継者不足や過剰に米が余ることで単価が下がるなどの問題があったのですが、コロナ禍がそれに追い打ちをかけたのです。飲食店業界に関わる弊社としても、他人事とは思えず、これは何とかしなければと感じましたね。

実は弊社はコロナ禍以前、中国に工場を持ち、中国国内向けに紙ストローを製造・販売していました。しかし、紙ストローは、飲み物の中に長く付けているとふやけたり、口に入れた感触がザラザラしたりするなど、いろいろと指摘を受けていて。「紙に代わるエコな素材はないか」と探していたときに、ちょうどこの米の問題を知ったこともタイミングが重なりました。

サステナブルなストローとしては、欧米で使われているパスタストローがありますが、これは小麦が原料です。一方米は、日本で自給自足できる唯一の食材で、しかも余っている。「米しかない!米でやってみよう」と直感しました。

ー米でストローを作ることでどのようなメリットがあるのでしょうか?

芳川さん:

まず脱プラスチックに貢献できるということですね。従来のストローは、プラスチックから製造されていましたが、弊社は一切使用していません。また原料には、先ほども申し上げたように、余った米を使うわけですから、食品ロスにも貢献することができます。「食べられる米ストロー」というコンセプト通り、弊社の米ストローは100%植物由来原料なので、まさに子どもが食べても安心です。

そもそも米ストローに使うお米は、欠けるなどして商品にはならないものを米問屋さんから調達しています。それでも、初めて米問屋に交渉に行ったときは、「米でストローを作りたい」とお願いしたら「大事な米をストローにするのか!」と責められないか、正直心配でした。

しかし心配とは裏腹に、米問屋さんは歓迎してくれました。

というのも、米ストローに使用する米は精米ではありません。欠けた米など、そのままでは売り物にならない米を原材料にしています。これらの米は、米問屋から菓子メーカーなどに売られ、煎餅や団子などに加工されているのですが、それでも余って使い道に困っているという話でした。受け入れていただいて嬉しかったですね。

最初は北部九州で生産された米を使っていましたが、今では全国の米問屋から「うちの米も使ってくれないか」と問い合わせが来るようになりました。

このように、全国各地の余った米をつかって地産地消にも貢献していけるのが米ストローです。

プラスチックの使用はゼロ、子どもにも安心安全、地産地消も叶い、食品ロスにも貢献。弊社の米ストローは、あらゆる面でサステナブルだと自負しています。

ー米ストローはどこで取り扱っていますか?

芳川さん:

福岡市内を中心に、全国の飲食店などで使っていただいています。健康志向のカフェでの取り扱いも多いですね。Amazon、楽天などのECサイトでも販売中です。

企業のノベルティとしてご活用いただいているところもありますね。やはり、米ストローは話題になるということで、どのご購入者からも好評頂いています。

今後は、海外にも販路を広げる予定です。特に欧米の方では、パスタストローが使われるなど、もともと日本に比べてサステナブルの意識が高いので、米ストローもすぐに受け入れられるのではないかと期待しています。

100%植物由来原料の米ストローを叶えた社員の執念

ー米ストローは100%完全植物由来の原料でつくられているそうですが、製造上の苦労はありませんでしたか?

芳川:

それはもちろん、開発は一筋縄ではいかず、何度も試作を繰り返しました。

米はデンプンが主成分のため、飲み物など水分に浸していたらヌルヌルしたり曲がったりしてしまうんです。耐久性を強化するため、タピオカ粉やコーンスターチを混ぜたりと、いろいろ工夫しましたね。

最終的に落ち着いたのが、「米70%、コーンスターチ30%」という配合割合です。これにより、耐久性や使用感が大きく改善しました。耐久性に関しては、水やコーヒー、炭酸水に6時間浸してもストローとして使用できます。飲み口のべたつきも改善し、気持ちよくお使い頂けるようになりました。

ー開発の途中で100%植物由来原料で作るのを諦めようとは思わなかったのですか?

芳川さん:

「100%サステナブル原料で作る」というのは、社員全員の信念でした。米ストローの開発は容易ではありませんでしたが、耐久性を上げるためにプラスチックを混ぜようとは微塵も考えませんでしたね。

世の中には、サステナブル商品と言いながら、原材料を確認するとプラスチックが混ざっているということが少なくありません。確かにプラスチックを混ぜたら耐久性は上がりますが、それをしてしまうと他社製品と同じになってしまいますよね。

「私たちは絶対に諦めない、他社と同じようなものは作らない」と誓っていました。

また、脱プラスチックは、私たち人類にとって待ったなしの課題です。プラスチックを使用しないのは、私たちの絶対的な命題です。ここで妥協するわけないはいかないという思いは強かったですね。

米ストローで差別化!飲食店や企業が使いたいわけ

ー米ストローのようなサステナブル商品は、従来製品よりもコストがかかりますが、企業から導入を敬遠されることはありませんか?

芳川さん:

どの業界の商品でも、サステナブルなものは割高になる傾向は否めません。弊社の米ストローも、従来のプラスチックストローに比べてコストがかかります。しかし有難いことに、さまざまな企業や飲食店が私たちの思いに共感し、「それでもUPayの米ストローを使いたい」と仰っていただいています。リピートしてくださるお客様は7割以上です。お客様のサステナブルへの意識の高さに、私たちも触発されていますね。

また「オリジナルカラーのストローを作ってくれないか」というオーダー生産のお問い合わせも多数頂いています。お店のコンセプトに合わせたストローを作りたいというご要望です。

弊社の米ストローは、マカロン等に使われている製菓用の着色料を使っています。やさしい色合いは女性に好評いただいております。。

飲食店で米ストローをお客様に出すと、お客様との会話が弾むと聞いています。コロナ禍で人と人とのコミュニケーションの機会が失われたと聞きますが、米ストローがお客様と店員さんとの話題作りやコミュニケーションに一役買っているのは、思わぬ副産物といいますか、本当にうれしいですね。

ーUPayでは、米ストローの評判を聞きつけた企業や飲食店から問い合わせがあるとのことですが、販路拡大のため、どのようにプロモーションしているのでしょうか?

芳川さん:

実は弊社は、企業に出向いて商品を売り込むといった形の営業はあまりしていません。大手企業から飲食店まで幅広く取引させて頂いていますが、有難いことに、企業の方から「米ストローを使いたい」と言って頂くことが多いのが現状です。

では、どうやって企業に弊社に米ストローを知って頂いたのかというと、SNSなどのメディアからです。

弊社は、TikTokやYOUTUBEのインフルエンサーに協力していただいたり、自社でのSNSの活用やテレビやラジオに出演したりして商品をPRしてもらっています。また米ストローを導入したカフェが自店のSNSで紹介していただく、実際に米ストローを使った方が感想を投稿してくださるなど、いわゆる口コミが広がりました。

SNSで多くの方々に発信して頂いたことで認知度が高まったことで、米ストローの情報が企業や飲食店に伝わり、弊社に問い合わせがきて契約に至った、というケースが取り引きの半数を占めていますね。

SNSを上手く活用することで販路は広がると、私たちも手ごたえを感じています。

ーコロナ禍というピンチをチャンスに変え、サステナブルに貢献している株式会社UPayですが、今後の展望について教えてください。

芳川さん:

全国各地の米を使ったストローを作りたいと考えています。地域の特産のお米を使って地域ごとのストローを生産できたら面白いですよね。

また現在、伸縮性のあるストローを開発しているところです。紙パックのジュースに、曲げられる伸縮性のあるストローが付いていますよね。そのストローを米ストローで作りたいと考えています。内径を細くする技術はすでに持っているため、あとは伸縮性ですね。この技術が可能になれば、商品化はすぐだと思います。開発に成功して広く普及したら、かなりの量のプラスチック削減になるのではないでしょうか。

他には、米を原料にしたカトラリーを作りたいですね。フォークやスプーンなど、テーブル周りのものを米で製造できたらいいなと、今いろいろ構想しているところです。これまでプラスチックで作られていたものを、どんどん米で製造していきたいです。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。

関連リンク

・Amazon:https://amzn.asia/d/bQg4pna
・楽天:https://item.rakuten.co.jp/lifucoco-shop/0764-008703/
【自社SNS】
・Twitter:https://twitter.com/UPay20160802
・Instagram:https://www.instagram.com/kome_straw/
・TikTok:https://www.tiktok.com/@rice.straw