普段の食事の中で、野菜不足が気になっていませんか。外食やコンビニの食事が多い方は特に気になりますよね。
料理を作る方でも、野菜をまとめて買っておいたら使いきれずに傷んでしまったり、毎日同じメニューで飽きてしまったり、そんな経験のある方は多いでしょう。
今回は、そんな野菜を摂るのが難しい方におすすめな商品「ベジート」を紹介します。
保存ができて、手軽に野菜を普段の食事にプラスできる、便利な商品です。しかも環境にもよく、地域にも貢献できるのです。どのような商品なのか詳しく紹介していきましょう。
株式会社アイルが開発したベジートとは
「ベジート」とは、ベジタブルとシートを合わせた造語で、規格外野菜と寒天のみを使って作られたシート状の商品です。長崎県平戸市に拠点を置く株式会社アイルが開発しました。
ベジートは、「野菜を茹でてペースト状にし乾燥させる」、それだけの工程ですが、
- 乾かし過ぎると破けてしまって加工がしづらい
- 水分が多いと劣化が早い
など、様々な困難があり、商品化までは20年もの歳月を費やしたと言います。
このように開発されたベジートは、2008年に日本商工会議所によるビジネスコンテストでグランプリ、2016年には「ニッポン新事業創出大賞」で中小企業長官賞を受賞しました。2017年のフードアクションニッポンアワードでは大手企業トップが選んだ10産品に選ばれるなど、ベジートは環境、地域、人にやさしい事業として高く評価されています。
近年は、回転ずしチェーンの「くら寿司」でSDGsメニューとしてベジートで巻いた巻きずしも登場しました。
ベジートの特徴
ベジートの特徴は、なんといっても野菜がそのままシート状になっているところにあります。野菜の栄養が凝縮され、おいしさ・美しさが長く持続する、ベジートの特徴を詳しく見てみましょう。
野菜の栄養が凝縮
ベジートは、水分が抜けているので、0.1mmのシートに野菜の栄養が凝縮されています。水分量の調整のための冬瓜と、固めるための寒天も入っているため、食物繊維も豊富に含まれています。
例えば、生のニンジンとベジートを同量食べた場合の栄養素を比較すると、食物繊維は約16倍、ビタミンA、βカロテンは約7倍となっています。つまり、たくさんの量の野菜を食べられない高齢者や子どもでも、ベジート1枚あれば十分な栄養を補給できるということです。
60歳以上の女性で普通サイズのベジート1枚、男性なら2枚で1日の食物繊維の不足分を補えるとされています。
味・色味が長期間、劣化しない
ベジートは、基本の商品で賞味期限が2年以上、防災用に5年保存のものもあります。長期間保存するのが難しい野菜に対して、ベジートであれば傷みによる廃棄も防げます。味に関しても、未開封・賞味期限内であればほぼ劣化しません。色味も野菜の鮮やかな色がそのまま維持されます。
そのため、食品ロスを防ぐことはもちろん、防災用品としてストックしておくのにも最適です。災害時に支給される食事は、インスタント食品や乾パンといった、栄養よりもまずは手軽に空腹を満たすことを優先したものである傾向にあります。
そんな時に少しでも野菜が摂れれば、食物繊維・ビタミン類が補給でき、被災時の体調管理に役立つでしょう。
ベジートのメリット
そんなベジートは、環境、地域、人にやさしい商品でもあります。それぞれ見ていきましょう。
環境にやさしい
ベジートは規格外野菜を使用して作られているので、食品ロスの削減に繋がります。規格外野菜は、年間で約200万トンが出荷されずに廃棄されています。痛みがあるものも含まれますが、キズや形の悪さなど、食べられるものも多く含まれているのです。以下の写真はきゅうりの規格です。曲がり具合によって食べられるものでも出荷できなくなってしまいます。
また、ベジートは厚さが0.1mmほどと紙のように扱えるため、野菜と比べて輸送コストが削減でき、輸送によるCO2排出量も抑えられます。
地域にやさしい
ベジートは地域にとってもやさしい存在を目指しています。規格外野菜を買い取ることで、捨てていたものから利益が発生し、農家にも嬉しい製品です。
また、拠点を大都市に移動せず地域に残すことで、工場での雇用創出が見込めます。ベジートを地域の野菜を利用した特産品とすることで地域の活性化にも貢献できるでしょう。
人にやさしい
食べる人にやさしいのもベジートの大きなメリットです。原料は野菜と寒天のみで化学調味料無添加、そしてアレルゲンフリー。野菜嫌いの子どもも、「野菜とは食感が変わるので食べられた」との口コミもありました。大人にとっても、普段はたくさん食べられない野菜を摂ることによって健康維持・肥満解消の手助けになります。
そして現在、世界的に食糧危機の問題があります。ベジートは野菜の体積と重量をもともとの1/10以下にできるため、物流コストを抑えつつ全世界に流通が可能です。また、世界中の規格外野菜を活用できれば、食糧危機の解消にも役立つでしょう。
ベジートのデメリット
いいことだらけのようですが、ベジートのデメリットはあるのでしょうか。
単品では食べごたえがないため、割高と感じることも
ベジート単体で食べてもおいしいものの、海苔のようなシートであるため、食べごたえはあまり得られないとの声もあります。
そして、ベジートの価格は約10cm×10cm5枚で108円(税込み)となっています。地域や季節にもよりますが、同価格で、小松菜などの葉野菜1束や、もやし3袋程度を購入できると考えると、満腹感という観点からは少々割高に感じる方もいるかもしれません。
メイン食材に添える形で、栄養を効率よく摂る・彩りをアップさせる役割として考えるといいでしょう。
ベジートのレシピや活用方法(使い方)
ここからは、ベジートの活用方法を紹介します。
そのまま巻く・載せる
ライスペーパーや海苔の要領で、以下のような料理に使用してみてはいかがでしょうか。巻く場合は、霧吹きなどで水を吹きかけて30秒ほどおき、柔らかくしてから使用してください。
- 海苔巻きの海苔の代わり
- ラップサラダ
- 弁当のデコレーション(キャラ弁)
- サンドイッチの具材
- ちぎってサラダの彩り
水分を加える
そのまま巻く以外にも、水分を加えて溶かすことでジュレやスープにもなります。寒天が入っているのでトロミがつき、冷やせばゼリーのように固まります。
- 介護食
- 離乳食
- ポタージュスープ
- 野菜ゼリー
- 寒天寄せ
少量を作ればいい離乳食は、ベジートを必要な分だけちぎって水分を加えるだけで良いのでとても便利です。他にもメニューに困ったときにスープがさっと作れたり、野菜を摂ってほしい子どものおやつに野菜ゼリーを作ったりと、活躍する場面が多いでしょう。
ベジートはどこで買える?
では、ベジートはどこで買えるのでしょうか。
べジ―トの商品例
現在販売されている商品には以下のようなものがあります。
- ミニやさいシート
5枚入り 108円(税込み)
ニンジン・カボチャ・ホウレンソウ・ムラサキイモ
- 野菜のシート
4枚入り 263円(税込み)
トマト・ニンジン・カボチャ・ダイコン
- ミニサイズ防災用5年保存
5枚入り 160円(税込み)
トマト・ニンジン・カボチャ・ダイコン
- オーガニックベジート
5枚入り 430円(税込み)
タマネギ・カボチャ・ニンジン・トマト
これらは、
- 公式オンラインショップ
- Amazon
などからお買い求めいただけます。
購入できる店舗
インターネット上のショップの他にも、実店舗で購入できる場所は以下があります。
- ダイソー一部店舗
- イオン(九州・四国・中国)一部店舗
- サミット全店
- コストコ全店
- ヤオコー全店
全国展開されているお店もあるので、ぜひ買い物のついでに探してみてはいかがでしょうか。
ベジートとSDGs目標12「つくる責任つかう責任」との関係
では最後に、ベジートとSDGsの関連性を確認しておきましょう。
食品ロスをなくす取り組みから、SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」と関係があります。世界中で問題となっている食品ロス。ベジートはこの問題の解消に役立つでしょう。
他にも、食糧問題の解消や栄養素の摂取という面では、目標2「飢餓をゼロに」や目標3「すべての人に健康と福祉を」とも関わりがあります。
SDGsの目標について詳しく知りたい方はこちらからご覧ください。
〉〉SDGs「17の目標」
まとめ
今回は野菜のシート、ベジートを紹介しました。
ベジートは、規格外野菜を利用し栄養素が凝縮された、環境にも地域にも人にもやさしい商品です。
ベジートはシート状のまま使うだけではなく、水分を加えることでジュレやポタージュスープにもなり、様々な料理に利用できる可能性を秘めています。
食品ロス削減の観点からSDGsの目標12「つくる責任つかう責任」とも関連があり、今後も注目していきたい商品のひとつです。この機会にぜひ利用してみてはいかがでしょうか。
<参考文献>
ベジート
独立行政法人農畜産業振興機構:野菜をペーストにして乾燥させたシート食材「VEGHEET(ベジート)」
食品ロスとは? | 中学生・高校生・市民のための環境リサイクル学習ホームページ