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オーストラリアのイースターバニー!ビルビーの個体数を増やすためにオーストラリアが行う取り組みとは?

オーストラリアのイースターバニー!ビルビーの個体数を増やすためにオーストラリアが行う取り組みとは?

見た目がウサギに似ているビルビーは、イースターバニーとしてオーストラリア国民から愛されているマスコット的存在です。

しかし、外来種や森林火災などの影響によって、ビルビーの個体数は大きく減少しています。

そこで今回は、自国の固有種・ビルビーを保護するために実践している保護活動に着目していきます。

繁殖のマッチングといった独創的な取り組みもご紹介しているので、エコ大国がどのような繁殖方法を取り入れているのか興味がある方もぜひチェックしてくださいね。

ビルビーってどんな動物?

ビルビーってどんな動物?
出典:Spaceship Earth

ビルビーは、正式名称・Greater bilbyと呼ばれるオーストラリアの固有種です。

体長は最大で55cmほどとなっており、30cm弱にも及ぶ長い尻尾を持ちます。

ウサギのような長い耳が特徴で、オーストラリアではその長い耳からイースターバニーとして愛され続けてきました。

一見するとウサギの仲間のようにも見えるビルビーですが、実はカンガルーやコアラのようにお腹に袋を持つ有袋類です。

穴を掘って生活するので、掘った土が袋の中の赤ちゃんにかからないに入らないように逆向きに付いているのが特徴です。

ビルビーは、草原、砂漠、砂丘といったさまざまな環境に生息します。

しかし、個体数の減少に伴い、現在では西オーストラリア州やノーザンテリトリー州が主な生息地となっています。

ビルビーは6万年ほど前から生息しており、先住民アボリジニの歌や物語にも登場している伝統的な生き物です。

元々はレッサービルビー(Lesser bilby)と呼ばれる小型の種類も生息していたものの、1950 年代初頭に絶滅しました。

ビルビーの個体数が減少している原因とは?

レッドリスト

さまざまな環境に適応するビルビーは、元々はオーストラリアの全ての州で見られていました。

国内の実に70%の地域に生息していたと言われていますが、現在ではわずか15%の地域にしかいません。

レッドリストでは絶滅危急種に分類されており、2022年から2023年にかけて行われた調査では残っているビルビーの数が1万頭程度ということが分かっています。

ビルビーはオーストラリアの固有種なので、国内に存在する1万頭が消失すると地球上から絶滅することを意味します。

ではなぜ、ビルビーの個体数が減少しているのか。

ここでは、ビルビーが直面している2つの問題点に焦点を当てていきます。

  天敵

①天敵
出典:Spaceship Earth

ビルビーの個体数減少の最も大きな原因とされているのが、天敵の存在です。

元々はオーストラリアの至るエリアで生息していたビルビーですが、ヨーロッパ人が入植して以来、ビルビーの個体数は急速に減少しています。

ヨーロッパ人が入植した際に持ち込まれた動物に、ウサギが挙げられます。

見た目がウサギに似ているビルビーは、実は餌や生息域もウサギと非常に似ている動物です。

そのため、ビルビーの餌や巣穴などを、外来種であるウサギが奪ってしまうというケースも非常に多くなっているのです。

ビルビーは1頭につき最大12個の巣穴を利用するとされており、各巣穴は長さ3 メートル、深さ2メートルにも及びます。

ビルビーは数週間ごとに新しい巣穴を掘りますが、ウサギに巣穴を取られてしまうことから、ビルビーの繁殖などにも大きな影響が出ているのです。

また、ウサギ以外にも、猫やキツネといった外来種がオーストラリアに持ち込まれました。

ビルビーの走る速度は時速32km、野生の猫は48km、キツネは50~70km程度が目安とされており、ビルビーの方が外来動物よりも走るスピードが遅いという特徴があります。

そのため、外来動物の餌食になることも多く、個体数の減少に繋がっています。

  森林火災

2019年から2020年にかけて、オーストラリアで大規模な森林火災が発生したのを覚えている方も多いのではないでしょうか?

合計30億頭の動物が消失したと言われていますが、実はオーストラリアでは小規模な森林火災も頻繁に起きています。

森林火災によって死亡するビルビーも多く、個体数の減少理由のひとつとなっています。

ビルビー保護のために行われている5つの事例

個体数減少が危ぶまれているビルビーを保護するために、オーストラリアでは多くの取り組みを行っています。

ここでは、5つの活動内容を解説します。

  繫殖プログラムの実施

①   繫殖プログラムの実施
出典:Spaceship Earth

2019年4月、クイーンズランド州南西部に位置するカラウィニャ国立公園で繫殖プログラムがスタートしました。

囲いを設置した2,500 ヘクタールの敷地内に6頭のビルビーを放し、同年9月にさらに14頭を追加したところ、2023年には400頭以上にまで増加しました。

ビルビーが1度に出産するのは2頭程度ですが、妊娠期間は12~14日と非常に短く、1年で最大4回の出産が可能です。

1頭につき年間で最大8頭を出産できるため、森林火災や天敵などの脅威からビルビーを保護できる環境を整えたことによって着実に個体数を増やしています。

また、教育機関であるクイーンズランド大学も同様の手順で繁殖に力を入れており、2030年までに1万頭のビルビー繁殖を目指しています。

  オスとメスの繁殖マッチングの工夫

②	オスとメスの繁殖マッチングの工夫
出典:Spaceship Earth

国立公園以外にも、動物園などでビルビーの繫殖プログラムが実施されています。

その際、単にビルビーのオスとメスを一緒に飼育するのではなく、繁殖率を高めるために以下のような手順でマッチングを行っています。

(1)複数のオスのビルビーの匂いがついた巣穴の素材を用意する

(2)それぞれの素材をメスのビルビーの飼育部屋に別々に設置する

(3)どのオスの素材で最も長くメスのビルビーが過ごすかをモニタリングする

(4)メスが気に入った匂いの素材のオスをメスと一緒にする

単にオスとメスを一緒にしても、相性が良くなければ繁殖は上手くいきません。

メスが気に入った匂いのオス=繁殖が上手くいく可能性が高くなるため、オーストラリアでは準備段階に時間をかけて最もマッチング率の高い個体同士で繁殖を行うことにしています。

  ビリリブル先住民保護区での保護プログラム

Bush Heritage Australiaは、1991年から活動している自然保護団体です。

先住民が保有するビリリブル先住民保護区に野生のビルビーが生息していることを受けて、ビルビーの個体数モニタリングを実施しています。

保護区は660 万ヘクタールにも及び、Bush Heritage Australiaは巣穴のモニタリングや土地の管理を行っています。

また、必要に応じて天敵となるキツネや野良猫などの駆除もしており、ビルビーが自然に繁殖できる環境を整えているのです。

  ビルビーフェスティバルの開催

2016年、西オーストラリア州キウィルクラの砂漠地帯にてビルビーフェスティバルが開催されました。

ビルビーの保護を目的にしているイベントで、さまざまなビルビー保全プログラムを実施している数十の先住民レンジャー(自然環境の警備隊や飼育・管理に携わる人々)が参加しました。

オーストラリア国内のあらゆる地域から集まるレンジャー同士がそれぞれの取り組みや知識を共有・意見交換することで、遠隔地のビルビーのモニタリング情報収集やデータのアップデートに繋がっています。

中には画期的に個体数を増やすことに成功しているプログラムもあり、交流によって各地のレンジャーが自身の施設に新たなアイデアを持ち帰れる点もポイントです。

  寄付金活動

⑤	寄付金活動
出典:Spaceship Earth

ビルビー寄付基金を通して、ビルビーの保護活動に対する経済的な支援が行えます。

寄付金を直接団体に送れるのはもちろん、ビルビーのぬいぐるみ、Tシャツ、帽子、コースター、マグネット、栞、絵葉書、アクセサリーなどを購入することでも寄付に繋がる点が特徴です。

また、売上の一部がビルビーの保護活動に寄付されるチョコレートも国内の至る箇所で販売されています。

オーストラリアの有名チョコレートショップ・Haigh‘sもチャリティーチョコレートを取り扱うなど、国内企業も積極的に保全活動に協力しています。

まとめ

可愛らしい見た目が印象的なビルビーですが、外来種や森林火災によって絶滅危急種に分類されています。

しかし、繫殖プログラムの導入、保護プログラムの実施、ビルビーフェスティバルの開催、寄付金活動といった取り組みによって、ビルビーにとってより良い環境作りが進められています。

少しずつではありますが、個体数が回復しつつあるビルビー。

今年のイースターには、オーストラリアのイースターバニー・ビルビーに思いを馳せてみてはいかがでしょうか?