エシカルとは?エシカル消費、エシカルファッションも解説

最近耳にするようになったエシカルという言葉。

エシカルってなんだろう?そんなふうに感じている方も多いと思います。

エシカルは「私によくて地球環境にもいい」と人と地球をつなげるパイプ役のような存在です。

本記事では、エシカルってそもそも何?という方から、エシカルな生活を実践したい方まですべての方に読んでいただける内容となっています。

読み進めるためのポイントは3つ

  • エシカルとは何か
  • エシカルとSDGsの関係性
  • エシカルを日常生活に簡単に取り入れる方法

ではさっそくエシカルとは何かを解説してみましょう!

目次

エシカルとは

エシカルは「倫理的な」「道徳的上の」という意味の形容詞です。

倫理的、こう聞くとちょっと堅苦しいイメージがありますが、物理的ではなく心理的な部分が大きいということです。

わかりやすく説明すると「人間の良心に従って」という意味合いを持ち、法律上でこうしなければならないというものではありません。

エコとエシカルの違い

言葉の意味を聞いて、「エコとどう違うの?」という疑問を持つ方もいると思います。

確かにエシカルとエコは混同されやすい言葉ではありますが、似ているように見えて根本的な部分が少し違います

エコとエシカルの違い

エコ:環境にやさしい

エシカル:人、環境、未来にやさしい

エコは、「省エネ家電やハイブリッドカーを利用する」などというように、自然環境を保護しながら無理のない生活をもとめる生活スタイルです。

そして、環境にやさしい製品が広まるにつれ、生産者や将来の地球環境・社会も同じように大切にしよう、といった考えに移行してきました。つまりエシカルは、人・環境・未来といった様々な側面から物事を考える必要があると言えます。

エシカルとサステナブルの違い

もう一つ、混同されやすい言葉に「サステナブル」があります。

サステナブルは日本語では「持続可能な」と訳されます。後ほど説明するSDGsにも使われており、「将来に渡って、子どもや孫、さらにはその下の世代まで安心して暮らせるようにしよう。」といった文脈で使われる傾向があります。

サステナブルな社会を実現するためには、環境を守ることはもちろん、生きていくには安定した収入の確保(経済面)や水道・電気といった社会の整備(社会面)などの取り組みが求められます。つまりサステナブルは、幅広い意味で使われる言葉と言えるでしょう。

対してエシカルは、サステナブルな社会を実現するために必要な考え方です。主に消費行動の面で使われる機会が多くあり、例えば、こちらも後ほど触れますが、「エシカルファッション」「エシカルフード」というように、普段の買い物時から私たちが意識できるものです。

つまり、エシカルもサステナブルも目指している方向は同じです。大きな枠として「サステナブル」があり、それを実現するためには「エシカル」という考え方が重要となるのです。

エシカルの歴史

エシカルの概念が誕生したのはイギリス、1989年に創刊された「ethical consumer」がきっかけとされています。

日本では2009年ごろにエシカルという言葉が徐々に広まりはじめ、今や世界中でエシカルに沿った行動が多種多様な社会問題解決の糸口になると言われています。

なぜエシカルが必要なのか

では、エシカルがなぜ必要なのかを紐解いていきましょう。

エシカルが求められる理由は、「経済」「社会」「環境」など直接的に私たちをとりまく世界に深くかかわってくるからです。

ファッション業界に焦点を当ててエシカルの重要性を考えてみましょう。

「安い・流行・おしゃれ」三大要素のファストファッション到来

エシカルを考えるうえでキーワードとなるのが「ファストファッション」です。

日本では2008年ごろからファストファッションが流行りだし、

  • 安い
  • 流行最先端
  • おしゃれ

の三大要素が若者から歓迎されていました。

その一方で、

  • ほつれやすい
  • 品質が安定していない
  • 生地に丈夫さがない

などの理由からワンシーズンで廃棄される服も少なくなく、資源の無駄遣いに対する批判の声もありました。

ファストファッションの闇を浮き彫りにした「ラナ・プラザの悲劇」

そんな最中、2013年4月にバングラデシュ首都ダッカ近郊の縫製工場が入った複合ビル・ラナ・プラザが突如崩落し、1,138名の命が奪われ負傷者2,500名というファッション業界前代未聞の悲惨な事故が起きました

実は事故当時、亀裂の入った老朽化したビルで崩落の危険性があると警察から操業中止の警告を受けていたにもかかわらず、利益を優先したオーナーによって労働者は強制的に出勤させられていました。(※1)

さらには労働者たちが、到底人間らしい生活を送れないような低賃金で雇われていたことも発覚。

劣悪な環境と労働条件いうファッション業界の闇の部分がこうして浮き彫りとなったのです。

エシカルの先駆となった「ファッションレボリューション」

ラナ・プラザの悲劇をきっかけにファッション業界は一新、世界中でファッションレボリューションという運動が始まりました。

ファッションレボリューションは、世界90カ国以上が参加する大ムーブメントとなり、その主な内容は、

  • ファッション業界のお金の動き
  • 誰がどのように作っているか
  • 消費者はどんな服を選ぶべきか

いわゆるトレーサビリティを明確にしようという運動です。

トレーサビリティとは

トレーサビリティとは、製品の生産(原材料の調達から)から廃棄にいたるまですべてを記録・管理することで追跡できるようにすることです。安全性や品質を向上させるために食品や電化製品、医薬品までさまざまな業界で導入が進んでいます。

トレーサビリティという言葉はエシカルに基づいた生活を実践するうえで知っておきたいキーワードなのでぜひ覚えておきましょう。

どこで生まれてどこからやってきたのか。ストーリーを知ることからエシカルが始まる

物事のストーリーを知ることがエシカルの第一歩です。

私たちの生活に欠かせない製品はすべてにおいてストーリーが存在します。

紙切れ一枚だってそう。どこの国の木からできたのか、からストーリーは始まります。

ラナプラザの悲劇をきっかけにしたファッションレボリューションはこうしたエシカルな感情にはたらきかける動きなのです。

目の前にあるひとつの製品がどこの国で生まれて、誰がどのように作って私たちのもとにやってきたのかを知り、それが特別だと感じる感情そのものがエシカルです。

こうして目の前にあるものを通して生産者を想像するエシカルの考え方は、近年よく耳にするSDGsとも深いかかわりを持っているのです。

では次に、エシカルとSDGsの関係についてお話しましょう。

エシカルとSDGsの関係

エシカルとSDGsはとても深い関係にあります。

今、私たちがくらす世界はさまざまな社会問題をかかえており、エシカルは解決する力を持っています。

SDGsとは?

SDGsは大きく環境問題、社会問題、経済問題の3つのカテゴリーにわけられ、17の目標と169のターゲットを「いつまでに、何を、だれが、どう取り組むか」を明確にあらわしたものです。

SDGsすべての目標の根底にあるのは「だれひとり取り残さない」という力強い決意です。

SDGsの特徴として、法律や規則のように「こうでなければならない!絶対に守らなければならない!」という強制的なものはなく、国、行政、地域、個人が主体的に取り組むことが目標達成へのポイントです。

この点から、個人の良心に従った行動が求められるエシカルの考え方は、目標達成に大きな影響力をもたらします。

SDGs17の目標の中でもエシカルの価値観が特に顕著に現れるのが目標12「つくる責任つかう責任」です。

特に目標12「つくる責任つかう責任」と関係

生産者も消費者も、すべての人が地球環境と健康を守れるように責任ある行動をとろう、というのが目標12「つくる責任つかう責任」です。

エシカルの考え方は、持続可能な生産と消費に大きくかかわってきます。

たとえば、大量生産大量消費によって引き起こされる大量の廃棄物問題

必要以上にものを生み出すということは、地球の限られた資源を枯渇させ、その資源を本当に必要としている人に行き渡らないことが問題となっています。

また、大量廃棄による環境問題や気候変動の課題もあります。

上記の現状を解決するためには私たちひとりひとりの消費意識を根底から変える必要があります。

それが、私にとっても地球の未来にとってもいい、というエシカルに基づいた消費行動「エシカル消費」です。

エシカル消費とは

人間は豊かで便利な生活を追い求め経済を発展させてきました。

その結果、地球資源を使い、安い賃金で長時間労働を強いられる人が増え、過剰な化学物質や農薬が使われ、健康被害や環境問題を引き起こしたのです。

くらしを豊かにし、経済も発展させ、資源の無駄遣いをなくすには、人々の生活の革新が基盤となってきます。

つまり、エシカルに基づく消費行動によって、地球や人々のくらしを改善できるということです。

そこでここからはエシカル消費について詳しく見ていきましょう。

エシカル消費とは?

エシカルに法や規則がないように、エシカル消費もまた「これを買ってはいけない」「これを買わなければならない」という個人の選択の自由を奪うものではなく、心地よいペースに重きを置いています。

エシカル消費が目指すものは、

  • 人、環境、地球の未来に良いと感じたものを選ぶ
  • 持続可能な社会のためにできることからはじめてみる
  • 自分が選択した消費で世界が変わる
  • 生産者と消費者のつながりを楽しんでみる

このようにエシカル消費は、消費の自由を失うことなく、良心に従って選ぶこと、買うこと、使うこと、その一連の流れを楽しむところがポイントです。これを継続することでエシカルライフを送ることができます。

エシカルライフとは

エシカルライフとは、その名の通り日常生活の中にエシカルを取り入れることです。エシカルライフを送ることで、自分自身はもちろん、他者や環境にも良い生活を送ることができます。

とはいえ、どのようにエシカルを取り入れればいいのかわからない人も多いと思います。そこで次ではエシカル消費の取り組みについて紹介します。

私たちの生活のなかでできるエシカル消費の取り組み

エシカル消費が目指す姿が理解できたところで、実際の生活に落とし込むにはどうすればいいのでしょうか。

ここでエシカル消費を楽しむための4つのステップをご紹介しましょう。

エシカル消費を楽しむための4つのステップ

ステップ1. この製品はどうやって生まれたの?誕生秘話を知ろう

すべての製品には誕生秘話があります。どの国の原料が使われ、誰がどのように作って、どうやって私たちの手元に届いたのか。製品の生い立ちを知ることで「つながり」を意識してみましょう。

ステップ2. 一連のつながりの背後に環境問題、社会問題が生じていないかを知ろう

製品の生い立ちの背後に、児童労働や低賃金労働、雇用の不平等、環境負荷など問題が起きていないかを考えてみましょう。

え!そんな安いお給料で働いていたの?!と信じられないような事実が隠されているかもしれません。

ステップ3. 社会問題、環境問題を解決する製品を知ろう

もし私たちが買ったものが社会問題や環境問題を悪化させている可能性があると知った場合、逆に解決する製品はどういうものがあるのかを学んでみましょう。

ステップ4. エシカル消費を楽しんでみよう

ステップ3で知った「解決する製品」を選んでみましょう。

再度お伝えすると、「これを買わなければならない」という窮屈なものではなく、選択肢のひとつに入れてみるという意識こそエシカルなのです。

以上が誰でもできるエシカル消費を楽しむための簡単な4つのステップです。

では具体的にどのような製品がエシカル消費につながるのかを4種類ご紹介します。どれも身近で手に入りやすいものなので気楽に構えて見てみてくださいね。

エシカル消費の取り組み①エシカル食品やエシカル企業の製品を選択

エシカル食品や製品を選ぶことはエシカル消費に直結します。とは言え、買い物時に何がエシカルで何が違うのかわからない方も多いと思います。そこでおすすめしたいのが、フェアトレード製品の選択です。

フェアトレードは公正な貿易、取引

フェアトレードは「公正な貿易、取引」という意味を持ちます。

生産者に正当な賃金が届くシステムのもと作られたものをフェアトレード製品と呼び、エシカル消費を心がけるうえで重要なキーワードです。

フェアトレード製品の目的は、

  • 途上国などの生産者の生活改善
  • 生産者の自立実現
  • 無理のない生産

つまり、持続可能な生産活動を実現することです。

カカオやコーヒー豆の生産地は開発途上国に集中しており、低賃金、児童労働、森林を切り開いて栽培するなど貧困とも関わる問題があります。

お金の寄付や設備提供をする方法もありますが、フェアトレードの目指す姿は生産者が自立するためのサポートです。

フェアトレード製品には次のような「国際フェアトレード認証ラベル」がつけられています。

主な対象製品は、

  • コーヒー
  • 紅茶
  • チョコレート
  • バナナ
  • フルーツ加工食品
  • コットン
  • ファッション

などさまざまです。

フェアトレード製品の特徴としてエシカルな観点から生産されているのでオーガニックがほとんどです。

食品の場合、味の美味しさもお墨付き、実際にオーガニック食品は栄養価が高いことが立証されています。

「フェアトレード製品気になってきた!」

「明日早速探してみようかな」

そんな気持ちになった方に、身近で購入できるフェアトレード製品を次にご紹介します。

エシカル食品を紹介

エシカル消費を意識してフェアトレード商品を選択しよう!と決めても、なかなか売っていないのでは?と感じる方も多いでしょう。

しかし、周りを見渡してみるとフェアトレード商品はじわじわと増え始めています。

全国に展開する大手イオンではエシカル消費が叶うフェアトレード商品が充実しています。

<イオン・イオングループで見つかるフェアトレードなものたち>

イオンがフェアトレードを取り扱い始めたきっかけは2002年、意見箱に投函されたひとつのメッセージでした。

「日常生活を国際貢献と結びつけるパイプ役になってほしい」

そこからイオンとグループ会社はフェアトレード商品を取り入れ始めました。

ほかにも、東京でオーガニック食品を取り扱う「ビオセボン」、愛知県内で展開する「旬楽膳」など食品スーパーにもフェアトレード製品は多数取り扱われており、自然食品のお店やオーガニックのセレクトショップでも見かけます。

このように、フェアトレード商品は普段のお買い物の中でみつけることができます。

これまでフェアトレード商品=ハードルが高い、という印象があった方もぜひチェックしてみてくださいね。

エシカル消費の取り組み②地産地消を心がける

地産地消はエシカル消費につながります。

地産地消とは、その地域で生産された農作物や水産物をその地域で消費することを指します。

地産地消には様々なメリットがある

エシカル消費の視点からみた場合、地産地消は次のメリットがあります。

  • 作った人の顔やストーリーがわかるので安心して食べられる
  • 地元農家が活気づく、応援につながる
  • 輸送費用が減るのでエネルギー節約、二酸化炭素排出削減になる
  • 新鮮なものが手に入る
  • 郷土料理や特産物を知ることで地域への愛着が増す

このように地産地消を意識することで、地域活性、環境配慮、ものを大切にする心が生まれ、エシカルに基づいたアクションが叶います。

エシカル消費の取り組み③環境に配慮した製品を選ぶ

海の生態系保護、森林保護など環境に配慮した製品を選ぶこともエシカル消費です。

おすすめは脱プラストロー・オーガニック製品

環境に配慮した製品の例をあげると、

  • プラスチックフリー(ストロー、スプーン、マイボトル、容器等)
  • 無農薬、化学肥料不使用の農産物

などです。

環境に配慮した認証マーク「MSC 海のエコラベル」、森を守る「FSC認証」などを基準にしてみるといいですね。

プラスチックフリーストローを展開する企業にインタビューを行っています。ぜひご覧ください。

株式会社大麦俱楽部|六条大麦で自然と触れ合う機会を人々に与える

エシカル消費の取り組み④エシカルファッションを意識する

エシカルファッションを意識することでエシカル消費に貢献できます。生活に取り入れられるよう、少し詳しく見ていきましょう。

>>トップに戻る

エシカルファッションとは

エシカルファッションとは、人や社会、環境に配慮したファッションを心がけようというものです。

例えば、

  • 農薬を使わないオーガニックコットンで作られた服
  • 手仕事で作られた一点ものアイテム
  • 寄付付き製品

などがエシカルファッションの一部です。

もう少しイメージしやすくするために、ここからは人、社会、環境に踏み込んで見ていきましょう。

世界には今、森林破壊や農薬問題、気候変動や人権問題など課題しなければならない問題が存在しています。1つずつ簡単に確認します。

森林破壊

衣類の原料には森林由来のものが存在し、森林破壊が進んでしまいます。

ファッションと森林破壊は一見何の関係もない問題に見えますが、服の素材となる人工繊維レーヨンは木材を化学加工して作られます。

農薬問題

オーガニックでないコットン栽培は大量の農薬と化学肥料、除草剤が使われ、生産者の健康被害や土壌汚染が進んでいます。

気候変動

農薬や化学肥料を使ったコットン栽培は気候変動をもたらします。

農薬や化学肥料は土壌に浸み込み河川をたどり最終的に海へたどり着きます。汚染物質を食べたプランクトンが大量発生し、急激な海水温上昇が起き台風など気候変動を引き起こします。

貧困問題

安く販売される衣服の裏には貧困問題が隠れています。

低価格を実現するためにコストカットされやすいのは生産者の賃金です。開発途上国の縫製工場では1日頑張って働いて日本円にして約160円の収入という生活を強いられていることもあります。

エシカルファッションはこれらの問題を解決するアプローチとなり、人、動植物、社会、環境の配慮したい4つのカテゴリーをつなぎあわせる役割を担っているのです。

エシカルファッションは服が出来上がる工程を知ることが大切

4つのカテゴリーをつなぐとはどのようなことか。

例えば私たちがお金を出して一着の服を買うとします。

その服の生地は、

  • どんな環境で育てられた植物の繊維でできているのか、もしくは動物の毛で作られたものなのか
  • 誰の手によって作られたものか
  • お店でいくらで販売されているのか

このように一言で服といっても長い工程を経てようやく私たちは身につけることができます。

それらのすべての工程が人、動植物、社会、環境に配慮されているかどうかを知ることからがエシカルファッションなのです。

エシカルファッションはシンプルなデザインが多い

エシカルファッションの見た目の特徴として、

  • シンプルであること
  • アースカラーが多いこと
  • おしゃれなデザインが多いこと

が挙げられます。

というのも、エシカルファッションは環境と人に優しい素材を使い長く使える服に重点を置くため、流行カラーやデザインにとらわれることはありません。

そうした特徴から私たちは気に入って購入した服を長く身につけることができ、持続可能なエシカルファッションライフができるのです。

では、エシカルファッションを判断するには具体的にどこに意識を向けるといいのでしょうか。

実はエシカルファッションかどうかを判断する基準が存在しています。

エシカルファッションを判断する基準はエシカルファッションフォーラムという団体が定義した10の基準が存在します。

ここでエシカルファッションフォーラムを少しご紹介しましょう。

エシカルファッションフォーラムは2004年に設立されたエシカルファッション推進団体で、世界100カ国以上、6,000以上の団体・個人が参加しています。

2021年時点で世界には196の国がありますが、エシカルを推進する国が100カ国以上というのはすごいですね。

ではさっそくエシカルファッションの基準をみていきましょう。

エシカルファッションの10の基準

・Countering fast, cheap fashion and damaging patterns of fashion consumption(ファストファッション、安い使い捨て型のファッション消費に反する)
・Defending fair wages, working conditions and workers’ rights(生産において労働者の賃金、権利、労働環境を守っている)
・Supporting sustainable livelihoods(動植物の持続可能性をサポートしている)
・Addressing toxic pesticide and chemical use(有毒農薬や化学薬品の使用の問題に取り組んでいる)
・Using and / or developing eco- friendly fabrics and components(環境に優しい素材を開発、または使用している)
・Minimising water use(水の使用量を最小限にしている)
・Recycling and addressing energy efficiency and waste(リサイクルやエネルギー問題、ゴミ問題に取り組んでいる)
・Developing or promoting sustainability standards for fashion(ファッションにおけるサステナビリティを作りだし、それを広めようとしている)
・Resources, training and/ or awareness raising initiatives(新たな取り組みを人々に知らせ、解決策を広めようとしている)
・Animal rights(動物の権利を保護している)

Ethical Fashion Forum

このようにたくさんの基準が決められています。

ただ、すべての基準をクリアした製品を探すことはなかなかハードルが高くなります。

もし見つけたとしても手持ちの服すべてを10の基準に満たすものに変えるのは金銭面から考えても現実的ではないかもしれません。

エシカルファッションのポイントは心地よさ

そこで重要なのは、自分が心地よいと思えるエシカルファッションの条件を選んでみることです。

エシカルは、「私にいい」も満たしていることがポイントですからね。

では心地よくエシカルファッションを楽しむために具体的に何を意識するといいのでしょうか。

もっとも取り入れやすい判断基準は、「素材」です。エシカルファッションを語るうえで素材選びは重要です。

もちろん、エシカルファッションは新しく購入する以外にも、服を大切に着続けることやおさがりをもらうリメイクするなどさまざまなアプローチがあります。

その中でエシカルファッションを新しく選ぶなら!という視点でおすすめしたい素材をご紹介します。

エシカルファッションの素材①オーガニックコットン

オーガニックコットンは農薬や除草剤などを一切使わずに育てられたコットンを使用した人と環境にやさしいエシカルな素材です。

開発途上国の社会問題のひとつに農薬問題があります。

それは農薬を使ったコットン栽培で起きやすく、大量生産のために農薬を使い、除草剤を使って葉を枯らせ収穫しやすくします。

それが生産者の健康被害につながったり、土壌汚染につながったりと悪影響を与えています。

一方でオーガニックコットンはそうした薬剤を使わずに栽培されるため、エシカルファッションの選択肢として最適です。

エシカルファッションの素材②麻(リネン)

リネンは一年を通して着ることができるエシカルな素材です。

吸水性がよく乾きやすいという性質上、季節問わず着用することがえきます。

さらに数ある天然繊維の中でもダントツで丈夫な生地ゆえに使い込むほどに味が出て、手入れが楽で手間がかからないというメリットがあります。

長持ちする、だからずっと着ていられるという点でエシカルファッションなのです。

ウールはエシカルファッション?

ウールは羊の毛を用いたものです。

エシカルファッションの基準10に動物の権利が主張されていることから、ウールはエシカルなのか?という議論もあります。

例えばヴィーガンの方の場合はウール、シルク、レザーなどの動物由来の衣服は選択肢にありません。このように人それぞれの価値観によって、ウールがエシカルかどうかの判断も異なるため、どちらが正解、というのはありません。

ただウールはコットンやリネンと同じくらい頑丈で長持ちするため、エシカルファッションに当てはまった使い方ができます。

そのため、ウールを選ぶ場合は環境や動物の権利に配慮されたものを選ぶことをおすすめします。

例えばザ・ノース・フェイスでは炭素排出低減を目指した農場で作られたウールを使ったニット帽を販売しています。

エシカルファッションとしてウールを選ぶとしたら、ぜひオーガニックウールを探してみましょう。

エシカルファッションは認証マークでも判断できる

素材以外にもエシカルファッションかどうか判断する方法として、認証マークの有無で確認が挙げられます。

下記に示す認証マークをまとめました。

GOTS認証マーク

原料の栽培、収穫、人権に配慮され、ラベリングまでオーガニックであることを示すマークです。

OCS認証

引用元:TextileExchange

原料から製品完成までの工程の透明性を大切にし、トレーサビリティが明確となった商品であることを示します。

このマークがつけられた製品は、オーガニックであること、汚染物質が混入しない管理を消費者に保証することを意味します。

このようにエシカルファッションは認証マークでも確認することができます。

ここまで読み進めると、エシカルファッションにはメリットしかないように思えますがデメリットは存在するのでしょうか。

エシカルファッションのデメリット①ファストファッションと比べて価格が高い

エシカルファッションはファストファッションと違い価格が高い傾向にあります。

ファストファッションで500円から1,000円代で変える衣類も、エシカルファッションなら8,000円から10,000円程度の価格帯となります。

エシカルファッションは生産者の労働環境に配慮して適正な賃金が行き届くフェアトレードシステムが導入されているため、販売価格が高くなっています。

「高いから躊躇してしまうな。」

と思われる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、

  • 素材がオーガニックで肌に優しいこと
  • 環境に配慮されていること
  • 長く大切に着用できること

など長期的な目線で見ればコスパが良いものです。

また、生産者に直接寄付という形ではなく、エシカルファッションを楽しめて生産者も嬉しい、両者にとってwin-winであることがエシカルファッションの魅力なのです。

エシカルファッションは物々交換感覚

時代を遡ってみると、世の中にお金が普及していない時代は、人々は物々交換をして生活を営んでいました。

例えばある人が農作物を作ることが得意だとしましょう。

その人は農作物を育てる工具を作ることが苦手です。そこで工具を作ることが得意な人に農作物を渡し、代わりに工具をもらいます。

サービスの交換をするのです。

エシカルファッションは、私たちが生産者とできるサービスの交換と考えるとなんだか楽しく思えてきませんか?

エシカルファッションのデメリット②入荷待ちになりやすい

もう1つのデメリットとして、入荷状況が不安定な時期があることが挙げられます。

多くが手仕事製品であるため、品切れになった場合、入荷までに時間を要することもしばしばあります。

また、在庫を抱えていないケースがほとんどなので、自然災害やパンデミックによって輸送ルートに混乱が生じた場合、なかなか入荷できないことも。

こうした理由が重なると気長に待つ必要がありますね。

しかし逆を考えてみれば、まだかまだかと待つ楽しみが増えます。

それはもう、遠距離恋愛に似た感覚に近いでしょう。

遠い国から特別なエシカルファッションが自分のもとへやってくる。そう考えると、待つ間ですらも楽しむことができます。

効率を重視した生活をしている場合、待つという時間はもしかしたら欠点要素になるかもしれません。

しかしエシカルファッションを通して「焦り」「手っ取り早く」という感情を手放してみると、スローを楽しむきっかけにだってなりうるのです。

ここまででエシカルファッションについてわかったところで、おすすめのブランドを紹介します。

おすすめのエシカルファッションブランド①People Tree(ピープルツリー)

ピープルツリーは日本でもっとも知られているフェアトレード団体で、食品、衣料品、雑貨、文具などさまざまな製品を展開しています。

ピープルツリーといえばチョコレートを買ったことあるよ、という方も多いのではないでしょうか。

そんなピープルツリーにはチョコレート以外にもエシカルファッション商品が充実しており、オーガニックコットンのシャツ、夏におすすめのタンクトップ、フェミニンなワンピースまで幅広く取り入れています。

価格帯はワンピース1着でだいたい1万円前後となっておりエシカルファッション初心者の方にとてもおすすめです。

おすすめのエシカルファッションブランド②UNDERSON UNDERSON

UNDERSON UNDERSONの魅力は、肌に触れる99.9%の部分を無添加和紙で仕立てられたエシカルファッションブランドです。

使われる和紙はカナダで管理された森林で育ち、生産から加工まで環境に配慮されて作られたものです。この和紙を独自の技術に糸に紡ぎあげ生地が完成します。

ブランドが誇る「WASHIFABRIC」は消臭、吸水、速乾、保湿調整に優れており、夏でも快適に着られます。

ラインナップはメンズ、ウィメンズ、ベビー用まで充実しており、お祝い用ギフトとしてもぴったりです。

おすすめのエシカルファッションブランド③MAITO

自然とヒトに優しいものづくりを追求したMAITOは自然のパワーを最大限に活かした草木染め製品を展開するエシカルファッションブランドです。

MAITOは全国の職人さんのもとへ直接足を運び、声を聞くところからスタートします。

自然に染められた衣類は優しいアースカラーのものから、はっと目を惹くような鮮やかな藍染まで美しいものばかり。

MAITOは東京都蔵前に本店を構えており、ほぼすべての商品を手に取ることができます。

もちろんオンラインショップも充実していますよ。

MAITOを展開するMaito Design Worksにインタビューしています。ぜひご覧ください。

Maito Design Works|草木染めをもっと気軽に!日本のものづくりの伝統を未来へ

おすすめのエシカルファッションブランド④indigo sea

草木染めからもうひとつエシカルファッションブランドをご紹介します。

アクティブに動きたい方にぴったりの草木染めブランドは、indigo sea(インディゴシー)です。

indigo seaの最大の特徴は、海の向こうバリ島とジャワ島で育った5つの植物の葉から染め上げている点です。

  • インディゴ
  • マンゴー
  • マホガニー
  • ケタパン
  • セチャン

この5種類の葉を絵の具のように混ぜあわせ、生地に映し出します。

販売される服にも特徴があり、ビーチを歩きたくなるようなワンピース、タンクトップに合わせたいマキシスカート、レースタンクなどリゾート気分になるような可愛くておしゃれなアイテムが勢ぞろいしています。

おすすめのエシカルファッションブランド⑤patagonia(パタゴニア)

サーフィンや登山、アウトドア好きから人気の高いパタゴニアはエシカルファッションブランドです。かく言う筆者もアウトドア好きなので、パタゴニアはエシカルファッションとして大注目しています。

パタゴニアは製品づくりをする上で2つのことを大切にしているといいます。

  1. 地球上に残された少ない資源で環境負荷の少ない素材で製品をつくる
  2. 契約農家と工場で働く人が安全で快適なくらしができること

人と地球環境に配慮した持続可能なビジネスモデルを展開してきたパタゴニア、今後も注目したいエシカルファッションブランドです。

おすすめのエシカルファッションブランド⑦天衣無縫(てんいむそう)

天衣無縫はオーガニックコットンのインナーアイテム、ベビー用肌着、インテリア雑貨を販売しており、一部工場でGOTS認証も取得しています。

肌が弱い方、化学繊維に敏感な方はぜひインナーアイテムからエシカルファッションにシフトしてみてはいかがでしょうか。

流行にとらわれず、自分が気に入った服をずっと着る

写真:筆者提供

筆者はここ2、3年で購入した服の数は指折り数えるほど。

上記写真の服も、すでに4年間着用しています。

物持ちがいいことに加え、パーソナルカラーに合った服を選べるので、本当に好きなものだけに囲まれたエシカルファッションライフを楽しんでいます。

筆者がエシカルファッションで選ぶポイントは3つ

  • 自然素材であるか(オーガニックコットン、麻)
  • パーソナルカラーに合う色であるか
  • 好きを優先して選んだ服であるか

流行りのファッションよりも、自分が直感で気に入った服は飽きずにずっと着続けられます。

また筆者のパーソナルカラー(イエベオータム)は嬉しいことにアースカラーが多く、ゆえに自然素材で仕立てられた服が多いのです。

エシカル消費にありがちな素朴なギモン

法や規則で決まっていないエシカル消費ですが、「なかなか実行できない」「人に聞きづらい」とギモンを持つこともあるでしょう。そこでここでは、エシカル消費を意識する際によくあるギモンにお答えします。

ギモン1「フェアトレード製品は少し価格が高いのですべてを揃えるのは難しい。無視して買うべき?」

無理をして購入することがエシカル消費ではなく、自分の心地よいペースで「今だ!」と決めたときに選ぶことをおすすめします。

フェアトレード製品が高いという理由のひとつに、フェアトレード製品が主流ではないからというものがあります。

私たちが少しずつでもフェアトレード製品を購入することで、そうでない製品にかかる費用が減り、結果フェアトレードの販売価格が安くなる可能性があります。

特別な日のプレゼント、自分へのご褒美、今だ!と感じたときに選んでみることから始めてみましょう。

ギモン2「食品ロスをなくすために、値下げされた期限間近のものを買うべき?健康のために新鮮なものを選びたいんだけどな」

新鮮なものが欲しい!というのは自然な考えなので値下げされたものを絶対に買わなければならない、ということはありません。

がしかしエシカル消費の視点に立った場合、廃棄を避けるためにお店側は試行錯誤しているので、私たちもできる限り協力してみましょう。

食品ロス対策はお店の努力と消費者が一緒になって取り組む課題なのです。

新鮮なものを手にいれる有効な手段として「地産地消」をおすすめします。

朝採れ野菜など、その日の朝に収穫された野菜が並ぶ道の駅やファーマーズマーケットは新鮮なものばかりです。

エシカル消費の手段は無限です。自分に合った消費方法を楽しむのも、エシカル消費の魅力ですね。

グリーンウォッシュに注意!

エシカルな商品・サービス選びを行なううえで、気を付けなければならいのは「グリーンウォッシュ」です。

グリーンウォッシュとは

グリーンウォッシュとは「うわべだけで環境にやさしい商品・サービスと見せかける手法」のことです。

エシカルな買い物で欠かせない環境問題について、特にこれといった取り組みをしていないのに森林の画像を多用したり、クリーンなイメージを狙う文章でごまかしたりする企業もあるので十分な注意が必要です。

たとえば自然素材であることを強調する衣料品が、実はオーガニックではなく、大量に農薬を使用する普通の綿花を使っているケースも見受けられます。

また、銀行や保険会社の場合も、SDGsやエシカルに取り組んでいると掲げているものの、その裏で気候変動に最も負荷のかかる石炭火力発電への投資を行なっている、森林破壊や児童労働につながるパーム油開拓に加担しているなども過去に話題になったことがあります。

商品のあいまいな表記やホームページのイメージを鵜呑みにせず、自らすこしずつ調べて納得してから購入するよう意識していきましょう。

生活の中にエシカルを取り入れよう!

エシカルとは、人、自然、未来に配慮した考え方で、それぞれをつなげることです。

人間の愛情の部分がエシカルに直結します。

このような考え方を生活に反映させるために私たちにできることは、エシカル消費です。

エシカル消費の方法は、

  • フェアトレード製品を選ぶ
  • 地産地消を心がける
  • エシカルファッションを意識する

などがあります。

エシカル消費をすることは、エシカルに基づいた生産、加工、販売をするお店や企業に一票を投じることと同じことです。

SDGsが実現したとき、そこに私たちが実践するエシカル消費がかかわっているとしたら嬉しくなりますね。

エシカルを取り入れて、持続可能な社会作りに参加してみましょう。

参考文献
※1 関西大学 連合総研レポート アジアにおける経済成長の光と影 −グローバル化と労働 

この記事の監修者
阪口 竜也 フロムファーイースト株式会社 代表取締役 / 一般社団法人beyond SDGs japan代表理事
ナチュラルコスメブランド「みんなでみらいを」を運営。2009年 Entrepreneur of the year 2009のセミファイナリスト受賞。2014年よりカンボジアで持続型の植林「森の叡智プロジェクト」を開始。2015年パリ開催のCOP21で日本政府が森の叡智プロジェクトを発表。2017年には、日本ではじめて開催された『第一回SDGsビジネスアワード』で大賞を受賞した。著書に、「世界は自分一人から変えられる」(2017年 大和書房)