世界中で人気のチョコレート。
オーストラリアでもさまざまなチョコレートが販売されています、カカオ生産に関する環境デメリットなども指摘されていることから、サスティナブルなカカオを使ったチョコレートを普及させることが大切です。
オーストラリア発祥のチョコレートショップ・Koko Black Chocolatesは、自社はもちろん、チョコレート業界や消費者全体の環境意識を高めるための取り組みを行っています。
この記事では、Koko Black Chocolatesがどのようなエコ活動を行っているのか見ていきましょう。
目次
Koko Black Chocolatesの基本情報
2003年、ビクトリア州メルボルンにてチョコレートショップ・Koko Black Chocolatesがオープンしました。
世界的に有名なベルギーチョコレートと同じ製法を使っており、オーストラリアの食材に特化したフレーバーを数多く取り揃えている点が特徴です。
Koko Black Chocolatesの製品は正規店以外にも、オーストラリア国内のデパート、食品系セレクトショップ、スーパーで販売されているため、Koko Black Chocolatesのショップがない州や地域でも手軽に楽しめるチョコレートとして知られています。
Koko Black Chocolatesの主な製品
Koko Black Chocolatesは、高級チョコレートからリーズナブルな価格帯のものまでバリエーション豊富な製品を販売しています。
トリュフチョコレートが敷き詰められたボックス、ナッツやラミントンを使ったオーストラリアクラシックシリーズ、多彩なフレーバーが魅力の板チョコ、コアラ、ペンギン、カモノハシなどのオーストラリアの固有種の形状をしたクリッティーコレクション、プラリネを使ったチョコレートケーキ、子ども向けのロリポップタイプのチョコレートをはじめ、さまざまな層の好みやニーズを満たす製品が魅力です。
Koko Black Chocolatesが取り組むエコ活動とは?
オーストラリア発祥のチョコレートショップとして高い知名度を誇るKoko Black Chocolatesは、カカオ生産に伴う環境問題を懸念してきました。
そこで、環境保全とチョコレート販売の両立を目指して、以下のようなサスティナブルな取り組みを行っています。
オーストラリアの原料を使用
大陸国であるオーストラリアは、ほかの多くの国々から離れているという特徴を持っています。
原料を他国から輸入すると輸送距離が長くなりやすいことから、二酸化炭素の排出量も膨大になりがちです。
Koko Black Chocolatesは不必要な二酸化炭素の排出量増加を避けるために、国産原料にこだわったチョコレートづくりに取り組んでいます。
オーストラリア生まれのKoko Black Chocolatesでは、先住民の食文化や固有種の食材を使った以下の3つの原料を特に多く使用しています。
①デビッドソンプラム
スーパーフードとして知られるオーストラリア原産の果実・デビッドソンプラムは、酸味が強くダークチョコレートとの相性が抜群。
クイーンズランド州及びニューサウスウェールズ州北部の熱帯雨林で育つことから、輸送にかかる二酸化炭素の排出量削減にも役立っている原料です。
②グリーンアント
グリーンアントは、オーストラリアの先住民・アボリジニが食べている蟻のことです。
ビタミンCが豊富なことから何世紀にもわたってアボリジニの食文化を形成してきたと言われており、Koko Black Chocolatesでもグリーンアントのレモンのような風味を活かしたチョコレートを販売しています。
③マカダミアナッツ
マカダミアナッツ=ハワイのイメージを持たれがちですが、実はマカダミアナッツはオーストラリアの固有種です。
現在でもニューサウスウェールズ州北部とクイーンズランド州南東部を中心に栽培されており、輸送距離を短縮することで二酸化炭素の排出による気候変動を最小限に抑えられるのはもちろん、オーストラリアならではのチョコレートづくりにも役立てられています。
Cocoa Horizonsとのパートナー提携
持続可能なチョコレートづくりを目指して、Koko Black ChocolatesではCocoa Horizonsとパートナー提携を結んでいます。
Cocoa Horizonsは2015年に設立された非営利団体で、カカオに関するビジネスと自然環境の保全を両立するために運営しています。
Cocoa Horizonsでは環境保護、労働者の権利、経済発展、品質、ビジネス倫理における260 以上の基準を検証することで持続可能性の高いカカオ農家を選別しており、二酸化炭素の排出量、気候変動への対策、森林破壊のないカカオの調達の確保などを目指している点が特徴です。
Koko Black Chocolatesはパートナー提携により、以下のような環境負荷低減を実現しています。
①森林破壊ゼロへの取り組み
世界中で愛されるチョコレートですが、カカオの生産・栽培と環境問題は切っても切れない関係性を持ちます。
カカオの供給を増やすために開拓による森林伐採や不適切な管理を行うケースも多く、熱帯雨林をはじめとする膨大な量の木々が消失するのはもちろん、野生動物の生息地や生態系破壊なども招きかねません。
そこでCocoa Horizonsは不必要な森林伐採を防ぐために、登録している全ての農家の農場をGPSでトラッキングしています。
森林伐採のモニタリングと同時に破壊レベルも毎年評価されており、森林破壊に繋がる活動をしている農家はプログラムから除外される徹底ぶりです。
②気候変動に配慮した農業
Cocoa Horizonsはアグロフォレストリー(Agroforestry)に力を入れており、同じ土地に樹木と作物の両方を植える取り組みを支持しています。
地域や環境に応じて効果や適応力も変わるため、農場診断をした上でトレーニング、高品質の苗木、技術支援を通して農家のサポートを行っています。
尚、農家にはカカオの木の生産寿命の延長、栄養循環、侵食制御といったメリットがあるほか、環境サービスへの貢献として報酬も受け取れる仕組みです。
アグロフォレストリーの状況はCocoa Horizonsによってモニタリングされており、必要に応じてアドバイスなどを受けられる点も特徴です。
③景観への取り組み
Cocoa Horizonsでは、森林や生態系だけでなく景観保護への取り組みも行っています。
その土地本来のあるべき姿を壊さないように、森林破壊やアグロフォレストリーを徹底することで自然生態系を回復にも貢献しています。
エコなチョコレートに関する啓発
自社での取り組みやCocoa Horizonsとの提携による環境保全に力を入れているKoko Black Chocolatesですが、一般市民に対する啓発活動も実施しています。
どんなにKoko Black ChocolatesがSDGsを意識しても、消費者である一般市民が正しい理解を持っていなければ保全効果は半減してしまいます。
そこで、チョコレートの需要が高まるイースターの時期などに合わせて、Koko Black Chocolatesは持続可能な方法で調達されたカカオから作られたチョコレートを購入する重要性について公式ホームページで解説してきました。
カカオ農家の中には森林伐採、生態系破壊、土壌劣化などに繋がる方法で農場を運営しているケースも多く、そういった農家のカカオを使ったチョコレートを購入することは環境破壊を促進させることを意味します。
オーストラリアではCocoa Horizons、Fairtrade、Rainforest Allianceの3つの機関が主要な認証機関であり、持続可能なチョコレートを選ぶ上で認証マークをチェックすることが重要です。
エコなチョコレートを購入することで認証外であるカカオ農家の数を減らせるため、Koko Black Chocolatesは一般市民でも手軽に環境保全を促進できる取り組みとして呼びかけています。
まとめ
環境に優しいチョコレートを広めるため、Koko Black Chocolatesではカカオ生産や消費者への啓発といったさまざまなエコ活動に力を入れています。
私たちも、チョコレートを買うときはサスティナブルなカカオやチョコレートを選ぶことからはじめてみましょう。