SDGsに取り組む企業や団体が増える中、地域からの挑戦も注目されています。
宮城県では、「みやぎゼロカーボンチャレンジ2050戦略」を掲げ、温室効果ガス排出量を大幅に削減する目標を設定。
2030年度までに2013年度比で50%削減を目指し、多方面での取り組みが進められています。
そんな宮城県の先進的な取り組みを象徴するのが「みやぎゼロカーボンアワード」。
今回は、その概要と意義について詳しくご紹介します。
みやぎゼロカーボンアワードとは
「みやぎゼロカーボンアワード」は、宮城県が地球温暖化対策において顕著な功績を挙げた個人や団体を表彰する制度です。
このアワードは、優れた取り組みを広く発信し、他の地域や組織への波及効果を目指しています。
以前は「宮城県ストップ温暖化賞」として実施されていましたが、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを強化するため、新たな形で展開されています。
表彰対象は、県内に住む個人や団体、学校など幅広く、知事が必要と認めた取り組みも対象です。
受賞者には表彰式で賞状と盾が授与されるほか、宮城県のHPやSNSを通じた広報支援、さらに環境省の「気候変動アクション環境大臣表彰」への推薦も行われます。
このアワードは、2050年の脱炭素社会実現に向けた県の意志を示す重要な取り組みとして注目されています。
受賞企業
受賞企業の取り組みを以下にご紹介します。
【最優秀賞】株式会社一の坊
株式会社一の坊は、宮城県の豊かな自然を活かした温泉リゾートを運営する企業として、地球環境への配慮と脱炭素社会の実現に向けた取り組みを積極的に展開しています。
同社は「温泉という恵みを地球からもらう以上、環境に配慮する責任がある」との考えのもと、持続可能な運営を目指しています。
具体的な取り組み内容
温泉廃熱利用システムの導入
同社は、活用されることなく廃棄される「温泉の熱」に注目し、仙台・作並温泉ゆづくしSalon一の坊において廃熱を回収・再利用するシステムを導入しました。
浴槽からあふれる温泉の熱を二重管式熱交換器で回収し、浴槽保温や貯湯槽の予熱、さらに冬季のロードヒーターに利用することで、重油使用量を大幅に削減。
これにより再生可能エネルギーを有効活用し、環境負荷を大幅に低減することに成功しています。
建物・設備の省エネ化
同社では、社長が率いる「快適エコ活動推進委員会」を中心に、全社一丸となって省エネ活動を推進しています。循環ポンプのインバータ化や照明のLED化、空調の個別化など、設備の改修や運用改善を積極的に実施。
また、スタッフの環境意識向上にも取り組み、日々の業務においてもエネルギー削減を実現しています。この結果、CO2排出量を42%削減、エネルギー使用量を37%削減するなど、顕著な成果を挙げています。
フードロス削減への挑戦
松島温泉松島一の坊や作並温泉ゆづくしSalon一の坊では、オーダービュッフェスタイルを導入。お客様の注文に応じて調理を行うことで、残食を大幅に削減しました。
さらに、調理時に出る廃棄物や残食を食品リサイクルとして肥料化し、地域の循環型社会に貢献しています。この取り組みにより、2019年度にはフードロスを36%削減する成果を達成しました。
株式会社一の坊は、地域資源を最大限に活用しながら、地球環境への負荷を低減する取り組みを続けています。今後も使用電力の再エネ率向上を目指し、より持続可能なリゾート運営を実現していく方針です。
株式会社一の坊の基本情報
名称 | 株式会社一の坊 |
代表者名 | 代表取締役 髙橋 弘行 |
住所 | 〒980-0013 仙台市青葉区花京院2丁目1-10 |
URL | https://www.ichinobo.com/ |
まとめ
今回は、みやぎゼロカーボンアワードをご紹介しました。この表彰制度は、宮城県内で地球温暖化対策に積極的に取り組む個人や団体を広く認知し、その取り組みを他へ波及させる重要な役割を担っています。
紹介した株式会社一の坊のように、地域資源を活用しながら環境負荷を低減する具体的な取り組みは、私たちが目指す持続可能な社会への道筋を示しています。
地域からの地道な挑戦が大きな変革を生む原動力となることを、このアワードは教えてくれます。
皆さんも、身近なところからゼロカーボンに向けた一歩を踏み出してみませんか?