世界的に問題になっているプラスチックごみですが、オーストラリアでもプラスチックのリサイクル促進に力を入れています。
しかし、リサイクル率が低い国という一面もあることから、保全団体・Plastic Free Julyはオーストラリア全体のプラスチック削減に繋がる活動を行っています。
一般市民が手軽に参加できるアイデアやイベントなどが多く、人々が無理なく参加できると高評価を得ているPlastic Free Julyの取り組み。
この記事では、実際に行われているエコ活動の詳細について解説していきます。
オーストラリアはプラスチックのリサイクル率が低い国
エコ大国のイメージが強いオーストラリアですが、実はプラスチックのリサイクル率が低い国のひとつです。
先進国であるにもかかわらず、プラスチックの回収率はわずか13.1%に留まっており、340万トンのプラスチックを含む7,410万トンの廃棄物が発生しています。
自然環境との共存を目指すためにも、家庭、学校、職場、自治体に対する積極的な啓発と改善が必要です。
Plastic Free Julyは一人ひとりのエコ意識改善を目指す保全団体!
西オーストラリア州フリーマントルを拠点とするPlastic Free Julyは、世界から廃棄物を除去することを目的に2011年に発足しました。
西オーストラリア州は世界でも特殊な生態系を持つにもかかわらず、環境破壊の危機に瀕している地域・生物多様性ホットスポットに指定されています。
自然保護への意識が高い州として知られていますが、特にフリーマントルは自治体全体が環境問題への解決に力を入れているエリアです。
Plastic Free Julyはそんな野生動物や自然環境を守るための意識が高い人々が集まって形成された団体で、オーストラリア全域や世界の廃棄物問題へ取り組んでいくことを目指しています。
プラスチック=環境に悪いということは分かっていても、具体的にどのようにプラスチックを削減すべきか分からない人々も多いのが実情です。
また、ライフスタイルを変えることへの不安や負担を感じている層もたくさんいることから、Plastic Free Julyでは環境問題に関心のある人々が手軽に挑戦できる取り組みを紹介しています。
Plastic Free Julyによるプラスチック削減方法とは?
Plastic Free Julyは、2011年設立と比較的歴史の浅い団体です。
しかし、持続可能な企業・組織に対して贈られる「フリーマントル市賞」を受賞しているほか、「国連SDGアクションアワード」のファイナリストにも選ばれており、環境保全への影響が大きな団体として評価されています。
以下では、実際にPlastic Free Julyがどのような活動をしているのか見ていきましょう。
①プラスチックに関するクイズ
Plastic Free Julyの公式ホームページでは、プラスチックに関するクイズに挑戦できます。
オーストラリア国内のプラスチックの削減・リサイクル率が低い理由のひとつが、知識不足による誤った認識です。
プラスチックを減らすためには適切な理解が必須となることから、Plastic Free Julyではプラスチック関連の短いクイズを提供してユーザーの認識度を明確化しています。
尚、クイズを通してユーザーがプラスチックへの理解を深められるのはもちろん、クイズの結果は研究にも役立てられています。
クイズ結果を集計することでオーストラリア国民がどのような認識を持っているのかを確かめられるため、今後のイベントや活動を企画する際に反映されている点が特徴です。
②プラスチックチャレンジへの参加
Plastic Free Julyが毎年7月に開催しているのが、1か月間にわたって行われるチャレンジイベントです。
チャレンジイベントでは毎週異なるエコチャレンジがメールで送信され、参加者はゲーム感覚で気軽にエコ活動に取り組めます。
プラスチックチャレンジには世界で1億人以上が参加しており、イベントとしての知名度を上げることで世界的なプラスチック削減やリサイクル率の向上に貢献しています。
③シチュエーションやレベル別のプラスチック削減アイデア
より多くの人々が無理なくエコ活動に参加できるように、Plastic Free Julyではシチュエーションやレベルに応じた異なるアイデアを公式ホームページにて紹介しています。
ユーザーや団体がそれぞれのニーズに合うアイデアを取り入れやすく、効率的に環境保全を促進できる点が特徴です。
ビギナー、上級者、ビジネス、自治体の4種類があり、それぞれの詳細は以下のようになっています。
-ビギナー
「環境に優しいことをしたいけど何から始めたらいいの?」「ライフスタイルを大幅に変えるのはハードルが高い」というユーザー向けに提供しているのが、誰でもはじめられる手軽なアイデアです。
例として、マイカップやエコバッグの使用、トレーではなく紙の包装紙を採用した生鮮食品の選択、再利用可能なストローの導入などが挙げられます。
少しの工夫で取り入れられるものばかりなので、環境問題について考え始めたばかりのビギナーが臆することなくトライできるのがメリットです。
-上級者
ビギナーよりワンランク上の環境保全に取り組みたいユーザー向けに、Plastic Free Julyでは上級者を対象としたアイデアも展開しています。
化学繊維を含まない衣類、有害物質フリーの洗剤、Bulk Foodなどの量り売りの食品、吸水ショーツやカップなどの再利用可能な生理用品といったアイデアが提供されており、本格的にエコフレンドリーなライフスタイルを取り入れたい場合に役立てられています。
-ビジネス
ビジネスの規模が大きくなればなるほど、環境への負荷も大きくなりがちです。
Plastic Free Julyでは段ボール、容器、カトラリー、パッケージが与える環境負荷について解説するとともに、サスティナブルな代替え案を紹介しています。
また、企業内のルールを変えることでエコに繋がる可能性も高いことから、改善点などについてアイデアを出しているところもポイントです。
-自治体
Plastic Free Julyでは自治体の意識改革とコミュニティへの啓発を目的に、自治体向けのアイデアも発案しています。
自治体におけるルールの改善、講演会、ワークショップの開催などを行うことによって、自治体全体のプラスチック削減率やリサイクル率アップに繋がります。
④一般市民や団体が行う活動の紹介
ユーザーのモチベーションを高めるため、Plastic Free Julyでは公式ホームページにて一般市民や団体が取り入れている活動を紹介しています。
Plastic Free Julyのアイデアを応用しているケースも多く、「ほかの人がしている具体例を見て活かし方が分かった」「自分のシチュエーションに合う活用方法を見つけられた」と高評価を得ています。
⑤プラスチックフリーの誓約
SNSを頻繁に利用する層を環境保全活動に引き込むべく、Plastic Free JulyではSNSにてプラスチック不使用を宣誓できるシステムを構築しました。
参加したいユーザーはPlastic Free Julyの公式ホームページへアクセスし、「Pledge Card」と呼ばれる誓約カードをダウンロードします。
2024年8月時点で誓約カードには使い捨てカップ、食品ラップ、ペットボトルの3種類があり、ダウンロードして記名欄に自身の名前を書き込んで誓約カードの写真を撮ります。
撮影した誓約カードをSNSに投稿することで、ユーザー自身がモチベーションを維持しながらプラスチック製品を削減できるのはもちろん、ほかのユーザーの興味を引ける点もメリットです。
誓約カードは単なるプラスチック削減のための活動ではなく、若い世代が楽しんで取り組めるイベントのような意味合いも含まれています。
SNSという視覚的な方法で取り組みを共有することによって、より多くの人々にプラスチック削減への関心をもってもらえる活動です。
まとめ
Plastic Free Julyは、人々の意識改革を行うことで国全体のプラスチック削減とリサイクル率アップを目指しています。
環境保全と聞くと難しく感じるものの、地球や環境に優しい生活は少しの工夫や積み重ねで実現可能です。
私たちも自身のライフスタイルを振り返り、実践できることから取り組んでいくことが大切ですね。