近年、持続可能な社会を目指すSDGs(持続可能な開発目標)が広く注目を集めています。
その中で、地域ごとにSDGsに取り組むための「SDGsパートナー」という制度を導入する自治体が増えています。
つくば市も例外ではなく、「つくばSDGsパートナーズ」を通じて、市全体で持続可能な社会の実現に向けた姿勢を示しています。
今回は、この制度のもとで具体的にどのような取り組みが行われているのかを詳しくご紹介します。
つくばsdgsパートナーズとは
つくばSDGsパートナーズは、つくば市役所が主導する取り組みで、社会・経済・環境が調和した持続可能なまちづくりを目指すための仲間づくりの場です。
この組織は、市民、企業、団体、大学・研究機関、行政など多様な主体が連携し、自主的かつ自発的にSDGsの達成に向けた活動を展開しています。
会員は「団体会員」と「個人会員」の2種類で構成されています。
- 団体会員
企業、NPO、ボランティア団体などが該当し、それぞれの強みを生かしたSDGsへの取り組みや、ネットワーク構築が期待されています。 - 個人会員
市民一人ひとりが日々の生活の中でSDGs達成に向けた行動を実践し、関連事業への参加や協力を積極的に行うことを求められています。
また、この取り組みはつくば市の「持続可能都市ヴィジョン」の実現を目指しており、入会金や年会費は無料です。
入会を希望する団体は、原則としていばらき電子申請・届出サービスを通じて申し込む形となっていますが、電子申請が難しい場合は申込書の提出も可能です。
さらに、つくばSDGsパートナーズでは講座やワークショップを開催しています。
筑波大学が提供する「つくばSDGsマイスター講座」では、修了者に「つくばSDGsマイスター」の称号が授与されるなど、学びと実践の場が広がっています。
パートナー企業紹介
つくばSDGsパートナーズの企業・団体がどんな取り組みをしているのか、具体的に見ていきましょう。
株式会社めごこ
株式会社めごこは、「心と体の健康を支える」をテーマに、食育や体験教育を通じて子どもの未来を守る活動を展開しています。
同社は2013年、育休中の母親たちが集まり、卵・乳不使用のマクロビオティックパン教室としてスタート。現在では子ども料理教室や農業体験の提供をはじめ、自治体や地域団体との連携による講座運営など、多方面で活躍しています。
2023年には法人化し、全ての子どもたちに食育の機会を届ける取り組みを本格化させています。
代表の経験から、「今」を幸せに生きるための心と体の健康の重要性を痛感し、生産者と消費者を結びつけることで豊かな食文化を守ることを目指しています。
具体的な取り組み内容
同社の活動は、SDGsのゴール(目標2: 飢餓をゼロに、目標3: すべての人に健康と福祉を、目標4: 質の高い教育をみんなに、目標12: つくる責任つかう責任、目標17: パートナーシップで目標を達成しよう)に直結しており、地域と地球規模の課題解決を同時に追求しています。
事業内容は大きく下記の通りです。
- 子どもの強みを伸ばす教育事業
- 茨城県産規格外野菜の活用
- 子ども食堂イベントの企画・運営
特に注目すべき取り組みが、キッチンカー事業者と連携した全く新しいスタイルの子ども食堂です。
プロのキッチンカー事業者が提供する美味しい食事と、子どもが楽しめるワークショップを組み合わせ、「楽しくて行きたくなる子ども食堂」を目指しています。
この取り組みは、食事提供だけでなく、子どもたちが新しい体験を通じて将来の選択肢を広げる場となっています。
また、マンスリーサポート(1万円で20名の子どもに食事を提供可能)や単発支援(一口1万円)を通じ、多くの方の協力を得て活動を続けています。
株式会社めごこの基本情報
名称 | 株式会社めごこ |
住所 | 〒300-2657 茨城県つくば市香取台 |
URL | https://www.megoco.jp/ |
国立大学法人 筑波大学体育スポーツ局
筑波大学は2023年4月、体育・スポーツに関する活動を一元化した組織「体育スポーツ局」を設立しました。
この組織は、「学校でスポーツを行うことの意味と責任」を明確化し、ガバナンスの強化、安全対策、人材育成、さらには学校スポーツを教材化する取り組みを通じて、日本社会全体における学校スポーツの発展を目指しています。
筑波大学は国立総合大学として、日本で唯一「体育・スポーツ」の学群を持ち、教育、医学、情報、芸術などの幅広い分野の知識を融合させ、「学校スポーツの未来」を構築する使命を担っています。
その中で、アスレチックデパートメントは、大学スポーツの振興を掲げた政府の「日本再興戦略2016」を受け、全国の学校に先駆けた新しいモデルの実現に取り組んでいます。
「最高の学校スポーツプログラムを創り上げ、日本社会の未来に貢献する」。この目標のため、以下の具体的な活動を実施しています。
具体的な取り組み内容
・国際交流を目的としたサッカー教室
市内の小学生を対象に、異文化交流を促進するサッカー教室を開催。
・トップアスリートによるスポーツ教室
筑波大学の学生アスリートが、小中学生向けにスポーツ教室を提供し、技術だけでなくスポーツを通じた成長をサポートしています。
・部活動のデジタルトランスフォーメーション(DX)
ソフトバンク株式会社との連携により、「AIスマートコーチ」アプリを無料提供。ICT技術を活用した部活動改革を進めています。
・ホームゲーム「TSUKUBA LIVE!」の実施
体育スポーツ局が主催するスポーツイベント「TSUKUBA LIVE!」は、6つの競技で計7回実施され、スポーツを通じた交流と文化創出を目指しています。
サステナビリティ配慮:
スポーツウェア交換、エコステーション設置、フードドライブを実施。
飲食ブースの工夫:
ベジタリアン対応メニューやマイボトルリフィルの導入、バガスカトラリー(サトウキビの絞りかすを再利用した食器)の活用を推進しています。
筑波大学体育スポーツ局の取り組みは、スポーツの振興にとどまらず、教育、環境、文化など幅広い分野への貢献を目指し、地域と地球規模の課題解決に向けたSDGs達成の一端を担っています。
国立大学法人 筑波大学体育スポーツ局の基本情報
名称 | 国立大学法人 筑波大学体育スポーツ局 |
住所 | 茨城県つくば市天王台1-1-1 GSI棟201 |
URL | https://www.tsukubaowls.com/ |
まとめ
今回は、つくばSDGsパートナーズを紹介しました。
つくば市が目指す「社会・経済・環境が調和した持続可能なまちづくり」を実現するため、企業や個人、市民団体が連携し、共に行動する仕組みが整っています。
株式会社めごこが行う食育や貧困問題への取り組みなど、地域に根ざした多彩な活動がSDGs達成に貢献しています。
これらの取り組みは、地域全体でより良い未来を築いていくための大きな力となるでしょう。