オーストラリアは、総人口の約半数が移民で構成されている多民族国家です。
手軽に多国籍料理や文化を楽しめるオーストラリアには、創業から20年以上にわたって愛される本格派ジェラートショップ・Gelato Messinaがあります。
質の高いジェラートに定評があるGelato Messinaですが、環境に配慮したサスティナブルなビジネス経営を行っていることでも有名です。
この記事では、Gelato Messinaが取り組むエコ活動の詳細について、歴史、店舗、商品に関する基本情報を交えながら解説していきます。
目次
Gelato Messinaの歴史
Gelato Messinaは、2002年にオーストラリアのニューサウスウェールズ州ダーリングハーストで設立されました。
企業名のMessinaという名称は、創業者のNick Palumbo氏が8歳の頃に祖父に連れられて訪れたシチリア島メッシーナの地名に由来しています。
幼少期に本場イタリアのジェラート文化に触れたことがきっかけで、Nick Palumbo氏はオーストラリア国内にも本格的なジェラートショップを開きたいと考えました。
その後、料理人としてのバックグラウンドがあるDonato Toce氏、ブランディング及びマーケティング知識が豊富なDeclan Lee氏、Nick Palumbo氏と兄弟であり本業は大工のDanny Palumbo氏と手を組み、環境、経済、社会的にサスティナブルなジェラートショップ・Gelato Messinaを成長させました。
Gelato Messinaの店舗
2023年4月時点において、Gelato Messinaはオーストラリア国内に30もの店舗を構えています。
最も店舗数が多いのはシドニーがあるニューサウスウェールズ州の19店舗で、次いでビクトリア州に4店舗、クイーンズランド州に3店舗、オーストラリア首都特別地域に2店舗です。
また、オーストラリア国外にも店舗があり、香港に2店舗が展開されています。
Gelato Messinaの商品展開
Gelato Messinaのメイン商品は、ジェラートとシャーベットです。
バニラ、チョコレート、ストロベリー、ピスタチオといった定番商品はもちろん、Gelato Messinaが作ったオリジナルフレーバーも数多く販売されています。
1週間限定で提供される5種類のウィークリースペシャルもあり、利用客が常に違った味を楽しめるように工夫が施されています。
また、シェイクやジェラートケーキも複数取り揃えているほか、店舗によってはチョコレートや瓶詰のペーストなども購入可能です。
保冷バッグ、靴下、リップバーム、ボディケア製品、Tシャツといった食べ物以外のグッズ展開もしており、スーパーでは小売店専用の箱入りジェラートも発売中です。
Gelato Messinaが取り組むエコ活動
本場イタリアの味が楽しめるGelato Messinaは、環境保護に繋がる取り組みも行っています。
ここでは、食品ロス・温室効果ガスが排出量の削減、コンポスト化、リサイクル、森林保全など、Gelato Messinaが多方面から実施するエコ活動に注目してみましょう。
①国内での農業・酪農生産
Gelato Messinaは、ジェラート作りに必要な農産物をオーストラリア国内で生産しています。
ビクトリア州のシーモアにヘーゼルナッツ農場を所有しており、ニューサウスウェールズ州デュラルでイチゴの栽培、オーストラリア北部のマンブルーにてマンゴーの収穫を行っています。
オーストラリア国内で原材料を生産することにより、輸送に伴う温室効果ガスの排出削減に貢献しているのです。
Gelato Messinaは、以前はイタリアからヘーゼルナッツを輸入していました。
しかし、環境に優しいサスティナブルなジェラート作りを目指すため、特に消費量が多い農作物は国内での生産・栽培に切り替えています。
酪農に関しても同様に、Gelato Messinaはビクトリア州ヌムルカに自社の酪農場を所有しています。
国外からの輸入と比べて大幅に温室効果ガスの排出を抑えられるのはもちろん、乳牛の飼育環境や搾乳頻度などにも配慮することで、乳牛にとってストレスの少ない環境づくりを実現しているのです。
②コンポスト化可能な素材を採用
Gelato Messinaでは、一般的なアイスクリーム・ジェラートショップと同様にカップかコーンを選べる仕組みになっています。
しかし、丸ごと食べられるコーンと違い、カップには容器とスプーンのゴミが出てしまうという問題がありました。
そこでGelato Messinaでは、コンポスト化可能な紙素材のカップと木製の使い捨てスプーンを提供しています。
以前はプラスチック製のスプーンを使っていたものの、マイクロプラスチック問題などが世間に広がったことを受けて、数年前から木製スプーンのみの取り扱いとなっています。
ジェラートを食べ終わった後に自宅でコンポスト化できるので、植物の育成に貢献できる点もポイントです。
③食品ロスの削減
Gelato Messinaは、食品ロスの削減に努めている企業です。
数多くのフレーバーを取り扱っているGelato Messinaでは、時に売れ行きが伸び悩むフレーバーも存在します。
特に、新発売のフレーバーやウィークリースペシャルのフレーバーは、必ずしもマーケティング戦略通りに売れるとは限りません。
そこでGelato Messinaでは、余った在庫をチャリティーパートナーに寄付するという対策を取っています。
安易に食品を処分してしまうのではなく、消費可能な団体やイベントに引き渡すことで、無駄な食品ロスの発生を回避しているのです。
また、Gelato Messinaの各店舗にはマイナス20度の温度を保つ大型冷蔵庫が設置されています。
未使用のジェラートであれば新フレーバーの開発・研究などにも役立てられるため、店舗内で一時的に保管して有効活用することもあります。
④持ち帰り容器のリサイクル化
Gelato Messinaでは、ジェラートを持ち帰りたい利用客のためにテイクアウト用の容器を提供しています。
500ml、1L、1.5Lの3種類のサイズがあり、容器の素材は発泡スチロールです。
発泡スチロール製の容器は、ジェラートを食べた後に店舗に返却できるシステムが採用されています。
容器を水で綺麗に洗うことが条件となりますが、購入店舗以外の店でも引き取ってもらえる点が特徴です。
回収された発泡スチロール製の容器は、Gelato Messinaの店舗内で再利用されるほか、Gelato Messinaから仕入れ業者などに引き渡すことで、オモチャ、化粧品のパッケージ、冷蔵庫のトレイなどを作る形成素材として役立てられます。
⑤山火事へのチャリティーイベント
オーストラリア国内で大規模森林火災が発生した際、Gelato Messinaは関連団体への寄付を行いました。
そして、それとは別にGelato Messinaのアプリから参加できる一般市民向けのチャリティーイベントも開催しました。
アプリ経由で10ドル以上の寄付をすると、抽選の当選者にGelato Messinaのバースデーケーキとジェラート1年分(366杯分)をプレゼントするという内容です。
さらに、集まった寄付金が予定よりも多い場合は当選者の人数枠も増加する仕組みになっており、森林や野生動物保護に関心がある人々から多くの寄付金が集まりました。
自社で寄付を行うのはもちろん、チャリティーイベントとして山火事の復興支援をすることで、一般市民にもエコ活動に貢献するチャンスを与えているのです。
まとめ
Gelato Messinaは、オーストラリア発のサスティナブルなジェラートショップです。
国内での農業・酪農生産を実現することで、温室効果ガスが排出量の削減に成功しています。
また、食品ロス、リサイクル、森林保全といった環境問題にも向き合っており、一般市民が協力できるエコ活動を行っているのも特徴です。
単なるジェラートショッププラスアルファの活動を行うことにより、多方面から環境問題への解決に取り組んでいます。
オーストラリアを訪れる際は、食材の質も環境保全の意識も高いGelato Messinaでサスティナブルなデザートを堪能してみてはいかがでしょう?