#SDGsに取り組む

ホンダが目指すSDGsビジョンの取り組み|~夢を実現する「喜び」の力~

世界がカーボンニュートラルの実現に向けて大きく動く中、日本の自動車産業も大きな変革期を迎えています。日本を代表するモビリティブランドの一つであるホンダは、創業時から人間尊重と、買う喜び・売る喜び・創る喜びを基本理念に掲げています。

SDGsが誓う「誰一人取り残さない」という大目標とホンダの活動指針は合致する部分が多く、ホンダのSDGsの取り組みも多岐にわたります。

ここでは、ホンダのビジョンである「喜び」とそれに基づく事業内容、SDGsの取り組みをご紹介します。それではホンダのSDGsへの考え方と実際の事例を一緒に見ていきましょう。

「ホンダ」のビジョン・事業内容

企業名ホンダ
SDGs1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17
サステナビリティレポート

ビジョン

「すべての人に、「生活の可能性が拡がる喜び」を提供する ー 世界中の一人ひとりの「移動」と「暮らし」の進化をリードする ー」

これがホンダが掲げた2030年ビジョンです。日本を代表するブランドのひとつであるホンダは、「量」から「質」へと大きく舵をきりました。「The Power of Dreams」のブランドスローガンのもと、「提供価値の質」と「取り組みの質」を徹底して追求することで、人々に喜びの輪を広げ、「存在を期待される企業」としてチャレンジを続けています。

事業内容

ホンダの主な事業内容は、「二輪事業」「四輪事業」「パワープロダクツ事業」「航空機事業および航空機エンジン事業」の4つに分けられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

二輪事業

ホンダの事業の原点ともいえる二輪事業は、これまで累計4億台以上が利用者の手に渡っています。環境問題への対策にも積極的に取り組み、電動二輪車や屋根付き電動三輪スクーターなどのラインナップを充実させるなど、世界の期待に応えながら、国や地域に根付いたものづくりを実践しています。

四輪事業

「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指し、ハイブリッド車やEV(電気自動車)の適用拡大を進めています。さらに、交通事故死者ゼロを目指す取り組みとして、全方位安全運転システム「Honda SENSING 360」を2030年までに先進国で販売するすべてのモデルへの展開を目指しています。利用者の安全とストレスフリーな行動を支援する商品・サービスの提供に努めています。

パワープロダクツ事業

汎用エンジンを搭載した各種作業用商品を提供しています。歩行芝刈り機やロボット草刈り機などで使われている汎用エンジン「GXシリーズ」は、高い環境性能や静粛性をあわせ持ち、利用者から高い支持を得ています。

航空機事業および航空機エンジン事業

ホンダ独自の斬新な設計が特徴のHondaJetは、100%自社設計の高効率ターボファンエンジンを搭載し、高い技術力で運用性能を拡大し続けることで常に進化を続けています。2017年から5年連続で超小型ビジネスジェット機カテゴリーにおいてデリバリー数1位になるなど、高い評価と実績があります。

ホンダのSGDsの取り組み|~夢を実現する「喜び」の力~

ホンダは、モビリティカンパニーとして優先的に取り組む事項を可視化し、「最重要課題」と「重要課題」として課題を整理しました。以下、順番に見ていきましょう。

最重要課題

気候変動・エネルギー問題への対応

カーボンニュートラルの実現に向けて、日本の自動車産業は大きく変わりつつあります。ホンダは、「2050年にHondaの関わるすべての製品と企業活動を通じて、カーボンニュートラルをめざすこと」を公表しました。電動製品の販売比率を上げるとともに、製品使用時のCO2排出量を46%削減すると目標を定めています。電動化技術「Honda e:Technology」の強化と再生可能エネルギーの活用を組み合わせることで、徹底し環境にやさしいものづくりを推進しています。

電動化の推進

2030年の電動製品の販売比率を、二輪車は15%、四輪車は30%、パワープロダクツは36%と掲げ、製品の電動化を積極的に推進。特に四輪車はEV(電気自動車)とFCV(燃料電池自動車)の全世界での販売比率を2040年までに100%を目指しています。

2030年以降、中国におけるすべての四輪車販売を電気自動車とすることも発表しており、商品の販売だけでなく、生産やバッテリー供給体制まで総合的に整える取り組みを進めています。

クリーンな大気の保全

二輪車においては全世界で販売する機種の80%以上に燃焼効率を向上させるエンジン装置を設置し、排出ガスのクリーン化に努めてきました。パワープロダクツ部門ではすでに排出ガス規制の対応を完了しています。四輪車でも生産段階から有機化合物の排出を削減する技術を取り入れるなど、環境性能の高い製品をリーズナブルな価格で消費者に提供することで、大気汚染問題へアプローチしています。

資源の効率利用

2021年4月に「サステナブルマテリアル使用率100%」を宣言し、環境負荷ゼロの持続可能な資源を使用した製品開発に挑戦しています。開発から資源調達、製造、販売、製品使用、使用済み製品の回収・廃棄まですべての段階で「3R事前評価システム」を指標にして3R性(リデュース・リユース・リサイクル)を評価しています。四輪車の廃棄では法令で定められた再資源化率を達成、二輪車でも2013年からリサイクル率95%を達成し続けています。

交通事故死者数の大幅削減

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の達成に向けて、グローバル安全スローガン「Safety for Everyone」を掲げました。運転支援の技術向上と交通安全教育の双方向から、交通事故ゼロ社会を目指します。

モビリティデバイドの解消

2030年ビジョンでも掲げているとおり、ホンダは一人ひとりの「移動」と「暮らし」をより豊かにすることを使命にしています。身体の不自由な方々へ福祉車両を提供することで社会参画への格差を少なくし、持続可能な移動手段の選択肢をすべての人に届けていきます。

重要課題

水資源の保全

水は事業を支える必要不可欠な資源の一つのため、事業活動による排水処理や処理水の放流でも影響を与えないよう徹底的に水質や取水量を管理しています。各国で水のリサイクルシステムの導入を進めており、製造拠点における全使用量の15%をリサイクル水にするなど、グローバルな取り組みを展開しています。

サプライチェーン全体へのサスティナビリティ活動の展開

物流領域と購買領域でサスティナビリティを強化しています。物流における環境負荷低減に向けた取り組みとして、「コンテナ輸送の効率化」を進めています。部門と地域を超えた一元管理体制のもと、鉄道や船舶を利用した低炭素輸送、空コンテナの輸送を削減する高効率輸送など、クリーン&スマートな物流を構築しています。

購買においては、「Hondaサプライヤーサステナビリティガイドライン」「Hondaグリーン購買ガイドライン」を発行し、環境負荷低減とコンプライアンス問題の未然防止に努めています。サプライヤー各社と協働してカーボンユートラルを実現するため、「CDPサプライチェーンプログラム」にも参加しています。

※CDPサプライチェーンプログラムとは…取引先に対して 温室効果ガス 排出量や環境に対するリスクと機会の開示を求めるもの

達成状況を共有し、PDCAサイクルを回すことでサプライヤー全体のCO2低減活動に役立てています。

引用元:ホンダ サスティナビリティレポート

人権の尊重

ホンダは企業の基本姿勢として人間尊重を掲げ、誠実で公平な企業であり続けることを明確に打ち出しています。SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」目標8「働きがいも経済成長も」目標16「平和と公正をすべての人に」はホンダの思想と合致し、創業から重視している概念です。

経営資源の有効活用

ホンダが目指す姿「存在を期待される企業」であり続けるために、既存事業の価値転換・進化と新たな価値の創出を目指しています。

ガバナンスの強化

持続的な成長と企業価値の向上のため、コーポレートガバナンスの充実に取り組んでいます。

多様性の拡大と人材の育成

多様性の拡大、進化はホンダが重点課題として位置づけています。ダイバーシティ推進における外部評価も高く、女性活躍推進からLGBTへの理解と受容、障がい者雇用、人材育成・最適配置など幅広い取り組みにより、現在までに以下を認定・受賞しています。

引用元:ホンダ サスティナビリティレポート

労働安全衛生の確保

「安全なくして生産なし」の安全基本理念のもと、「すべての人が、心から安心して働くことができる」職場環境の醸造に努めています。従業員の心身とメンタルの健康にも配慮し、「健康経営有料法人2022」「スポーツエールカンパニー2022」に認定されました。

生物多様性の保全

ホンダは、1960年代から植林活動や工業用水を循環利用するなど、早くから生物多様性の保全につながる活動に力を入れています。生物多様性を損なう最大の要因を温室効果ガスと汚染物質の排出であると考え、企業活動との調和を取り組み課題として定めています。

引用元:ホンダ サスティナビリティレポート

温室工ガスの算定基準に従って算定した結果によると、2018年時と比べて確実に低減しています。

化学物質の適切な管理と汚染防止

環境に悪影響を及ぼすとされている重金属の4種類(鉛、水銀、六価クロム、カドミウム)の削減を進めています。日本国内の四輪車では、水銀を使用しないコンビネーションメーターを取り入れたりと、自主的な水銀廃止を推進。ホンダは、開発段階からの低炭素化や資源循環を提案しています。

開発途上国の経済発展への貢献

ホンダは、2030年ビジョンを達成するため「喜びの創造」「喜びの拡大」「喜びを次世代へ」という3つを支点に定めました。貧困や差別などの社会的格差を改善するため、ホンダはより効率の良い移動手段を提供することに注力しています。カーボンフリー社会と交通事故ゼロ社会を実現することで、世界中の一人ひとりに生活の利便性向上と豊かな喜びの輪を広げることを目指しています。

社会貢献活動

地域に根ざした存在であることを大切にしているホンダ。社会貢献活動として「地球環境を守る活動」「未来を創る子どもの育成支援活動」「交通安全の教育・普及活動」「地域に根ざした活動」の4つを柱にして、地域とのつながりを大切にした活動も推進しています。

日本だけでなく、北米、南米、アフリカ・中東など世界各地でそれぞれの地域の実情に合わせた活動をグローバルに展開。ビーチクリーン活動や交通安全普及活動、障がい者スポーツ活動支援など、地域のニーズに応じて幅広い活動を実践しています。それらの活動を通じて人々と喜びを分かち合うことで、「夢のある明日の社会づくり」を目指します。

まとめ

環境問題が大きく叫ばれ、日本の自動車産業は大きな変革を求められています。ホンダは、時代のニーズを先取りし、環境と人にやさしいものづくりをすることで地球課題の解決に寄与しようと考えています。

そこには、ホンダが創業から大切にしている「喜び」の精神が根ざしており、「人や社会の役に立つこと」「人々の生活の可能性を広げること」という想いが企業活動の根幹を支えています。これからもホンダは、環境負荷ゼロを目指し、世界の期待に応え続ける事業展開を推進していきます。

参考:https://www.honda.co.jp/philanthropy/sdgs/