#17の目標

SDGs10「人や国の不平等をなくそう」の世界や日本の現状は?所得やジェンダーによる格差

SDGs10「人や国の不平等をなくそう」日本や世界の現状

SDGs10は人や国の不平等をなくすことを目的としています。

現在世の中にはどのような「不平等」があるのでしょうか。

例えば、貧富の差が挙げられます。
国際NGO「オックスファム」は、世界の最も裕福な26人が世界の所得が低い38億人と同等の資産を持っていると発表しました。

貧富の格差は未だ著しく改善の余地があるといえるでしょう。

そのほかにも、人種や性別などキリがないほど格差の問題は世界や日本に溢れています。
SDGs10はそのような格差をなくし、平等な社会を作ることを目指しています。

ここでは、SDGs10「人や国の不平等をなくそう」を達成するために、世界や日本の格差の現状について再確認していきましょう。

SDGs10「人や国の不平等をなくそう」とは?簡単に確認

人や国の格差の日本や世界の現状を確認する前に、簡単にSDGs10「人や国の不平等をなくそう」についておさらいしてみましょう。

SDGs10の目標「人や国の不平等をなくそう」とは、言葉の通り国と国の間の不平等国の中での不平等をなくすことを目指しています!

具体的には、先進国と開発途上国の双方で貧富の差、性別や人種、伝統的慣習による偏見や差別をなくす必要があります。

SDGs10のターゲット

目標10のターゲットは、1〜7の達成目標とa〜cの実現方法で構成されています。

詳しく見ていきましょう。

 ターゲット
10.12030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。
10.22030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。
10.3差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。
10.4税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。
10.5世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。
10.6地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。
10.7計画に基づき良く管理された移民政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。
10.a世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。
10.b各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する。
10.c2030年までに、移住労働者による送金コストを3%未満に引き下げ、コストが5%を越える送金経路を撤廃する。

目標10のターゲットは、目に見える格差解消だけでなく、すべての人が社会や経済の場に参加できること、社会的に不利な立場に置かれた人を守る政策を推進しています。

ではSDGs10の達成はなぜ目指されているのでしょうか。

世界や日本の現状を確認して、考えてみましょう。

SDGs10達成のために世界の格差の現状と課題を知ろう

最も裕福な10%の人々が世界の40%の所得を得ています。世界全体の半分近くの所得が世界人口75億5,000万人のうちの8億人のものとなっているのです。

目標10は国と国の間に立ちはだかる不平等と、1つの国の中で生じる不平等をなくすことを目指しています。

経済のグローバル化が加速するにつれ先進国と開発途上国の間で経済格差が生まれ、貧富の差が拡大しているため、地球規模での取り組みが必要なのです。

ジニ係数

世界の所得分配における不平等さを知る上で知っておきたいのが「ジニ係数」です。

ジニ係数とは、社会での所得分配の不平等さを数値化したもので、イギリス統計学者コッラド・時にによって考えられた指標です。

ジニ係数の指標
  • 0は対象となる集団すべての人々の所得が均一
  • 0に近いほど格差が小さい
  • 1に近いほど格差が大きい
  • 1はその社会のたった一人がすべての所得を独占している状態

ジニ係数の特徴は手元にデータさえあれば簡単に格差度合いを示すことができという点です。

OECDが公表しているデータ(※6)によると数値がもっとも大きい、すなわち不平等さが強い国は

  1. 南アフリカ(0.62)
  2. コスタリカ(0.48)
  3. メキシコ(0.458)

日本は14位で0.339です。

ジニ係数が0.4以上は格差への不満が高まり、社会が不安定になる警戒ラインです。

0.6以上は暴動がいつ起きてもおかしくない状態で、南アフリカはかなり危険な状態と言えるでしょう。

ジェンダーギャップ

世界経済フォーラム(※7)によるジェンダーギャップ指数2021が発表されました。

ジェンダーギャップ指数は、経済、政治、教育、健康の4つの分野のデータから作られ、

  • 0に近いほど完全不平等
  • 1に近いほど完全平等

を示し、日本は経済および政治の分野で順位が低く世界各国がジェンダー平等に向かっている中で日本は遅れを取っています。

ジェンダーにもとづく不平等による、雇用・賃金格差・偏見なども問題点です。

2020年に起きた世界的なパンデミックは男女間での不平等さが浮き彫りとなりました。

突然の不況で解雇された女性や子育て世代の女性に関しては、休業したり、子どもの休園・休校に伴い男性よりも就業時間を大幅に減らしたりしていることが報告されました。

こうした女性の経済的危機をShe-cessionと呼びます。

またジェンダーギャップは賃金格差にも表れています。

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」のグラフを見ると2019年の格差は74.3%と依然として大きいことがわかります。(※8)

社会において男性が優遇される理由

男女共同参画局では、社会において男性が優遇される傾向にある理由を世界各国で調査しました。(※9)

  • 男女の役割分担についての社会通念・慣習・しきたりなどが根強いから
  • 育児、介護などを男女が共に担うための制度やサービスなどが整備されていないから
  • 男女の平等について、男性の問題意識がうすいから
  • 能力を発揮している女性を適正に評価する仕組みが欠けている
  • 男女の差別を人権の問題としてとらえる意識が薄いから
  • 専業主婦に有利な税制や社会保障制度などが男女の役割分担を助長しているから

日本の格差の現状と課題

続いて、日本の格差の現状と課題について見ていきましょう!

ジニ係数から見る格差

ジニ係数の推移
引用元:厚生労働省

日本の格差の現状は、ジニ係数がひとつの指標となっています。前述の通り0に近いほど完全な所得の平等1に近いほど一部の世帯が所得を独占している不平等な状態を指します。

日本ではジニ係数が2種類、「当初所得」と「再分配所得」があります。

当初所得

所得税や社会保険料を支払う前の雇用者所得

再分配所得

当初所得から差し引き公的年金などの現金給付や医療や介護などの現物給付を加えたもの

厚生労働省によると2017年に行われた日本のジニ係数は

  • 当初所得ジニ係数 0.5594
  • 再分配所得ジニ係数 0.3721

という結果になりました。

当初所得ジニ係数は0.5を超えていることがわかりますね。

日本では一部の富裕層に所得が集まることを示します。

所得の格差に加え、日本では貧困層の現状においても知る必要があります。

日本では相対的貧困が問題となっている

日本で貧困?と少し驚かれた方もいるかもしれませんが、実は高齢者層とひとり親世帯に増加しています。

世界の1人親家庭の相対的貧困率
引用元:nippon.com

キャロライン・ケネディ元駐日米大使は2014年に日本の現状を「日本は仕事をしても貧困率が下がらない唯一の国」と述べました。

OECDのデータから分かるように、世界のひとり親家庭の相対的貧困率は50.8%、ワーストです。

なぜこのようなことが起こるのかというと、それは日本独特の賃金体系にあります。

日本の賃金構造(時間当たり賃金)
  • 10(男性正社員)
  • 8(女性正社員)
  • 6(男性非正規)
  • 4(女性非正規)

成人男性の賃金を10とした場合、非正規雇用で働く女性は4割程度、昭和の高度成長期にできたモデルが今も続いているのです。

一方でデンマークやフィンランドをみると、相対的貧困率は低くなっています。

この違いは、同一労働同一賃金制度です。

欧州では、同じ仕事内容なら性別関係なく時間あたりの賃金格差がないというのが一般的です。賃金に違いが出てくるといえば労働時間の長短によるものです。

正規雇用と非正規雇用によって格差が生まれている

日本ではどうでしょうか。

日本では同一労働同一賃金法が2020年4月から適用されましたが、正規雇用と非正規雇用という区分があるがために格差は消えずにいます。(※10)

法があるからといって、雇用形態によって分けられているため、完全に格差がゼロとなったわけではないようです。

各国で憲法により、人権の村長や法の下の平等が説かれているのにもかかわらず、実際には差別や偏見が招く格差が解消されないのは、声をあげる機会がないケース個人が不平等に気がついていないケースがあるのです。

目標10の解決は、他の目標のゴールである貧困や飢餓、児童労働などの社会問題解消などの大きなステップとなります。

では、SDGs全体をゴールにつなげるために、目標10にはどのような解決策があるのかというお話に移っていきましょう。

まとめ

この記事ではSDGs10「人や国の不平等をなくそう」の現状について確認しました。
人種やジェンダーなどで世界にはまだまだ多くの格差があります。


格差をなくしていくために、世界や日本の企業は様々な取り組みを行っています。

「世界の格差をなくす」と聞くと、難しく感じますが、寄付やボランティアなど私たちにできることも多くあります。

もっと詳しくSDGs10「人や国の不平等をなくそう」について知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

sdgs10 SDGs10「人や国の不平等をなくそう」の問題や解決策を徹底解説

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