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アサヒビール株式会社が目指すSDGsビジョン|「最高の明日」を未来につなぐ

アサヒビールのSDGsの取り組み

アサヒビール株式会社(以下、アサヒビール)はビールを始め、ワイン、焼酎などのアルコール飲料を製造・販売している飲料メーカーです。主力商品「アサヒスーパードライ」に馴染み深い方も多いことでしょう。

このページではアサヒビールの事業内容、SDGs実現に向けた経営戦略や活動内容をご紹介していきます。

「飲む人はもちろん、飲まない人や飲めない人も楽しめる、健全な酒類文化を育んでいくこと」

「自然の恵みに感謝し、限りある資源を大切にするとともに、新たな環境価値の創造に挑戦していくこと」

https://www.asahibeer.co.jp/sustainability/

企業理念「最高の明日をつくる」は今、SDGsに向けて進化しました。その取り組みをのぞいてみましょう。

アサヒビール株式会社のビジョン・事業内容

画像引用:https://www.asahibeer.co.jp/sustainability/
企業名アサヒビール株式会社
SDGs目標:7.12.13.17
サステナビリティレポート

事業内容

アサヒビール株式会社(以下、アサヒビール)は1889年の創業以来、ビール類をはじめとする酒類を製造・販売しています。

看板商品の「アサヒスーパードライ」はビールに「辛口」という新たな価値をもたらし、1987年の発売以降、現在50以上の国と地域で愛されています。ニッカウヰスキー(株)やエノテカ(株)などグループ会社各社と力を合わせ、洋酒、RTD、ワイン、焼酎、アルコールテイスト飲料など、幅広い商品ラインアップを誇ります。

2020年に発表した「スマートドリンキング」宣言に基づき、飲む人も飲まない人も、お互いが尊重し合える社会の実現に取り組んでいます。

これまでの画一・一律的なお酒の楽しみ方にとらわれず、自由・多様なお酒の楽しみ方を提案し、商品やサービスの開発、環境づくりを推進中です。

ビジョン

「すべてのお客さまに、最高の明日を」

このアサヒビールのビジョンには、「うまい!プラスアルファの価値」を生み出し、すべてのお客さまの幸せな人生に貢献したい。日本だけでなく、世界をより良いものにしていきたい。そんな想いが込められています。

アサヒビール SDGsの取り組み「Cheer the Future〜未来への約束」

アサヒグループはサステナビリティと経営の統合を実現するため、2021年に未来への約束「Cheer the Future」を設定しました。「かけがえのない未来を元気にする」という強い想いが込められています。

その背景にある理由や行動指針、行動内容を4つのストーリーにまとめ、「サステナビリティ・ストーリー Cheer the Future」として社内外に発表しました。

ここでは4つのサステナビリティ・ストーリーの内容を紹介します。

ストーリー1:「未来に引き継いでいく私たちの価値」

「私たちは世界各地で100年以上にわたり、自然の恵みと自然の力によって、期待を超える美味しさを生み出してきた」

「商品が人と人をつなげてコミュニティを醸成し、楽しい生活文化を築くことに貢献してきたことは私たちの誇りである。そして、これは未来に引き継ぐ価値だと信じている」

ストーリー2:未来に向けて変革していくこと

「私たちのビジネスが環境や社会全体に及ぼす潜在的価値を、私たちは認識し、管理する必要がある」

「この課題に真摯に向き合い、経営の根幹にサステナビリティを置き、環境や社会にプラスの価値を生みながら、事業の持続的な成長へと変革する」

ストーリー3:変革のため取り組むこと

私たちはステークホルダーと共にアイデアや技術を出し合い、以下の一つひとつの実現に向けて推進していく」

  • 脱炭素・水資源の有効活用などによる、持続可能な生態系と循環型社会の実現
  • 人と地域のつながりによるコミュニティづくり
  • アルコール起因の害が発生しない、飲用機会の創造や社会の仕組みづくり

ストーリー4:未来への宣言

「私たちは自然・コミュニティ・社会とのより良いつながりを実現する」

「私たちは『期待を超えるおいしさ、楽しい生活文化の創造』に貢献し続けることで、かけがえのない未来を元気にしていく」

「より良い未来づくりに向かう我々の意思をCheer the Futureという言葉に込め、様々なアクションにつなげていく」

参考:https://www.asahigroup-holdings.com/ir/pdf/annual/2021_all.pdf

アサヒビールのSDGsの取り組み〜5つの課題〜

アサヒビールは5つの課題へのアクションを通して、SDGsの達成とより豊かな社会の実現を後押ししています。

最高の明日をつくる5つの課題&アクション

・アクション1:責任ある飲酒
・アクション2:環境
・アクション3:食の安全・安心(健康)
・アクション4:コミュニティ
・アクション5:人

アクション1:責任ある飲酒

アサヒビールは、お酒を飲む人はもちろん、飲まない人・飲めない人も楽しめる健全な酒類文化を育みます。

お酒は日々の暮らしに喜びと潤いをもたらす一方で、不適切な飲酒によって、個人や家庭、社会にさまざまな問題を起こすこともあることもあります。そんな不適切な飲酒の撲滅と、新しい飲用機会の創出に取り組んでいます。

※この取り組みはSDGs目標3「全ての人に健康と福祉を」に関連しています。

トピックス(1) スマートドリンキングの提唱

アサヒビールが提唱する「スマートドリンキング」は、様々な人々の状況や場面における“飲み方”の選択肢を拡大し、多様性を受容できる社会を実現するため、商品やサービスの開発、環境づくりを推進するものです。

お酒を飲む・飲まない、飲める・飲めない、飲みたい時・飲めない時、あえて飲まない時。

消費者が様々なシチュエーションで、自身に適したアルコール商品を選択しやすいよう、主な商品に含まれる純アルコール量(g)をホームページ上で開示するとともに、2021年7月から缶体への表記を順次開始しています。また2025年までに、アルコール度数3.5%以下のアルコール、及びノンアルコール商品の販売容量構成比を20%へ拡大を目指しています。

トピックス(2)ノンアルコール・低アルコール商品の開発

アサヒビールは、アルコール度数0.00%のアルコールテイスト飲料「アサヒドライゼロ」、アルコール度数0.5%の“微アルコール”ビールテイスト飲料「アサヒ ビアリー」などをの販売を通して、消費者が自分の体質や気分、シーンに合ったお酒の楽しみ方を提案しています。

トピックス(3)小学生向けに「20歳未満飲酒防止」を啓発

20歳未満飲酒防止の啓発活動の一環として、小学生向け啓発ツール『どうする?どうなる?お酒のこと』、WEBサイト「アサヒ夢学園」を展開しています。

「夢学園」は、飲酒問題やアルコールの影響を分かりやすく解説するWEBコンテンツで、クイズやロールプレイング紙芝居を通して、飲酒を誘われた際の対処法などを学べます。教科書の副教材として学校での啓発活動に活用でき、希望者に無償で配布しています。2009年には教材資料表彰で特別賞を受賞しました。

アクション2:環境

アサヒビールは自然の恵みに感謝し、環境を守りながら、地球に優しい価値づくりを目指しています。環境への負荷を低減していくとともに、強みを生かした新たな価値づくりに取り組んでいます。

※この取り組みは、SDGsの目標2「飢餓をゼロに」目標6番「安全な水とトイレを世界中に」目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」目標12「つくる責任 つかう責任」目標13「気候変動に具体的な対策を」目標14「海の豊かさを守ろう」に関連しています。

取り組み(1)グリーン電力の活用

2009年4月に食品業界で初めて、商品の製造にグリーン電力の活用を開始しました。

取り組み(2)再エネへの切り替え加速

2025年までに、国内全拠点での購入電力を再生可能エネルギーに切り替える取り組みを進めています。

取り組み(3)省エネルギー設備の導入

ビール工場にて、燃料であるガスの燃焼により発電を行うと同時に、燃焼排ガスを利用して蒸気をつくるコ・ジェネレーション設備を導入しています。

取り組み(4)CO2捕集設備による循環利用

ビール類の発酵工程で発生するCO2をタンクへ貯蔵し、びん、缶、樽詰め工程などに再利用するCO2捕集による循環利用に取り組んでいます。

取り組み(5)新たなクリーンエネルギーモデルの開発

茨城工場でバイオガスと燃料電池を用いた、新たなエネルギーモデル開発に取り組んでいます。

取り組み(6)他社とタッグを組んだ共同輸配送

物流における環境負荷の低減、および長距離トラック輸送の削減によるドライバー不足への対処を目的に、他社との共同物流に取り組んでいます。

アクション3:食の安全・安心(健康)

アサヒビールは、誰もが安心して口にでき、心の底から「うまい!」と思えるものづくりを目指しています。

※この取り組みはSDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」に関連しています。

アサヒグループ品質基本方針及び品質行動規程」に則り、食の安全を支える品質を確保し、お客さまの期待を上回るための取り組みに力を注いでいます。また、ものづくりの技術を未来へつなぐため、技能を高いレベルで有する技術者を認定・評価する制度を整え、次世代を担う従業員へ技術の伝承を図っています。

アサヒビールの品質管理へのこだわり
  • 徹底したチェックを行う新商品開発

  • 多種多様な検査を実施する原材料調達

  • 水の安全管理

  • 6つの品質管理ポイントを重視品質リスクのある製品を製造・出荷しないための「事故品ゼロ活動」

  • 独自の品質保証システム「太鼓判システム」

  • 放射線物質に関する品質保証体制

  • グループ全体の安全を支える製品保証センター

  • できたての品質を届けるために、全体の9割は工場から直接卸店さまへお届け

  • おいしい樽生ビールを楽しめるよう、飲食店を対象にした「アサヒ樽生クオリティセミナー」を実施

  • お客様相談室にて、お客さまの声をひとつひとつ確認し、分析を行い、当社の今後の取り組みに生かす

アクション4:コミュニティ

アサヒビールは事業活動を通じて培った知見や技術、ネットワークを活用した地域経済活性化に取り組んでおり、廃棄物の削減・有効活用、障がい者の多様な就労機会の創出などに取り組み、「ローカルSDGs」を推し進めています。

※この取り組みは、SDGsの目標2「飢餓をゼロに」、11「住み続けられるまちづくりを」、12「つくる責任 つかう責任」、17「パートナーシップで目標を達成しよう」に関連しています。

トピックス(1)廃棄される食材で、サステナブルクラフトビールを醸造

コーヒー豆やパンの耳を回収し、クラフトビール(酒税法上は発泡酒)を醸造して販売しています。原材料の回収・加工は知的障がい者施設に依頼することで雇用を創出し、グループ内のクラフトビール醸造所で製造し、直営の飲食店の一部で販売しています。

トピックス(2)被災した土地を活用して大麦を育てる「希望の大麦プロジェクト」

アサヒグループがこれまで培ってきた大麦(ビールや飲料などの原料)に関する知見を活かし、東日本大震災で被災した宮城県東松島市沿岸部の津波被災土地で大麦を栽培し、加工販売を行うことで、“なりわい”と“にぎわい”の創出を目指しています。収穫した大麦は、「クリアアサヒ」の期間限定商品などに使われているほか、アサヒグループのクラフトビール醸造所「隅田川ブルーイング」で、クラフトビール『希望の大麦エール』を醸造し、期間限定で提供しています。

トピックス(3)その地域でしか楽しめない商品の展開

アサヒビールは地域に根ざした活動を通じて、そこで暮らす人々が元気になる取り組みを進めています。福島県産米を用いた福島県限定の「アサヒスーパードライ」や、四国遍路の世界遺産登録を応援する四国限定の「アサヒスタイルフリー」、富良野産大麦を一部使った北海道限定の「クリアアサヒ」などを数量限定で発売しました。いずれも売上の一部を地域の活性化に役立てていただくため寄付しています。

トピックス(4)地域の特産物を使ったドリンクを共同開発

アサヒビールでは、業務用樽詰サワー「樽ハイ倶楽部」などを活用して、地域とオリジナルドリンクを開発し、地産地消や地域活性化を応援しています。

長崎県では、県産のミカンを使用した『長崎みかんチューハイ』をJA全農ながさきと共同開発。福岡県では県産のキウイを使用した『ふくおかキウイサワー』を福岡県とJA全農ふくれん、農林中央金庫と開発し、いずれも県内の飲食店に向けて、特産品の旬の時期に合わせて提案しています。

トピックス(5)「森のタンブラー」で地域のプラごみを削減

アサヒビールは、パナソニック(株)と共同開発したエコカップ「森のタンブラー」を活用し、地域と連携した環境負荷低減の取り組みに力を入れています。2021年4月から、熊本市内で開催されるスポーツの試合やイベントで「森のタンブラー」を販売しています。この取り組みは、熊本市と市内のスポーツチームなど4団体が連携し、それぞれの会場で使い捨てプラスチックカップの代わりに「森のタンブラー」を提案・販売するものです。熊本市内におけるプラスチックごみの削減を後押ししていきます。

トピックス(6)コロナ禍で消毒用エタノールを製造

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い不足していた消毒用エタノールの代替品として、ニッカウヰスキーが高濃度エタノール製品を製造し、東京都を通じて医療機関などへ寄贈しました。茨城県内においては木内酒造・キリンビール(株)と協力し、手指の消毒に使える高濃度エタノールを製造しています。工場内在庫で出荷が見込まれない飲食店向けのビールを原料として、木内酒造の八郷蒸溜所にて製造したもので、茨城県内の地方公共団体に寄贈しました。

アクション5:人

アサヒビールはお客さまと従業員をはじめ、「アサヒビールに関わるすべてのひとが、幸せだと思える瞬間」を大切にしています。対象はビジネスパートナー、株主、拠点エリアの地域社会で暮らす人々まで多岐にわたります。

国籍・人種・民族・宗教・思想・性別・年齢・障がい・性自認・性的指向・雇用形態などによる差別や、個人の尊厳を損なう行為を行わないこと。それらの遵守の上で事業活動を進めることを「アサヒグループ人権方針」に明示しています。また、多様な働き方を支援する制度を完備し、環境を整備しています。

※これらの取り組みは、SDGsの目標3「全ての人に健康と福祉を」、5「ジェンダー平等を実現しよう」、8「働きがいも経済成長も」、10「人や国の不平等をなくそう」に関連しています。

<働き方支援> 「働き方改革プロジェクト」

従業員がより柔軟に働くことができる環境を整えています。なんとプロジェクトオーナーは社長です。従業員それぞれの状況や要望に合った働き方を支援しています。

  • 自由に出社・退社時間を決められる「スーパーフレックスタイム制度」
  • 自宅で働ける「テレワーク制度」
  • 一度退職しても、再びアサヒビールで働ける「ウェルカムバック制度」
  • 自身のスキルアップや配偶者の海外転勤帯同の際に利用できる「スキルアップ休職制度」
  • 働く女性支援「ワーキングマザーネットワーキング会」
  • 満60歳の定年を迎えた社員には、豊富な経験や高度なスキル・技能を活かして働き続けられるよう、本人の希望と会社の必要性をマッチングした上で再雇用を実施

まとめ

アサヒビールは133年もの歴史のなか、一杯のビールに「最高の明日を」という理念と、人々の幸せを願う気持ちを込めてアルコール飲料を製造・販売してきました。

この幸せを願う気持ちは、非常に強力な力となり、今、SDGs実現に向けて力強く歩を進めています。

筆者はアサヒビールのSDGsの取組みを知って以来、アサヒビールの飲料を飲む際には、「この一杯で、環境保全に貢献できたかな」、「誰かが幸せになれたかな」なんて想像して、想いを馳せるようになりました。

企業活動を応援することで、私たちもSDGsに向けて動き出しましょう。

参考文献:アサヒビールのサステナビリティ|アサヒビール