日本電信電話株式会社(以下NTT)とは 、固定電話や移動電話、インターネット事業、電報業務などを行っている企業で、みなさんにもお馴染みだと思います。
NTTは、データ通信サービスだけではなく、ICTを活用した製品やサービスを通じて、あらゆる社会的課題の解決を図り、持続可能な社会の実現に貢献しています。
しかし近年、グローバル規模の社会的課題が深刻化しており、その解決に向けたグループ全体での取り組みがますます重要になってきています。
そこで、NTTグループは2016年9月に国連の「持続可能な開発目標:SDGs」に対する賛同を表明しました。
同時に、グループ各社ではSDGsの17の目標と自社の事業の関連づけを行い、目標達成に向けて取り組んでいます。
この記事では、NTTのビジョンと事業内容とともに、NTTを代表するSDGs達成に向けた活動を紹介します。
NTTのビジョンと事業内容
企業名 | 日本電信電話(NTT) |
SDGs | 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10.11.12.13.14.15.16.17 |
サステナビリティレポート |
NTTのビジョン
NTTは、あらゆる関係性のある人々や地域にとって、価値あるパートナーとして、ともに社会的課題の解決をめざします。
NTTのめざすべき企業像は、自己改革を加速し『Your Value Partner』へ
NTTグループは人材を中枢に据え、求められる能力をサービス能力・技術能力・インテリジェンスとしています。そして共有する価値は、私たちのDNAである、「つなぐ・信頼・誠実」です。
こうしたビジョン・企業像をもとに、世界中およそ30万人の社員みんなで、未来への夢を共有していきます。
NTTのお客様だけではなく、社員などのあらゆる関係性を持つ人々・団体にとって価値ある存在として、さらにオープン・グローバル・イノベーティブなNTTへの自己変革を加速させていくのです。
選ばれ続ける『Your Value Partner』をめざして。
事業内容
NTTは日本の通信事業最大手である「NTTグループ」の持ち株会社としてグループの統括・調整する他、電気通信技術に関する研究を行っています。
グループの通信事業は大きく分けて4つあり、その事業内容をご紹介します。
- 総合ICT事業
- 地域通信事業
- グローバルソリューション事業
- その他(不動産・エネルギー等)
- 総合ICT事業
携帯電話事業・国内電子通信事業における県間通信サービス、国際通信事業。ソリューション事業・システム開発事業およびそれに関連する事業
(携帯電話サービス・ドコモ光など) - 地域通信事業
国内電気通信事業における県内通信サービスの提供及びそれに付帯する事業
(フレッツ光・コラボ光など) - グローバルソリューション事業
システムインテグレーション・ネットワークシステム・クラウド・グローバルデータセンターおよびそれに関連する事業
(クラウドサービス・データセンターサービス・マネージドサービスおよびシステムインテグレーションなどの多様なサービス) - その他
不動産事業・エネルギー事業に係るサービスを提供(不動産・エネルギー等)
NTTのSDGsの取り組み|〜今日よりも、もっと素晴らしい明日へ〜
NTTグループは、多様な事業や技術・ノウハウをもとに社会課題解決、SDGs実現に貢献しています。
ここでは、NTTを代表する持続可能な社会への活動を8つ紹介します。
ラテンアメリカ会社の発展に向けてオープンイノベーションを設立
チリの生産性向上や経済発展に貢献するため、政府や大学と協力しながらオープンイノベーション「デジタルハブ」を設立しました。
ここでは地元の大学の卒業生を積極的に採用し、「医療」「教育」「物流」「貿易」の研究開発を推進しています。
デジタルハブが稼働して2年半で地元から約350名を採用しました。今後4、5年のうちに従業員数を900名に伸ばすことを目標としています。
そして、チリは英語が母国語ではないため、ITエンジニアとして正しく英語を使えるように英会話などの研修を定期的に行っています。
デジタルハブをはじめ、今後構築するラテンアメリカのネットワークを駆使して、ラテンアメリカをより良い環境にしていくことが私たちの夢です。
南アフリカの人々に自転車を寄付し、現地の教育・環境保全をサポート
南アフリカのリンポポ州では、通学手段として自転車を所有している子どもの割合は3%しかおらず、200万人の子どもが5km・30分以上、66万人の子どもが10km・1時間以上、街灯もない道を歩いて通学しています。
そうした課題解決に向けて活動しているのが、プロサイクリングチーム「Qhubeka(クベッカ)」。
Qhubekaは、南アフリカの人々に自転車を寄付し、学校や診療所、勤務地への移動手段を提供しています。
また、寄付にあたっては寄付された側にも「成績を向上させる!」などのモチベーション向上や、寄付したことの実効性を高めることが狙いです。
今後の目標は、2,000台の自転車を寄付し続け、このプログラムを”真の持続性可能なプログラム”にすることです。
そのためにも私たちはICTを使って選手のサポートする機能を充実させるとともに、皆さんがより簡単に寄付できる仕組みを開発していきます。
在宅型サポートの懸念点を解決し、雇用創出やダイバーシティーを実現
在宅スタッフでも「高度なセキュリティ」と「的確なサポートスタイル」「品質管理」などを十全にすることで、在宅型のテクニカルサポートを実現。
高齢者や障がいの者、育児中のパートタイムなどに就業機会を提供します。
クライアント様が懸念するであろう「セキュリティ」「サポートスキル」「スタッフのモチベーション」に関しては以下の解決法で取り組みました。
- 「セキュリティ」
在宅向けセキュリティソリューションを開発。また、遠隔からの画面キャプチャも実施する他、Webカメラでモニタリングして応対履歴を監視しています。 - 「高度なサポートスキルの提供」
チャットや音声などWEB会議を利用してオペレーターの熟練度を把握しています。そして、在宅スタッフが日常的に相談できるサテライト研修センターを主要都市に設置するなど、高度なトレーニングと品質管理を実現しています。 - 「スタッフのモチベーション向上」
定期的な懇親会や勉強会を開催し、普段は一人で仕事をしているスタッフのケアをしています。応対上の課題について意見交換や早期解決を図っています。
パソコン用基本ソフトの配信開始で問い合わせが急増し、人員不足が課題になりました。
そこでNTTコミュニケーションズが目をつけたのが、2001年から同社のインターネット接続サービス「OCN」のテクニカルサポートをしている約1,900名の”在宅スタッフ”です。
在宅スタッフの7割がパートタイムなどの女性スタッフ、3割が65歳以上のシニアオペレーター、さらに障がいのある方も採用しているため、ダイバーシティーの推進、雇用創出が実現しました。
災害備蓄品を利用して食品ロスなどの解決を支援
災害備蓄品は消味期限が長いですが、常に確認しいるわけではないので、消味期限が過ぎてしまう。こんなことってよくききませんか?
リサーチしたところ、同じような管理の課題を抱えている企業様が非常に多く存在しました。
そこで、NTTテクノクロスは、「賞味期限の前に手続きができれば、寄付をしたい」というヒントをいただき、備蓄品を販売している企業・福祉施設・生活困窮者世帯を支援している団体の意見を聞きながら、食品ロス削減など社会問題の解決に貢献するサービスを立ち上げました。
企業の災害備蓄品管理を効率化しながら、買い替えに合わせて備蓄品を寄付する仕組みを構築した「備蓄品安心サポート そなえるんだCSR+」。
これによって、食品ロスなどのさまざまな社会問題の解決に向けた企業の取り組みを応援しています。
保育士が保育に専念できる環境をつくる「登降園管理システム」の提供
保育所における保育士の業務負担の増加が課題となっています。
この社会課題の解決に向け、ICTを用いて園児の登降園の記録・報告業務の負担を軽減し、保育士が本来の保育に専念できる「登降園管理システム」を開発。大幅な業務効率化という成果を上げています。
本システムでは、登降園時に保護者がICカードをかざしてタッチパネルに触れるだけで、登降園時間の記録・蓄積が自動的に行われます。
市区町村に提出する帳票の自動作成や、園児の指導計画や保育日誌を作成・管理が手軽にできるため、事務作業の軽減と同時に手書きによる記載ミスを防止できます。
園児数100名の保育所の場合、毎月の事務作業に要していた1,560分(26時間)がわずか20分に削減され、大幅な業務効率化が図れることがわかりました。
ICT化による効果の認知が広まり、本システムをご利用いただいている保育所は着実に増えている状況です。
今後の展開
これからも、お客様の要望を伺いながら、保育の業務効率化に役立つ機能を提供し続けます。
そして、保育士の時間と心にゆとりをつくり出すことで、子どもたちの健やかに成長できる環境づくりに貢献していきます。
能楽鑑賞者の新たなファン獲得寄与する「能楽鑑賞ソリューション」の提供
日本を代表する古典芸能でありながら、ファンの減少に悩む能楽業界。そんな能楽業界のニーズに応えるため、能楽を誰もが気軽に楽しめるよう、公開中に能の解説をタブレットに多言語化する「能楽鑑賞ソリューション」を開発し商用提供を開始しました。
日本の代表的な古典芸能であり、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている能楽。
室町時代から600年以上受け継がれています。
しかしながら、言葉や節回しに室町時代の様式が残り、決まりごとを知らないと理解できません。
そこでNTTコムウェアは、急増している外国人観光客をはじめ、初心者、聴覚障がい者などを新たなファン層として獲得するため「能楽鑑賞ソリューション」を開発しました。
公演中に無線LANを通じてタブレットに能の解説をリアルタイムに多言語配信するサービスで、能楽の独特な表現を大きな文字とイラストでわかりやすく表現しています。
これによって、外国人や初心者、高齢者や聴覚障がい者など、誰もが気軽に能楽を鑑賞することが可能です。
今後は、能楽公演における商用提供を拡大する他、スポーツ観戦・名所案内・体験ツアーなどにも展開していく予定です。
世界最高精度の全世界デジタル3D地図「AW3D」を世界中で提供
独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の陸域観測技術衛星「だいち」が撮影したデータを活用し、世界最高精度の5mで世界中の陸地の起伏を表現した3D地図「AW3D」を提供します。
「AW3D」は、人間の立ち入りが難しいエリアにおいても精微なデータの取得が可能です。
特に、詳細な地図がない新興国におけるインフラ整備や災害対策、資源開発等の分野で活用が進み、すでに世界約70ヵ国の300以上のプロジェクトで活用されています。
例えば、ベトナムでは土砂災害が課題でしたが、「AW3D」を利用し、1,000箇所以上の危険箇所の効率的な抽出に成功しています。
また、ナイジェリアとニジェールでは、下水が流れ込むエリアを正確に把握することで、確実な疾病対策につながりました。
2015年5月からは米国の民間衛星会社「DigitalGlobe」の衛星画像を活用した高精細版3D地図の提供を開始しました。
最高0.5m解像度を実現し、都市エリアを中心とした「建築物」レベルの細やかな起伏の表現が可能です。
AW3Dは今後も、防災・資源・都市計画・電力・通信サービス等、幅広い分野における3D地図サービスの提供を通じて、世界規模で新たな市場やサービスの創出に取り組んでいきます。
事業を展開する世界各地で「才能」の発掘とエンパワーメントを実施
「社会を変革するのは才能である」という考えのもとに設立されたスペインのeveris団体(NTT DATA)。
everisは、事業展開する世界各地で才能の発掘と後押しするエンジンとして、多岐にわたる活動を展開しています。
everisの多彩な活動のなかでも、「EVERIS AWARDS(起業家精神表彰)」は大規模なものです。
この表彰式は、優れたアイディアやビジネスプロジェクトを表し、社会を変革する技術的かつ斬新なプロジェクトを発掘します。
そして、そのプロジェクトを成功に導くために育成・支援します。
起業家支援の他にも、クラウドファンディングのプラットフォームの運営、子どものSTEMに関する技能開発支援、または10代女性に対してジェンダーギャップの解消を図るための人的ネットワークの提供など、多様な活動を通じてイノベーションのための力を発掘・育成しています。
今後の展開
欧州および中南米でのeveris財団(NTT DATA)の活動基盤をより強固にしていく予定です。
活動規模の拡大とあわせて、everis従業員のさらなる参加を促していきます。
まとめ
NTTは今後も、さまざまな取り組みを積極的に推進していくことでSDGs達成の機運を盛り上げます。
そして、自社の製品・サービスを活用するだけでなく、パートナーとの技術・知見のコラボレーションを通じて、SDGs達成に向けて最善を尽くしていきます。
〜今日よりも、もっと素晴らしい明日へ〜