創業80年という歴史のあるエーザイ株式会社。「患者様や生活者様のベネフィット向上に貢献すること」、「世界のヘルスケアのニーズを充足すること」を企業理念として、SDGs達成につながる取り組みに積極的な貢献をしています。
2021年に創業80年を迎えたエーザイ株式会社(以下エーザイ)は、医薬品の研究や開発、製造・販売などを行う企業です。
多くの人はエーザイを医療品会社と認識していることでしょう。
しかし、エーザイは医薬品の提供のみに留まらず、確固たる理念(hhc)を持ってさまざまな活動を行っています。
例えば、
・医療品アクセス向上への取り組み
・地域医療に対するソリューションの提供
さらには、2025年に向けて目指す企業像を「薬とソリューションで社会を変える企業」と定めました。この企業像の達成に向け、世界中に存在する医療・ケアのギャップの解消に取り組んでいます。
これらの取り組みを通してSDGsの達成にも貢献しています。
この記事では、エーザイのビジョンや事業内容、そして積極的に貢献しているSDGsへの取り組みを詳しくご紹介します。
エーザイが貢献しているSDGsへの7つの取り組みはこちらです。
- 医療品アクセス向上の取り組み
- 医薬品の提供に留まらないソリューションの提供
- ダイバーシティーの推進
- 省資源の取り組み
- 循環型社会形成への取り組み
- 低炭素社会形成への取り組み
- パートナーシップの展開
エーザイ株式会社のビジョンと事業内容
企業名 | エーザイ株式会社 |
SDGs | 1.3.5.6.12.13.17 |
サステナビリティレポート |
エーザイのビジョン
エーザイは、確固たる理念(hhc)のもと、一人ひとりが法令と倫理を遵守したビジネス活動を徹底し、いかなる医療システム下においても存在意義のあるヒューマンヘルス・ケア企業を目指しています。
エーザイの企業理念とは:ヒューマン・ヘルスケア(hhc) 全社員が、患者様とそのご家族、生活者の皆様の喜怒哀楽を考え、そのベネフィット向上のため何をなすべきか、顧客の立場で議論し、それを誰よりも早く実践し、実証して世界に発信するそして、社会を変えていくこと |
エーザイにしかできないソリューションをお届けし、健康な状態から最期の時まで、その人らしく”生ききる”ことを支えます。
事業内容
エーザイの主な事業内容は、医薬品の研究開発・製造・販売及び輸出入です。
エーザイは、薬局で手にするような薬はもちろん、世界中の難病に打ち勝つ薬の研究や、医療品アクセス問題の解決に貢献しています。
詳しい事業内容は以下の通りです。
- 医療品アクセス問題の解決
- がん領域
- 次世代認知症治療薬による患者貢献
- 生産・物流
- グローバルマーケティング
- hhc理念+エコシステム
貧困や医療システムの不備などから、必要な医薬品が必要としている人のもとに届かないという問題を「医療品アクセス問題」といいます。有効的な治療があるにもかかわらず、その治療が受けられない。
このようなあってはならない状況に、エーザイは、さまざまな官民パートナーシップを通して、医療のインフラを整備し、医療品アクセスの向上を改善します。
ゲノム情報に基づく早期診断、患者ごとに最適な治療法の選択が可能となる個別改良による、がん治癒の実現を目指します。
長期にわたって新薬開発を行う製薬企業は、中期でのたどり着くべき目標をしっかりと見据えることで、着実に患者様の貢献を果たします。
それによりエーザイは、中期経営計画「EWAY Future & Beyond」を2021年4月よりスタートしました。
製材研究から生産、流通までのすべてのプロセスにおいて万全の態勢で品質確保に努めています。
グローバルに供給する製品については、複数拠点での生産可能な体制を確立し、有事においても世界の人々に高品質な医療品を安定して供給する体制を構築しています。
hhcの企業理念のもと、患者様やその家族、医療関係者に潜在している真のニーズを表出化し、アンメット・メディカル・ニーズの充足を導くことを目指し、地域特性にあったマーケティングをグローバルに実施しています。
このエコシステムの中核となるのがエーザイ・ユニバーシティー・プラットフォームです。
このプラットフォームを下に、薬剤やデジタルツールなどを患者含む生活者にもっとも最適な方法でお届けします。
さらに、他産業にもこのプラットホームを活用してもらい、患者含む生活者への貢献と向上をしてもらうエコシステム構築を目指します。
エーザイのSDGsの取り組み|〜自分らしく生ききるために〜
1.医療品アクセス向上の取り組み
「医療品アクセス」問題 = 世界各国に充分な医療・医療品が行き届かない問題
世界の貧困層は、およそ3分の1の人が1日2ドル以下で生活するという貧しい生活を強いられています。
これらの人々は病気になっても適切な医療を受けられず、必要な医薬品も入手できないため、さまざまな疾患に苦しめられているという現状です。
このような状況の中、エーザイは「必要とされる医療品を一つでも多くお届けし、一人でも多くの方の希望をつくりたい」」という思いを込めながら、開発途上国・新興国での医薬品アクセスの向上に取り組んでいます。
さらに、医療品アクセスの向上によって、開発途上国・新興国の健康福祉の向上、中間所得層の拡大による経済成長への貢献をめざします。
2.医薬品の提供に留まらないソリューションの提供
エーザイ(研究開発型グローバル製薬企業)の使命は、革新的な医療品を創出し、世界の健康と医療に貢献することであると考えています。
そのためには、最新生命科学に基づく医療ニーズを満たす新薬開発、必要とされる医療品を必要とする人々にいかに届けることができるかという医療アクセスの確保が重要です。
エーザイは、これらの取り組みをhhc理念に基づく将来の市場形成への中長期的な投資と考え、積極的に展開していきます。
「顧みられない熱帯病(NTDs)」とは、世界保健機関(WHO)が定義している18の疾患のことをいいます。代表的な疾患には「リンパ系フィラリア症」「シャーガス病」「デング熱」などがあります。
NTDsは、主に貧困による劣悪な衛生環境などが主な原因となって蔓延しています。この蔓延の影響で労働力や生産性の低下を招き、貧困から脱出できない原因にもなっています。
開発途上国や新興国では、NTDsの蔓延が経済成長の妨げともなっており、国が抱える重大な課題の一つともいえるでしょう。
エーザイは医療品アクセスの改善を施し、こうした疾患に対して効果的な対策をとることは、長期的な視点で見れば各国の貧困撲滅や経済成長にもつながると考えます。
NTDsのひとつである、リンパ系フィラリア症の制圧に向けて、世界保健機関(WHO)と連携し、治療薬DEC錠をプライスゼロを実現しました。このプライスゼロは、全ての蔓延国において制圧が実現するまで提供していきます。
医薬品の価格改定も医薬品アクセスの改善に貢献できるという考えのもとで、各国の社会・経済・医療環境に合わせた「患者様が購入可能な価格設定」によって、広範囲で継続的な医薬品提供の実現に努めています。
例えば、インドでは、2005年よりアルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」をインドの社会・経済・医療環境に合わせた価格で提供しています。
さらに、抗癌剤においても「患者様の購入可能な価格設定」を積極的に検討しています。
新規抗がん剤「ハラヴェン」「レンビマ」においては、これらの薬剤を必要としている患者様の所得水準にかかわらず治療を受けられるよう複数の価格で設定する「ティアードプライシング」を導入しています。
このような患者様のニーズに合わせた価格設定は、インド・インドネシア・ミャンマー・フィリピンなどアジア8ヵ国において、展開しています。
今後もエーザイが創出した改新的新薬を、一人でも多くの人たちに届けられるよう、各国の経済状況や医療状況に合わせた持続可能なビジネスモデルを追求していきます。
3.ダイバーシティーの推進
エーザイは、多様性がもたらす知のスパイラルの実現を目指しています。
その目標を達成すべき計画を「エーザイ ダイバーシティー&インクルージョン 2021」として、2031年3月31日までの計画期間を設け、以下の目標を立てています。
多様な価値観とリーダーシップによる意思決定や人材育成を可能とする組織へと転換をはかり、社員一人ひとりの個性や強みが経営及び日常に反映される環境を構築します。
(2021年4月の時点で女性正社員比率24%、女性管理職比率11%)
働く場所や時間における個人の裁量を拡大し、働き方改革を推進します。
男女平等に家庭参加することの意義が社内に浸透し、男女問わず育児・介護・休職等を取得しやすい職場環境を作ります。
社員が障害を抱えたとしても、いきいきと輝き続けるための支援と環境を整えます。
支援と環境整備により、働きがいを感じられる職場を実現し、共存・共生の社会づくりに貢献します。
4.省資源の取り組み
水資源の確保は、高品質な医療品の生産にとって欠かせない資源です。
そのため、エーザイグループでは、工場・研究所から排出される水の品質確保に努めるのと同時に、使用料削減の取り組みも進め水資源の有効活用に努めています。
節水意識を持って、工業用水の使用料削減や排水の再利用などを行っています。
社員一人ひとりが日常的に関わる環境活動としてグリーン購入を推奨しています。
グリーン購入の趣旨に賛同する企業・行政・団体が組織する、グリーン購入ネットワークへの参加とともに、独自のガイドラインを定めて活動に取り組んでいます。
5.循環型社会形成への取り組み
資源の有効活用を目的とした廃棄物発生量の削減やリサイクルをいっそう促進し、循環型社会への貢献をめざします。
最終埋立量と廃棄物発生量の比を1%以下にするゼロミッションの達成とともに、「廃棄物発生量削減・リサイクル向上・最終埋立量の削減」を目標に廃棄物処理を進めています。
社内では、紙類廃棄物を削減するため、会議の進め方やコピーの撮り方を工夫して発生量の削減に取り組むと同時に古紙類の有価売却を推進しています。
保存文書の電子化などペーパーレス化も進めています。
6.低炭素社会形成への取り組み
エーザイは、気候変動問題解決のため低炭素社会形成に向けた取り組みを進めてきました。
そして、国内の二酸化炭素排出量を2020年までに2005年度比で23%削減をめざし、その結果は下図の通りです。
基準年度である2005年度の排出量91,558トンに対し、2020年度の排出量は65,846トン(基準年度比28.1%減)となりました。
エーザイは気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体、NGOなどのネットワークである「気候変動イニシアティブ(JCI)」に加盟しています。
これまでに賛同したメッセージはこちらです。
- 「2030年度の再生可能エネルギー電力目標を40〜50%に」
- 「パリ協定を実現する野心的2030年目標を日本でも」
7.パートナーシップの展開
グローバル多岐にわたるパートナーシップの活用により、ビジネスの効率性・生産性を向上します。
パートナーシップにおける製薬バリューチェーンは以下のようなことがあります。
- NTDs制圧に向けての改善
- 医療品アクセスの向上
- 革新的な医療品の創出
- 開発費用・商業化費用の効率化
- 製品の成長加速と経験値の蓄積
さまざまな機関とのパートナーシップにより、患者様への貢献の早期最大化をめざします。
まとめ
創業80年、さまざまな活動・開発をしてきたエーザイ。
研究開発型のグローバル製薬企業として、世界各国において健康の向上に貢献をしています。
全ては患者様とそのご家族、生活者皆様が自分らしく生きれるために。
そのためには、社員一人ひとりが患者様の傍に寄り添い、患者様の目線で考え、言葉にならない想いを感じとることが重要と考えています。
これにより、全ての社員に就業時間の1%を患者様と共に過ごすことを推奨しています。
これからもエーザイは、世界のヘルスケアの多様なニーズに充足するヒューマン・ヘルスケア企業をめざします。