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ODA(政府開発援助)とは?活動内容や日本の取り組み・問題点を簡単に解説

道路を整備したい開発途上国。しかし開発途上国には、資金や技術も不足している場合が多くあります。そんな開発途上国に対して、先進国のできる支援の一つODA(政府開発援助)です。

ODAといっても内容はさまざま。

そこでこの記事では、そこでこの記事ではODAの基本的な知識から、近年耳にする機会が増えたSDGsとの関連まで詳しく見ていきます。
では早速ODAとは何かを見ていきましょう!

ODA(政府開発援助)とは?

ODAとは、先進国の政府や政府機関が、開発途上国の社会・経済開発のために行う援助のことで、正式名称は政府開発援助(Official Development Assistance)です。


援助の内容は、

  • 経済
  • 技術

など多岐に渡ります。
ではなぜこのような援助が求められているのでしょうか。

ODA(政府開発援助)の目的

先進国と開発途上国の間には、非常に大きな経済格差があります。

世界銀行によると、世界の人口のうち約10%は極度の貧困状態にあるという報告があります。

極度の貧困状態に陥る地域では、

  • 食糧や飲み水を十分に確保できない
  • 教育、医療サービスを受けられない

などの様々な問題を抱えています。

これらの問題は途上国だけで解決することは困難であるため、先進国の協力が不可欠です。

そこで先進国の多くが自国の強みを活かしながら資金・技術・人の支援を行い、世界全体の底上げを図っています。

ODA(政府開発援助)の形態

さらに踏み込むと、援助の形としては、二国間援助と多国間援助の2種類があります。1つずつ見ていきましょう。

二国間援助

二国間援助は、有償資金協力を行う「政府貸付」と、技術協力や無償資金協力を行う「贈与」があります。

有償資金協力とは

先進国が途上国にお金を貸すこと。

簡単に言えば”借金”なので、途上国は最終的に返還する必要があります。ただし金利や期限などの条件が緩やかなので、途上国の負担が少ないのが特徴です。また、返還の義務があることで、途上国の持続的な開発を促す機能もあると考えられます。

無償資金協力とは

返還義務のない資金供与。

つまり先進国が途上国にお金を提供するということです。こちらは開発途上国で起きている問題に、素早く対応できるという利点があります。

資金協力以外にも、各省庁やJICA(国際協力機構)のおこなう技術協力があり、こちらも重要な要素です。

二国間援助は、アジア・中東・アフリカを中心とする途上国に向けて、世界中の国々・地域へ援助を行っています。さらに二国間援助により、援助する国と相手先の国・地域との関係強化につながるとされています。

多国間援助(国際機関への援助)

一方の多国間援助は、国際機関へ資金協力することにより行う援助です。

ここでいう「国際機関」は、

  • 国連機関
    ユニセフ(UNICEF:国連児童基金)やUNDP(国連開発計画)など
  • 銀行機関
    世界銀行など

を指します。

国際機関への拠出・出資は、開発途上国への援助になるのはもちろんですが、援助する国の国際社会への貢献度を示すことにもつながります。

この貢献度は毎年、世界のODAランキングが発表されているので、次で確認しましょう。

世界のODA(政府開発援助)ランキング

まずは、援助総額ランキングです。

途上国援助(ODA)総額の多い国
出典:外務省

途上国援助(ODA)総額の多い国

日本は4位となっており、1位のアメリカ、8位のカナダのほかはヨーロッパ諸国が並んでいることが分かります。

ここで理解しておきたいのが、ODAの総額が大きいからといって貢献度が一番高いわけではないことです。国の規模や状況によって支出額に限度があるため、国民一人あたりのODA額と、援助額のGNI(国民総所得)比で語られるケースもあります。それぞれ確認してみましょう。

ODAの国民1人当たり負担額

DAC諸国における政府開発援助実績の国民1人当たりの負担額(2021年)
外務省-2022年版開発協力白書

ODAの対GNI比

援助総額で見ると日本は4位でしたが、国民1人当たりの負担額や対GNI比を見ると、それぞれ12位・13位となっていることが分かります。

また図表Ⅰ-5の注釈にも書かれていますが、国連総会はODAの目標をGNIの0.7%と定めています。これは1970年に定められたものですが、現在も有効な目標です。

2019年時点でこの目標を達成できているのは5か国のみで、日本も0.29%と達成には至っていません。

ここまでODAの概要がなんとなくわかったところで、次からは日本の現状や取り組みについて詳しく見ていきましょう。

日本のODA

イメージ画像

先程の表で見たように、日本のODA総額は15,588百万ドル(2019年)でした。これは日本円にして約1兆7,000億円です。

この膨大な金額をさまざまな機関が連携を取り、どのような支援を行うか決定しています。

1府12省庁が関わっている

日本政府の行うODAは、1府12省庁が携わっています。

  •  内閣府
  •  総務省
  •  法務省
  •  外務省
  •  財務省
  •  文部科学省
  •  厚生労働省
  •  農林水産省
  •  経済産業省
  •  国土交通省
  •  環境省
  •  警察庁
  •  金融庁

それぞれの府省庁が担当する分野の支援を進めており、たとえば

  • 厚生労働省
    水の供給状況が悪い国・地域に対して、水道施設整備に関する資金提供や、研修員の受入
  • 警察庁
    治安機関の能力向上のための支援
  • 国土交通省
    道路や鉄道・港湾などの交通インフラの整備支援

などが挙げられます。

そして外務省はODAの中核を担う省庁として、各省庁や機関との連携強化の役割があります。

JICAや民間企業も参画

また、政府機関だけではすべての対応を行うことは困難であることから、JICAなどの団体や民間企業とも連携を取りながら進めています。

JICA

JICAは正式名称を独立行政法人国際協力機構といい、日本のODAを執行する実施機関として設立された世界でも有数の開発援助機関です。

特に二国間援助はJICAが実施機関となって中核を担っています。JICA独自で展開する事業から、民間企業と連携して行われているもの、青年海外協力隊などの市民参加協力まで、さまざまな援助に取り組んでいます。

民間企業

開発途上国の持続的な経済成長のためには、民間企業の果たす役割も見逃せません。民間企業が開発途上国で事業を行うことで、

  • 現地での雇用創出
  • 人材育成
  • 技術や知識、ノウハウの移転

といった点が期待されます。

また、途上国で事業を行うことは企業側にも、

  • 市場の拡大
  • 日本と比べ、安価に製品を生産できる

といったメリットがあります。

ODAは官民連携が鍵

このように、さまざまな団体や民間企業と参入することで、さまざまな支援を展開できるため、国と民間が連携を強化することがポイントとなります。

さらには、政府の支出するODA資金は限られており、金額として足りているとは言えません。そのため途上国のニーズに答えるには、民間企業の投資も不可欠な状況にあるのです。

そこで、日本政府とJICAが連携を取りながら、民間企業が参画するための後押しとして、さまざまな政策を展開しています。

中小企業・SDGsビジネス支援事業

開発途上国に事業展開したい企業と、途上国の開発ニーズをマッチングする取組として、JICAが「中小企業・SDGsビジネス支援事業」を展開しています。(SDGsについてはのちに説明します。)

長年ODAの実施機関として実績を積んできたJICAは、現地とのネットワークや情報が豊富です。これを活かして、企業と途上国がwin-winの関係となるような事業の支援を進めています。

また、中小企業への支援では現地での基礎調査段階からODAを活用した費用の給付があります。

海外投融資・協力準備調査

JICAによると、民間企業が開発途上国で事業展開をする場合、リスクが高いことや収益が得づらいことから、一般の金融機関での融資が受けにくい状況です。このような際に役立つ制度が「海外投融資」です。

この制度を活用することで、民間企業が開発途上国において事業を行うにあたり、ODAとして出資・融資を受けられます。

また、海外投融資を活用することを前提として調査(協力準備調査)を行う場合、こちらにも金銭的支援があります。

いずれも様々な条件はありますが、途上国で事業を行いたい企業にとっては大きな足がかりとなる支援です。

これらの支援を通して、より多くの民間企業が参入し、途上国への協力をより強固なものにすることが期待されています。

ODAは具体的にどんなことをしているの?

イメージ画像

ここまで、ODAの基本的なことについて紹介してきました。では、具体的にはどんな事業が行われているのでしょうか?

分野ごとに、紹介していきます。

保健・医療

人が健康的に生きていくうえで欠かせないのが、保健と医療のサービスです。開発途上国には今なおこれらのサービスに十分にアクセスできない人々が多くおり、早急な支援が必要な状況です。

そこで日本は、

  • 病院など医療施設の整備、建設
  • 予防接種の体制整備
  • 医療従事者の育成
  • 母子保健の改善

などに取り組んでいます。

日本の医療・保健のレベルは世界的に見ても非常に高いため、特に期待されている分野です。

質の高いインフラ

開発途上国が持続的に発展していくためには、インフラの整備が不可欠です。例えば、水道、道路、電気などの供給が不安定であれば、発展が滞るだけでなく、現地の人々は人間らしい生活を遅れずに貧困から脱出することも困難です。また、近年はインターネット接続の安定性も欠かせません。

また、インフラ整備には多額の初期投資が必要なため、ODAによる資金協力は非常に重要です。

そこで、

  • 空港、鉄道網の整備
  • 橋の架橋、洪水対策事業
  • 電話、テレビ、インターネット通信の能力強化
  • 井戸や上下水道の整備

といった、質の高いインフラ整備を進めています。

人間の安全保障

人間の安全保障とは、人々を様々な脅威から守り、自由と尊厳をもって生きられるようにすること。

外務省などによると、安全保障は従来、”国家”をベースに考えられてきました。しかしグローバル化が進み、様々な問題が複雑に絡み合う今、”人間”をベースに安全保障を考えることがより重要になってきているのです。 

人間の安全保障のためには、紛争や貧困といった直接的な問題の解決だけでなく、ここまでに取り上げた保健・医療サービスやインフラの整備も欠かせません。

また1999年には日本の提唱により、「人間の安全保障基金」が国連に設置されています。この基金に集められた資金は、国連関係団体が人間の安全保障のために行う事業で使われる仕組みです。日本は2019年までに478億円を拠出しています。

質の高い教育

開発途上国では、教育環境の整備の遅れによる教育格差も大きな問題となっています。これまでODAをはじめ様々な支援のもと、初等教育施設(小学校)から大学までの整備が進められてきました。

しかし、教育施設の整備が進んでも

  • 1クラス当たりの人数が多すぎる
  • 教員不足
  • 教員の研修不足

などにより、”質”の確保が課題となります。そこで、

  • 教師に対する特別支援教育強化プロジェクト
  • 教員養成大学の設立
  • 初等教育のカリキュラム創設
  • テレビ局に対する教育番組の購入資金支援

など、教育の質を向上させるための取り組みが進められています。

女性の活躍

多くの途上国では女性の権利が男性に対して著しく低いことが認められています。女性が活躍できる社会を作ることは、人権保障のためにも、社会の持続的な発展のためにも必要なことです。

そこで、

  • 女性起業家支援事業
  • 「女性センター」の活性化支援
  • 人身取引被害者支援

といった取り組みに力を入れています。

外交政策にも一役

ここまで見てきたODAの取り組みによる効果は、開発途上国の社会的・経済的発展だけにとどまりません。

ODA支出の額、とくに多国籍援助として国際機関へ出資・投資する額は、国際社会における援助国の地位向上に一役買っています。

ただし日本のODA政府予算は1997年以降は減少傾向にあるため、今後の課題として議論を重ねる必要がありそうです。

ODAを活かした企業の取り組み事例3選

では最後に、実際にODAを活用して民間企業が展開している事例を紹介します。

【インドネシアの病院に高性能焼却炉を】株式会社トマス技術研究所

インドネシアではゴミ処理のインフラ整備が十分ではありません。そのため、ゴミが焼却されずに最終処分場へ運搬されてしまう状況にありました。特に医療廃棄物は滅菌が不十分な状態で廃棄され、感染症の原因にも

これに応えたのが、沖縄県に本社を置く株式会社トマス技術研究所。高性能な小型焼却炉を開発する企業で、離島やへき地などに製品を展開している実績がありました。

JICAとの連携により事前の調査を行い、その後実際に現地の病院に焼却炉を導入しました。今後もインドネシアをはじめ途上国での展開が期待されている企業です。

【ケニアの学校に日本の理科教材を】株式会社ナリカ

自社で理科教材の企画・開発・販売を行う株式会社ナリカ。同社の教材は日本の教育現場で広く採用されており、100年の歴史を持つ会社です。

そのナリカが目をつけたのが、JICAが15年にわたって理数科教育強化プロジェクトを行ってきたケニア。このプロジェクトの成果を定着させるために、自社の製品が生かせるのではないかというアイディアから、事業が始まりました。

ODAとして経費が負担される案件化調査と普及・実証事業を経て、オリジナルの教材や教師向けガイドブックを作成。JICAのサポートを得ながら、現地教育当局や全国の学校を訪問しました。またケニアの教師が来日し、日本人の生徒への研究授業も実施するなど、交流も進んでいます。

2019年時点では、ケニアで理科教育の振興に関わる法律の試案が作成されました。法案が成立すれば予算が確保され、ケニアの理科教育の振興と同社の販路拡大の両面が、一気に加速することとなります。

【海外投融資を活用しカンボジアに病院を建設】医療法人社団KNI

日本の医療を輸出産業とし、外貨獲得の手段とすることを目標の一つとしてきた、医療法人社団KNI。東京都八王子市を中心に、複数の医療機関を展開している法人です。

医療法人社団KNIは、カンボジアでの病院設立に取り掛かりましたが、この前例のない事業に資金を提供してくれる銀行や投資家が見つかりませんでした。そこで同法人はODAの制度である「海外投融資」を活用。2016年には首都プノンペンに総合病院を開院するまでに至りました。

元々医療レベルの高くないカンボジアでは、中流層以上の人はタイやシンガポールなどの近隣国で医療を受けていたそうです。そのなかで国内で高いレベルの医療が受けられるようになったことで、カンボジアの持続可能な医療サービスの提供が一歩近づきました。この事業のポイントは、病院の建設・日本人スタッフの派遣にとどまらないことにもあります。医療システムの構築や医療者の研修を通して、現地の医療問題を根本から改善していくことを目指しているのです。

ODAとSDGsとの関連

圧縮済みSDGs画像

ここまでで、ODAが途上国の支援につながることや自国の繁栄にも重要な役割を果たしていることがわかりました。

そしてもう1つ注目したいのがSDGsとの関連です。ここではODAとSDGsがどのように関わりを持つのか、17の目標のうちいくつか取り上げ、詳しく見ていきます。

SDGs目標1 貧困をなくそう

SDGsの1丁目1番地である目標1。SDGs1のゴールは「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困を終わらせることです。SDGsの成立以前からODAはこの目標に繋がる取り組みを行っています。

貧困対策へのアプローチは様々ですが、ここではスリランカで行われた「貧困緩和地方開発事業」を紹介します。

スリランカの交通アクセスの向上

都市部と地方部での格差が大きかったスリランカ。都市部と地方部をつなぐ交通インフラが脆弱で、社会サービスへのアクセスが妨げられていることが要因の一つでした。そのためこの事業では、道路の改修や新設を支援。地方部から都市部へのアクセスが向上し、貧困の削減につながりました。

ほかにも民間企業が現地に工場等を建設することによって、雇用が生まれ、貧困の削減につながるといった事例もありますよ。

SDGs目標2 飢餓をゼロに

飢餓を終わらせ、食糧の安定確保と栄養状態の改善を実現し、持続可能な農業を促進する」ことをゴールに設定しているSDGs目標2

ODAの取り組みでは、目標2にアプローチするものとして農業開発事業が目立ちます。

たとえば人口の75%以上が農業に関わるパキスタンでは、最新の農業技術や情報が行き届かないことが問題となっていました。そこで行われたのが「国境地域農業普及員能力向上プロジェクト」。現地の農業普及員に研修を行い、適切な技術や知識が農業従事者に行き届くようになりました。

こうした中長期的な支援の他、食糧危機に面している国・地域には、食糧支援を行うなどの短期的な支援も行っています。

多国間援助として、国際農業開発基金世界食糧計画への資金提供も行っています。

SDGs目標3 すべての人に健康と福祉を

SDGsの目標3は「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確実にし、福祉を推進する」ことがゴールです。

これに関連して、ミャンマーでは「主要感染症対策プロジェクト」が行われました。

結核、マラリアが主な死因であり、HIV/AIDSの感染者も多いミャンマー。結核・マラリアに対しては、治療活動から検査技師育成、住民への保健指導まで幅広い活動を実施。血液感染が主であるHIV/AIDSに対しては、血液取扱者への技術指導や献血に関するシステムの開発などを行いました。

ほかにも、

  • 妊産婦や新生児へのケアを改善するプロジェクト
  • ワクチン開発・製造支援

なども、SDGs目標3に関連する事業として挙げられます。

SDGs目標4 質の高い教育をみんなに

SDGs目標4のゴールは「すべての人に包摂的かつ公平な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」。子どもだけでなく、あらゆる人々への教育の提供が明記されています。

生涯教育という点から見ると、図書館の建設や改善の事業が挙げられます。特にコロンビアでは無償資金協力により、これまでに100以上の児童図書館が建設されました。これらは子どもたちだけでなく、文字の読めない成人にも広く利用されており、幅広い世代の教育に役立っています。ほかにも、南アフリカへの移動図書館車の寄贈や、図書館機能を高めるための職員への研修なども行われています。

SDGs目標8 働きがいも経済成長も

SDGs目標8のゴールは「包摂的かつ持続可能な経済成⻑及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用 (ディーセント・ワーク)を促進する」。人間の安全保障などが達成できた後、持続的に開発を進めていくために重要となってくる内容です。

これに関連するODA事業も行われています。2013年から2016年まで中国で行われた「労働保障観察プロジェクト」は、”労働保障観察制度”の制度改善と監察院の能力強化を実施。急激に経済成長の進む中国で、現地労働者が安心して働ける環境を整えることに貢献しました。

SDGs目標11 住み続けられるまちづくりを

包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」をゴールとする目標11。人間の生活基盤である「まち」を、誰一人取り残さない持続可能なものしようという目標です。

急速な経済成長をとげたベトナムでは、農村から都市へ多くの国民が流入。大小さまざまな都市で、

  • 交通渋滞
  • 空気汚染
  • 人口の密集によるスラム街の形成

などの問題が発生していました。

この問題を解決するために日本のODA事業として行われたのが「都市計画策定・管理能力向上プロジェクト」です。都市計画マニュアルの作成や都市計画研修センターの設置、そして担当職員への研修などが行われ、適切な都市計画への足がかりとなりました。

このように、ODAはSDGsの達成に向けて大きな役割を果たすと言えるでしょう。

まとめ

先進国と途上国が手を取り合い、より良い世界を作り上げていくための指標であるSDGs。そのSDGsを語るにあたって、ODAについての話題は避けては通れないものです。

本記事では、そもそもODAとは何か、日本の取り組みやSDGsとの関連性などを説明しました。
個人としてODAに関わる機会は、多くはありません。しかし、国家予算のうちどの程度がODAとして支出されているのか、どういった事業が行われているのかに注目するのは、とても大切なことです。また、選挙のときに候補者のODAへの考え方を確認するのも、一つの指標とすることができますよ。

ぜひ家族や友人など、周りの方にもODAについての知識をシェアしてみてくださいね。

参考文献
独立行政法人国際協力機構「ODAの基礎知識2.国や地域・分野別の特徴について」
参議院常任委員会調査室・特別調査室「立法と調査 2020.02 No.420」
厚生労働省大臣官房国際課国際協力室「厚生労働省の国際協力」
平成17年警察白書「第2章 国際社会における日本警察の活動」
国土交通省「国土交通(交通)分野のODA実績」
独立行政法人国際協力機構「民間連携事業 支援メニュー一覧」
独立行政法人国際協力機構「海外投融資の概要」
外務省「ODA 分野をめぐる国際潮流 人間の安全保障」
外務省 国際協力局 多国間協力課「人間の安全保障基金」
独立行政法人国際協力機構「ODAの基礎知識 2.国や地域・分野別の特徴について」
外務省「一般会計ODA当初予算の推移」
独立行政法人国際協力機構「ODA見える化サイト 貧困緩和地方開発事業」
外務省「ODA 農業開発 日本の取組」
独立行政法人国際協力機構「ODA見える化サイト 国境地域農業普及員能力向上プロジェクト」
独立行政法人国際協力機構「ODA見える化サイト 主要感染症対策プロジェクト」
独立行政法人国際協力機構「ODA見える化サイト 労働保障監察プロジェクト」
独立行政法人国際協力機構「ODA見える化サイト 都市計画策定・管理能力向上プロジェクト」
独立行政法人国際協力機構「JICAの民間連携事業」
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外務省-2022年版開発協力白書