SDGs11「住み続けられるまちづくりを」とは、地球上に住む人間すべてが住み続けられるよう、さまざまな課題に立ち向かいながら、まちづくりを進めていくことを掲げた目標です。
例えば、スラム街に住む人は安全な住まいがあるとは言えません。
そのほかにも、災害の多い地域や交通機関が十分に発達していない地方も住みやすさには問題があります。
あまり馴染みがないかもしれませんが、実は日本も人ごとではありません。
この記事では、SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の日本の現状と課題について解説してきます。
目次
SDGs11「住み続けられるまちづくりを」に関する日本の現状と課題
ここまで見てきた世界の現状を見ると、日本とは無縁の話と感じる方も多いと思います。
しかし実は地方創生という観点から、注目度の高い目標なのです。
詳しく見ていきましょう!
地方創生とは
まずは地方創生の意味を確認します。
これを踏まえて、日本の現状の確認です。
日本の現状|地方の人口減少と高齢化が深刻
世界で起こる「農村部から都市部に人が流れていく現象」は日本でも顕著で、地方の「人口減少」「高齢化」などの人口問題が深刻化しています。
地方の人口減少や高齢化は、地方経済の悪循環をつくり出します。
- 労働者が足りない:多くの地方企業はすでに人手不足。今後続く高齢化でさらに悪化。
- 地方企業が倒産する:70歳以上の中小企業経営者の多くは後継者が決まっていない。
- 地方に住む人の働く場所がなくなり、さらに若者が都市に流れ、移住者も定住できない。
- さらに地方経済が衰退してゆく
参考:(株)富士通総研
さらには地方経済の悪循環によって、街がになう「インフラ整備」や「災害対策」なども停滞してしまう恐れがあるのです。
特に過疎地域では「交通機関の整備」が必要とされています。
人口減少・高齢化によって気軽に買い物に行けないことや、体に異変があってもすぐ病院に行けないなどの問題が発生しているのです。
その背景には、電車がない・バスの本数が少ない・高齢のため運転ができないという現状があります。
住み続けられるまちづくりには、公共交通機関の整備も含めた開発が求められるでしょう。
地方に人が住み続けられ、地域が活性化する「持続可能なまちづくり」は必要不可欠と言えます。
日本の現状|台風や地震による被害への対策が急務
世界中で自然災害が多発するように、日本も豪雨による洪水や家屋損壊などの被害が増えています。
中小企業庁の統計によると1番多く発生するのは「台風」(約60%)で、その次に地震や洪水です。
被害額の面では「地震」(約80%)となっています。
また、自然災害の発生件数や被害額の推移を見ると、少しずつではありながらも増え続けているのがわかります。
特に大きく被害が出ているのは、1995年の阪神・淡路大震災と、2011年の東日本大震災です。
東日本大震災では、家屋などの被害だけでなく、失職や地震の精神的なダメージも重なって、新しい仕事を見つけられずに貧困に陥るケースも多く存在します。
災害は被害額だけでなく人生を変えてしまうことでもあり、これからは被災した人へ手を差し伸べる施策も必要なのです。
遠く昔から地震の被害にさいなまれてきた日本。
被害を最小にする策を講じる必要性があるのは明白ですよね。
東日本大震災では都市をはじめ国中で混乱が起きたのは、記憶に鮮明ではないでしょうか。
30年以内に約70%の確率で起こるという「南海トラフ地震」は、東日本大震災より被害が大きくなるとささやかれています。
参考
(株)富士通総研
また、災害は地震や台風だけでなく「集中豪雨の被害」も増えています。
気候変動による異常気象が原因の1つと言われており、私たち1人1人が環境保護を考えた取り組みを行う必要があります。
17あるSDGsの目標の中には「気候変動に具体的な対策を」など環境に配慮した目標も含まれている通り、これからは自然に寄り添った方法で持続可能な開発を行っていくことが重要です。
予期せぬ自然災害が起きた時に、少ない被害と早い復旧ができる「強く」「しなやかな」まちづくりは日本の欠かせない課題です。
課題|カーボンニュートラルの実現を目指して
上に述べた課題「地域活性化」と「災害対策」などを開発する際は、自然環境とよいバランスで進めるのが必要です。
日本政府は経済と環境のよりよいサイクルを目指し、2050年までにカーボンニュートラル(人間活動で排出されるCO2と吸収されるCO2が同じ量にする)を目指しています。
カーボンニュートラルとは
ここでカーボンニュートラルについて説明します。
まず、車などの排気ガスなどから排出される「温室効果ガス」の削減を目指しています。
温室効果ガスは本来CO2だけではなく、メタンやフロンガス、一酸化二窒素なども含まれています。
そして、カーボンニュートラルは温室効果ガスの排出を”実質的にゼロにする”ことが目標です。
つまりは「排出量−吸収量+除去量=ゼロ」ということです。
温室効果ガスの排出をゼロにするのは現実的に難しいので、排出しなければならなかった分を吸収したり除去したりして、差し引きゼロをゴールにしています。
具体的には植林によるCO2の吸収や、最新技術を駆使した温室効果ガスの除去などがあります。
日本が排出するCO2を含む温室効果ガスの全体量は、少しずつありながら減っている傾向です。
しかし現実的には、カーボンニュートラルの実現にはほど遠い状況です。
2018年の統計では、二酸化炭素を含む温室効果ガスの総排出量は「12億4,000万トン」だったのに対し、吸収量は「5,590万トン」*でした。
*排出量と吸収量を統計した団体が別のため、数値には多少の誤差があると考えられます。
経済を止めることなく地球温暖化の対応もしていくために、以前のやり方とは違う新たな改革が必要なのです。
まとめ
この記事では簡単にSDGs11の日本の現状についてまとめました。
SDGs11は私たちにとっても身近な目標のひとつです。
達成を目指して企業や団体の取り組みも多岐に渡ります。
それだけでなく、日々の生活で意識できる私たちにできることもあるので、「自分ごと」として興味を持ち知識を蓄えたり、自分でできることをしたり、積み重ねることが大切です。
まずは、第一歩としてこの記事を誰かに共有してみませんか?